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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

二百字の壁

2009年07月01日 | 中学受験 合格力随想
先日、精神科医の香山リカさんが書かれた「なぜ日本人は劣化したのか」という本を拾い読みすることがありました。いろんな面での日本人の劣化の話が書かれているのですが、私が特にショックを受けたのは「読む力の劣化」です。

日本人が雑誌などを読む際、ひと息に読める字の数は八百字と言われてきました。しかし今、その字数が二百字にまで減っているというのです。以前の、四分の一です。そこに大きな壁があるとのこと。二百字というのは、今私が書いた「…二百字という」あたりまでがざっと二百字です。

雑誌社から「ストレス解消法」の執筆を頼まれた香山さんは、それを聞いて頭を抱えました。まさに、ストレスの極み。これこそ解消法が欲しいところです。依頼の原稿は千二百字ですが、どういう風に書いたらいいのか……!?結局編集者の指示通り、一項目を二百字として、六項目の箇条書きにすることにしました。

「その一、すんだことはクヨクヨ考えない。クヨクヨ考え込むのは、実は人間にとっての最大のストレスです。イヤなことがあっても、温かいお風呂に入って布団にもぐりこみ、楽しかった思い出などを振り返りながら眠るようにしましょう」
…みたいな感じです。

編集者によると、「それ以上長い、起承転結のあるような原稿は読者に読まれない」そうで、そうしないと「読みにくい」「何を言っているのかわからない」と苦情がくるのだそうです。これを読んで、私も本当に考え込んでしまいました。今、「子どもの読書離れ」を嘆く声も多く聞かれますが、そもそも大人がまともな文章を読めないのに、子どもが読めるわけありません。

塾でも、毎週長文の読解しています。あの長文を一般的な大人がどれほど読みこなすことができるのか…と考えると、子どもたちを誉めてやりたい気持ちでいっぱいです。私は自分自身への自戒もこめて、大人も毎日、せめて新聞なりと読むべきだと感じたのでした。

ここまでで字数はおよそ八百字です。ひと息で読んでいただけましたか。


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