以前、『暗唱の意義』について述べました。今回は、『暗唱の効用』について書き添えたいと思います。
保護者の方からこういう話を聞いたことがあります。
「音読の練習はやるが、暗唱の練習は嫌がる」
それを聞いて、私はこれまで音読の練習も実はできていなかったではないかと思いました。これまで毎日音読をしていた子は、その延長で暗唱もできるはずです。音読の勉強を自分の勉強部屋でやっていたとすると、実際に確実に音読ができていたかどうか不確定になります。
音読は、保護者の方のいるところで、例えば茶の間などでやっていくのが望ましいやり方です。なぜなら、保護者の方が音読を聞いていると、子供の読み間違いがわかるからです。また、子供が音読しているとき、その文の話題をもとに親子の会話を広げることしができます。保護者の方のいないところで子供がひとりで音読をするという形では、音読の効果か派生する効用も含めてはかなり薄くなります。
暗唱も同じです。子供部屋でひとりで暗唱させるよりも、保護者の方の前で暗唱させた方がよりよい暗唱ができます。ひとりで暗唱させると、子供はつい文章を覚えようとします。すると、暗唱が難しくなってしまいます。覚えようとするのではなく、ただ繰り返し読むだけで良いのだと言うことを、保護者の方がしっかり伝える必要があります。
暗唱がどのぐらいできるかということは、その子の国語の実力を反映します。100字の文章をなかなか覚えられない子は、やはり日本語の読解力の基礎ができていません。しかし、そういう子供たちも練習を続けていけば、必ず前よりも早く暗唱できるようになります。これは実際に読む力がついてくるからです。やればできるようになるという点で、暗唱の学習は、音読の学習より達成感のある学習と考えることもできます。 暗唱ができるようになる時間は、大体次のような感じになります。
100字の文章を繰り返し音読をする場合を考えてみます。1回音読しただけですぐに暗唱ができるということはまずありません。これが、50字程度の文章であれば、1回読んだだけでもすぐに暗唱できます。50字と100字は、人間の短期記憶にとって質の違う長さなのです。
しかし、100字の文章でも、15回ぐらい繰り返し音読していると自然に覚えられるようになります。この100字15回の音読は、時間にして5分間ぐらいです。
さらに続けて音読し、10分間まで暗唱を続けていくと、全部で30回ぐらい繰り返して音読することになります。このぐらい繰り返すと、意識せずに空で言えるような暗唱になります。ほかのことをしながらでも暗唱できるぐらいしっかり身についた暗唱になっていきます。
100字ずつの暗唱を3日間続けたあと、合計の300字を全部通して暗唱する場合は、次のようになります。最初に300字を通して読んでも、10分間ではなかなか暗唱できるようにはなりません。しかし、2日目に少しずつできるようになり、3日目には大体できるようになります。 個人差はありますが、毎日10分の練習で、1日100字の暗唱ができるようになり、1週間で300字の暗唱ができるようになるというのが無理のない目標でしょう。
しかし、やらなければできるようにはなりません。やればできるが、やらなければできないということがはっきりしている点でも、暗唱の練習は、通常の音読の練習よりも学習の確実性と満足感を導く取り組みです。
保護者の方からこういう話を聞いたことがあります。
「音読の練習はやるが、暗唱の練習は嫌がる」
それを聞いて、私はこれまで音読の練習も実はできていなかったではないかと思いました。これまで毎日音読をしていた子は、その延長で暗唱もできるはずです。音読の勉強を自分の勉強部屋でやっていたとすると、実際に確実に音読ができていたかどうか不確定になります。
音読は、保護者の方のいるところで、例えば茶の間などでやっていくのが望ましいやり方です。なぜなら、保護者の方が音読を聞いていると、子供の読み間違いがわかるからです。また、子供が音読しているとき、その文の話題をもとに親子の会話を広げることしができます。保護者の方のいないところで子供がひとりで音読をするという形では、音読の効果か派生する効用も含めてはかなり薄くなります。
暗唱も同じです。子供部屋でひとりで暗唱させるよりも、保護者の方の前で暗唱させた方がよりよい暗唱ができます。ひとりで暗唱させると、子供はつい文章を覚えようとします。すると、暗唱が難しくなってしまいます。覚えようとするのではなく、ただ繰り返し読むだけで良いのだと言うことを、保護者の方がしっかり伝える必要があります。
暗唱がどのぐらいできるかということは、その子の国語の実力を反映します。100字の文章をなかなか覚えられない子は、やはり日本語の読解力の基礎ができていません。しかし、そういう子供たちも練習を続けていけば、必ず前よりも早く暗唱できるようになります。これは実際に読む力がついてくるからです。やればできるようになるという点で、暗唱の学習は、音読の学習より達成感のある学習と考えることもできます。 暗唱ができるようになる時間は、大体次のような感じになります。
100字の文章を繰り返し音読をする場合を考えてみます。1回音読しただけですぐに暗唱ができるということはまずありません。これが、50字程度の文章であれば、1回読んだだけでもすぐに暗唱できます。50字と100字は、人間の短期記憶にとって質の違う長さなのです。
しかし、100字の文章でも、15回ぐらい繰り返し音読していると自然に覚えられるようになります。この100字15回の音読は、時間にして5分間ぐらいです。
さらに続けて音読し、10分間まで暗唱を続けていくと、全部で30回ぐらい繰り返して音読することになります。このぐらい繰り返すと、意識せずに空で言えるような暗唱になります。ほかのことをしながらでも暗唱できるぐらいしっかり身についた暗唱になっていきます。
100字ずつの暗唱を3日間続けたあと、合計の300字を全部通して暗唱する場合は、次のようになります。最初に300字を通して読んでも、10分間ではなかなか暗唱できるようにはなりません。しかし、2日目に少しずつできるようになり、3日目には大体できるようになります。 個人差はありますが、毎日10分の練習で、1日100字の暗唱ができるようになり、1週間で300字の暗唱ができるようになるというのが無理のない目標でしょう。
しかし、やらなければできるようにはなりません。やればできるが、やらなければできないということがはっきりしている点でも、暗唱の練習は、通常の音読の練習よりも学習の確実性と満足感を導く取り組みです。