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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

『暗唱の効用』…2

2010年11月02日 | 中学受験 合格力随想
300字の暗唱を小学校低学年から続けていれば、その子の読解力、表現力は確実についてきます。読解力がなぜつくのかというと、ある文章をしみじみと深く味わって読む力がつくからです。国語の問題文を読む場合、同じ文章を読み同じように理解したつもりになっていても、読む人の読解力によってその深さが違ってきます。

深く読む力があると、その問題文に書かれている情景や心情の細部まで読み取ることができます。深く読む力がないと、あらすじのようなところまでしか読み取れません。どちらも同じように読んで、同じように理解しているつもりになっていますが、読み方の深さが違うのです。暗唱をしていると、1回読んで理解したはずの文章なのに、繰り返し読むにつれて違う味わいを感じるようになります。これは、繰り返しによって深く読む力がついてくるからです。

表現力がつくのは、文章のリズムが身につき、語彙を自然にたくさん覚えるようになるからです。また、暗唱をしていると、その文章で使われている句読点の位置などもそのまま覚えてしまいます。小学生の作文で、文のねじれを直したり、句読点の位置を教えたりする学習を必要とすることがありますが、そのような学習はしないで済ませるというのが理想です。病気になってから治すことに力を入れるのではなく、もともと健康でいるという学習の仕方を考えるべきでしょう。

さらに、暗唱をすることによって、物事を丸ごと把握するという理解力がついてきます。これは、国語に限らず、ほかの教科すべてを含めた理解力につながっていきます。これが、常々私が述べている『俯瞰力』です。効率的な学習のできる子は、得意教科と苦手教科の差があまりありません。どの教科も同じようによくできます。逆に、勉強のできない子も、得意教科と苦手教科の差があまりありません。どの教科も同じようにあまりできないからです。

したがって、教科ごとの学習に力を入れる前に、まず『俯瞰力』そのものをつけていくことが大事となります。ある事柄を丸ごと把握するような理解の仕方ができれば、全教科の学習においても同じことができるようになっていきます。



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