今年の夏期講習も終わりました。みんなよく頑張ってくれたと思います。しかし、現実は厳しくみんながみんな第1志望校へ合格できるわけではありません。いや統計的には3人に2人は第2志望校というのが現実です。
教科の成績もよく、勉強もよくがんばっていても、不合格の場合はあります。納得できない気持ちに押しつぶされそうになる子もいます。しかし、試験とはそういうものです。実力があっても、運が悪くても不合格は不合格。大事なのはそれからです。
不合格になったとき、勉強をやっていて自信があった子ほど悔しい思いをします。その悔しさがばねになり、これからの勉強に生きてきます。すると、早い子では1年もたたないうちに、第一志望に不合格になっていてかえってよかったと思えるようになってきます。そして、ほとんどの子は、3年後、または6年後の次の入試のときには、すっかりその最初の不合格を克服して、逆に、「あそこで不合格になっていたから、それをばねにして自分が成長したんだ」と思うようになってくるのです。
そして、そのように自分が成長するだけでなく、不合格になったことの痛みを知っているので、自分よりも弱い人に対しても優しい気持ちを持てるようになります。また、いつか、自分が大人になり、人の上に立つようになったり親になったりしたときに、部下や子供の失敗をより大きな視野で見てあげられるようになるのです。
だから、合格不合格の結果は、ただ第一ラウンドが終わったということに過ぎません。不合格になった人が、いつまでもその不合格をひきずって、「あそこで合格していれば、もっといい人生だったかもしれない」などと思っていては、第二ラウンドでも不合格です。たとえ、第二ラウンドではまだすぐに立ち直れなくても、第三ラウンド、第四ラウンドで、「あそこで不合格になっていたから、かえっていい人生になった」と思うようになる日が来ます。
ただ、この思考は不合格だからとあわてて伝えても、役に立ちません。常日頃から学習することの意義や目的を生き甲斐や人としての成長といった観点からお子さんに伝えておく必要があります。これが中学入試における保護者の方の究極の役割です。そして、こんな対応があれば、決して合格してしてからも燃え尽き症候群になることはありません。
本当の合格不合格は、何年もたってからわかってきます。そして、あとからわかった合格が、本当の合格なのです。と、思いつつ私たちは今の合格を今日も追い続けているのですが…。