雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

新・本と映像の森 166 ベアテ・シロタ・ゴードン『1945年のクリスマス』柏書房、1995年

2018年08月13日 09時54分41秒 | 本と映像の森


新・本と映像の森 166 ベアテ・シロタ・ゴードン『1945年のクリスマス』柏書房、1995年

 副題「日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝」、平岡磨紀子/構成・文、324ページ、定価本体1748円。

 ベアテ・シロタ・ゴードン、彼女は1923年、ピアニストの娘に生まれる。5才から1939年まで両親と日本に滞在。15才で1人で渡米、戦争になる。

 1945年12月24日、連合国GHQの民間要員として日本へ。父母と再会。

 1980年代までは日本では「日本国憲法・連合国GHQ民政局草案」を創るための「9日間」はその実像はほとんど知られていない。1990年代からは日本では「ベアテ・シロタ・ゴードン」の名とともに、周知のことになったが。

 この本の価値は、その民政局の人々のリアルな姿にあると思う。

 ホイットニー准将。49才。
 ケーディス大佐。40才。
 マイロ・E・ラウエル陸軍中佐。42才。
 アルフレッド・R・ハッシー海軍中佐。44才。
 ルース・エラマン。30才。

 この本の「Ⅴ 日本国憲法に「男女平等」を書く」がひとつの核心的内容だと思います。ベアテさんが書いたが残されなかった草案と、ベアテさんが書いて日本国憲法に残された部分と。

 ボクも日本国憲法形成過程をもう一度戦前から辿り直してみたい。

 目次は以下の通り。

プロローグ 再会ー1945年12月24日
Ⅰ 焦土の日本に帰る
Ⅱ 父と母の街・ウィーン
Ⅲ 乃木坂の家の日々
Ⅳ 大戦下のアメリカで暮らす
Ⅴ 日本国憲法に「男女平等」を書く
Ⅵ 既婚女性とやりがいのある仕事
Ⅶ 新しい道 アジアとの文化交流
エピローグ ケーディス大佐と日本を訪れてー1993年5月
ベアテさんとの出会いー平岡磨紀子
参考文献
年譜
活動記録

 この本のふたつめの核心的内容が戦後のニューヨークでベアテさんならではの文化的活動だと思います。

 ベアテさんは英語ー日本語の通訳の力を生かして「ジャパン・ソサエティ」「アジア・ソサエティ」で働きます。

 そこで市川房枝さんや棟方志功さんなどを招聘した記録はきわめて貴重なものと思います.生け花やアジアの踊りも。

 戦前、東大は女性を受け入れてなくて、戦後、東大は新憲法ができて初めて女性が入れるようになった。父レオ・シロタの弟子でベアテさんとも親交のある藤田晴子さんは東大の女性第1期生だった。(p307)
 
 父レオ・シロタはユダヤ人であって、「シロタ」は日本人とはまったく関係がない。この本の3つめの核心的内容がシロタ一家のヨーロッパ記録だ。

 父レオ・シロタが人妻で息子のいる女性と恋しあって結婚するまでの話も、すごくワクワクする。