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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

知識を活用する力

2009年03月24日 | 中学受験 行雲流水録
歴史の流れを追ってみると、最初は少数の優れたリーダーが社会を引っ張っていく時代でした。しかし、社会が複雑になるにつれて、官僚制が台頭します。始めは有効に機能していた官僚制のヒエラルキーは、次第に腐敗し、自己保身を第一に考える多数の中間的小リーダーの広がりに移行していきます。これが現在までの時代の社会学的な歴史認識だったと思います。

ところが、インターネットの普及は、そのヒエラルキーを急速に無効なものにしつつあります。未来は、多くの優れた市民的リーダーが大量に登場する時代になるでしょう。リーダーが一方的に政治権力を執行する時代から、多数の優れた市民がそれぞれの局面でふさわしい多数のリーダーを選ぶ、またはなりうる、という民主主義の本来の形に移行しつつあるようです。そんな時代に必要な能力は、材料を集める力よりもむしろ、与えられた材料を料理する力です。学力で言えば、知識力よりも思考力ということになるでしょう。

人間が他の動物と違って格段に優れているところは、他人の知識をすぐに自分の知識とすることができる点です。ピタゴラスが三平方の定理を発見したときには、膨大な時間と天才的なひらめきが必要だったはずです。しかし、現代人は全くそのような時間も才能も必要とせずに、わずか十数分でその定理を自分の知識として使うことができます。

いろいろな識者の述べる意見や提案は、最初は彼らの独自の知識や経験や才能によって生まれたものです。しかし、市民は、メディアを通じて、それらの考えを自分の判断材料としてすぐに生かすことができる時代を迎えています。昔は、ほかの人の知らない知識を持っていれば、それだけで通用しました。今は、どのような知識もすぐに社会全体に広がります。知識を蓄えることではなく、活用することを学習の目的としていくことがますます必要な時代になっています。



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