カフェテラス

テラスの片隅で一人心に呟くように

花など見ながら甘南備の里

2011年08月24日 | ☆ ふるさと・大和





秋の七草の一つ葛の葉と蔓がどんどん伸びて掴まるものがなくなると、空中ブランコをしているようである。
花はまだ何処にも咲いていなかったが、山側の土手から伸びて青い空をバックにした成長振りが物凄い。
1年に長いものであると10m延びるそうで、その生命力には驚く。
根が薬として使われ、くず粉の原料であるのは、この生命力に見えるようだ。

「ま葛原 なびく秋風 吹くごとに
阿太(あた)の大野の 萩が花散る」
万葉集 作者不詳
古く古代でも葛を詠んだ万葉の歌があるが、上の詠にある、「阿太の大野」は現在の五條市の地で詠まれた歌である。





この花を見ると、なんと可哀想な名前をつけてもらったのかと哀れに思う。
つる性で、葛よりも細い植物にびっしりり蔓を巻きつけて成長する。
花が咲いて初めて、「へクソカズラ」の花であることが分かる。


すごい名前だが、枝や葉をもむと悪臭があるから 、この名前になったらしい。
別名は、馬食わず(うまくわず)」 、悪臭があるために 、 馬が食べないところから。

しかしこの花も万葉集に詠まれている、今の人は見向きもしない花であるけれど、古代には身の回りの花にも常に目を向けていたようである。


・「かはらふぢに 延(は)ひおほとれる
屎葛(くそかづら)
絶ゆることなく 宮仕へせむ」
万葉集 高宮王(たかみやのおおきみ)



     

稲淵の勧請橋に降りてくると、飛鳥川の土手から、白とピンクのムクゲの花がぱっと目に入る。
ムクゲは朝に咲いて夕方には萎んでしまう一日花であるが、蕾が多く次々に咲くので、全体的に見ると一日花と思われずっと咲き続けているような花だ。

この花は馬にも好まれたらしい。

道のべの 木槿は馬に 食はれけり」
松尾芭蕉(野ざらし紀行)

「それがしも 其(そ)の日暮らしぞ
花木槿」 小林一茶
一日花のムクゲに一茶の生き方を重ねているのが、いかにも一茶らしいと微笑ましい。
コメント (2)
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