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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

『百年の家』

2010年05月27日 | 中学受験 行雲流水録
絵本『百年の家(絵/ロベルト・インノチェンティ、作/J.パトリック・ルイス、訳/長田弘)』を買いました。本屋さんでの、いつもの衝動買いです。少し長いですが、帯のポップを引用します。

「人が家に命を吹き込み、家が家族を見守る。家と人が織りなす百年の歳月。」
一軒の古い家が自分史を語るように1900年からの歳月を繙きます。
静かにそこにある家は、人々が一日一日紡いでいき、その月日の積み重ねが百年の歴史をつくるということを伝えます。
自然豊かななかで、作物を育てる人々と共にある家。
幸せな結婚を、また家族の悲しみを見守る家。
やがて訪れる大きな戦争に傷を受けながら生き延びる家。
そうして、古い家と共に生きた大切な人の死の瞬間に、ただ黙って立ち会う家。
ページをめくるごとに人間の生きる力が深く感じられる傑作絵本が、ここに……。

ある一軒の家を通じて百年の歳月が細密な絵と端正な文で描かれています。人々の喜びと悲しみ、涙と笑いをただ淡々と抑えた色調で残していきます。インノチェンティは国際アンデルセン賞を受賞した画家とのこと。まるで、彼自身がこの家と向かい合う位置に百年間座り続け、カンバスを構えていたようです。

私たちの日々の営みは刹那刹那の連続です。しかし本当はこんな風に、立ち止まり、振り返り、立ち位置を確認する定点が必要なのかもしれません。自分自身の家を客観的に捉える視点-インノチェンティの目。そんなことに気付かされます。流されぬように、溺れぬように……と。

一冊の絵本との出会い。それは、伝える力の大切さを感じさせてくれた時間でもありました。

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