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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

行雲流水録⑱       梅花祭

2007年02月26日 | 中学受験 行雲流水録
一昨日は北野神社の梅花祭。古来、日本において中世までは花といえば梅を指し、その天を指し示す枝より神が伝え来ると信じられました。楚々とした香りはいつの世も愛されています。

しかし、日本人は散りゆく桜・春待つ残雪・一枚残りし銀杏の葉そして密かに香る梅の香とはかなげなものに憧憬を感じます。望月ならぬ十六夜に風雅を思う嗜好には下記の歌も好まれます。梅を詠いつつ梅の一字も記さないしなやかさがその感性に合うのでしょう。


  『山園小梅』・林逋

  衆芳揺落独嬋妍  衆芳 揺落して 独り嬋妍たり
  占断風情向小園  風情を占断して 小園に向う
  疎影横斜水清浅  疎影 横斜して 水は清浅
  暗香浮動月黄昏  暗香 浮動して 月は黄昏
  霜禽欲下先偸眼  霜禽 下らんと欲して 先ず眼を偸(はし)らせ
  粉蝶如知合断魂  粉蝶 如し知らば 合(まさ)に魂を断つべし
  幸有微吟可相狎  幸いに 微吟の相い狎る可き有り
  不須檀板与金尊  須いず 檀板と金尊とを

  花々が散ったのち、ただ独りのあでやかに咲いている。
  この小さな庭の風情をこの花だけが占めている。
  疎らな枝が清らかで浅い流れの上に横や斜めに影を投げかけている。
  月の光のあわいたそがれ、ほのかな香りが漂い揺れ動いている。
  冬鳥が降り立とうとして、そっと花に目をやる。
  もし白い蝶がこの花に出会ったならば、魂も消える思いだろう。
  私の低い歌声がちょうど似合いの相手だろう。
  しかし、打楽器の伴奏や金の酒器などは無用のこと。

この感性は、決してテレビゲームやラップミュージックからは創られません。私たちは私たち自身の手で次世代に残すべき日本人のアイデンティティーを消滅へと導いているようです。

澪標
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