ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

『俯瞰力』

2010年10月29日 | 中学受験 合格力随想
現在の入学試験は、志願者を限られた定員に絞り込むため、点数の差が大きく開くような問題を中心に出題されています。そうなると、それに合わせる形で学校での学習も、差がつくところを中心に教えるようになります。このことは、ニワトリとタマゴの関係のように、いたちごっことなり、さらに入試問題もあえて差がつけやすい方向でテストを行うことを招きます。

現在の大学入試は、受験教科の数を絞る一方で、その少数の教科の中で小さな差を大きく拡大する問題の傾向にあるようです。この件に関していえば、日本の高校生の学力はかなり歪められていると考えられます。

AO入試などはもってのほか。多種多様な人物の有機的なふれあいなどは、留学生の受け入れを積極的に進めていけば十分だと思います。学習癖がなく基礎学力も不確かな大学生より、学ぶことに命をかけている発展途上国からの留学生の方が、余程大きな刺激になります。推薦入試のような形はできるだけ採用せずに、昔のようにテスト結果のみで合否を決める形を入試の中心に据えるべきです。なぜなら、子供たちの学力は、やはり受験勉強に取り組む中で確実についてくることは紛れもない事実だからです。

これからの社会人には、素養として全教科の知識が万遍なくあるとともに、専門の知識が備わっていることが求められます。なぜなら、これからの経済は、農業、工業、情報産業のあとにくる知識産業の時代になるからです。したがって、大学入試のあり方も、理系文系にかかわらず、幅広い教科の基礎学力をテストするような形になっていくでしょう。

センターテスト改革が叫ばれて久しくなりますし、実際、今実施されているテストを、高校卒業程度の標準的な学力の確認点とし、それとは別に新たなより難度の高いセンターテスト的なものの導入が考えられているとのことです。将来の大学入試は、全教科の基礎学力を確かめるテストがもっと重視されるようになります。この教科は得意だが、あの教科は苦手というような学力ではなく、どの教科もひととおりできるという学力が要求されていくでしょう。そのような幅広い学力に対応するために必要となる物事をトータルに把握する理解力を、私は『俯瞰力』と呼んでいます。


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