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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

合格力随想⑯       入試検証-国語

2007年02月21日 | 中学受験 合格力随想
関西の難関進学校の双璧、灘中学校と東大寺学園中学校が今年の入試結果を公式に発表しています。それを使って、特に国語について、両校の結果を分析してみたいと思います。

今年から3教科型での入試が可能となった東大寺学園中学ですが、受験者数は去年より若干減らした623人で、大阪・兵庫からの受験生も大きな変動はなかったようです。やはり日程的に洛南と分け合う形になってしまうのでしょう。対して、昨年から男女共学、入試の1日実施、3・4教科選択型の導入と、思い切った変革をした洛南高校附属中学においては今年も男子820人、女子364人の出願と、定員200人に対して6倍近い募集があり、人気を集めました。


東大寺学園中学の得点分布を見ると、国語と理科は頂点が高く尾根幅の狭い山状、逆に算数と社会はなだらかな丘状になっています。つまり、国語と理科はある得点域に受験生が集中しており、算数と社会は広い得点域にまんべんなくいるということになります。ここから分かることは、仮に国語で60点だったとしても、同得点域に多くの受験生が集中しているため、差がつきにくいのに対し、算数で60点を取った場合は合格圏内である上位300人との差が明確に付いてしまうということです。すなわち、なだらかに得点が分布する教科は上位者との差が付きやすく、勝負を決める教科である、といえます。

それに対して灘中学校の国語と算数について合格者平均と受験者平均との格差に注目すると歴然ですが、算数の方が大きな差となっています。分布は発表されていませんので何とも言えませんが、おそらく、東大寺と同様の分布になっているのではないでしょうか。

この二校をして言えることなのですが、国語は50~60点台にきっちりと収めることが、合格の早道だと思います。あまり深追いしすぎて他教科でバランスを崩すのが怖い、ということと、学校側も、それほど高得点を期待していないという側面もあります。できないよりはできた方が良いけれど、取れるところをきっちり取ればまあ何とか他の教科で挽回できる教科、それが国語です。しかし、だからといってなめていると取れるはずの基礎的な知識で点数が取れなくて他の教科でフォローしきれなくなる教科。これも国語です。

国語の学習でできることは、まず知識問題の徹底につきます。幅広いボキャブラリーを知識問題の学習から蓄積することで、それが読解にも生きていくという、知識の有機的活用が難関校の国語に求められるものだと言えるでしょう。国語を何とかしたい、という心がけは立派なのですが、他教科で目標校の偏差値に届いていないなら、むしろそちらを優先すべきと思われます。国語の55点と、算数の55点では、入試本番でどちらが差が付くかといえばもちろん後者です。そこを見落として焦ると、せっかくの得意教科まで共倒れにしてしまいかねません。

まず入試結果を見、それを知ること。敵を知り、己を知れば……というやつでしょうか。焦る保護者はそれを怠り、ただ点数や偏差値に踊らされてしまっているところがあるのではないでしょうか。全教科まんべんなくできる完全超人。それは確かに理想ですが、限られた時間の中でそれになることはなかなか難しいものです。まずはどこから克服していくか。志望校の結果は情報として押さえていきたいと思います。

また、書き抜きが多い洛南では時間との勝負の側面もあります。穴埋めをして文章を完成させる問題は意外と時間がかかるので、文章を読む前に大雑把に確認し、同じ言葉や似た表現が出てきたら印をつけて探す時間を短縮する、効率のよい解き方が要求されます。取れるところを落とさない。当たり前のことですが、難関校では特にそれが大きな差になるということを、受験を考えている人にきちんと伝えたいと思います。

こうして、灘・東大寺・洛南の三校を見ると、国語の場合、対策がしやすいことに気がつきます。それは、知識問題やポイントを押さえた記述力など、求められるものに共通項が多いというところから感じられることなのですが、難関校である以上、そこを受験するという生徒には、やはり、妥協のない学習が求められています。『このくらいでいいや』ではなく、より多くを知る貪欲さ。限られた『勉強』だけでなく、開かれた『学習』を、日常生活の中で培っていくことが必要なようです。

澪標
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