幕末のペリー来航後の吉田松陰の言葉を紹介したい。
(『吉田松陰』[川口雅昭著、致知出版社]から引用抜粋)
我が国が万国より優れ、世界で君子の国といわれる訳は、天地の心を心とし、仁義を重んずる国家だからである。
とすれば、米露使節への対応も、ただ、この仁義という、人として踏み行うべき正しい道に則ることが大切である。
この道に従わなければ、ただ平和をのみ望む場合には、国体、我が国の国柄に傷をつけることとなる。
また、戦うという場合には、敗れるであろう。
これらが明かであることはいうまでもない。
大体、我が国が外国に対応する際、方針とすべきことは、心ある国家には国交を許し、法を無視する心ない国家は拒絶する、という二つである。
米国は無法にも浦賀に乗り入れ、色々な無礼を働き、一切我が国の法律を守らない。
今その無礼な行いを責め、もしも彼らがそれを承知せず、敢えて戦闘を起こすようであれば、彼らが間違っており、我々が正しいのである。
どこに遠慮することなどあろうか。
我々が今の平和な日々に溺れ、彼らの武力に屈し、和睦の評議を提唱することは最も下劣な政策である。