goo blog サービス終了のお知らせ 

ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

桃栗三年なのに…

2008年11月02日 | 中学受験 合格力随想
朝夕はかなり冷え、秋も深まってきました。この時期になると以前郷里でやっていた畑仕事を思い出します。夏野菜が終わってひと夏頑張った野菜の茎や葉をせっせと片づけ、野焼きをします。その煙の臭いは何ともいえずいいものです。今でも、どこかで草焼きをしていてその臭いをかぐと妙に郷愁を誘います。

ところで畑では色々作っていました。キュウリ・トマト・カボチャ・ジャガイモ・サトイモ・ダイコン・ゴボウ・ハクサイ・タマネギ等々。ちなみにサトイモは連作を嫌います。見た目以上に繊細な気難し屋さんといったところ。トマトはすぐに病気やムシがつくか弱き乙女。カボチャなんか多少ほっといてもできてしまうたくましさがあります。一つひとつの野菜がそれぞれ違う個性を持っています。それはまるで人間のようです。

みなさんは、野菜の旬がわかりますか?トマトの旬は夏ですね。キュウリやなすも夏野菜です。ダイコンやハクサイは冬です。それでは、ジャガイモは?タマネギの旬はいつでしょう?本来、それぞれの野菜には育つのに適した季節があり、最もおいしく食べられる時期が決まっています。ところが今や、野菜は一年中店先に並んでいます。品種の改良や栽培方法の多様化、また流通手段の発達などによって、いつでも豊富な種類の野菜を食べられるようになりました。まるで工業製品のようです。しかし、あらゆる野菜が大量に出回る一方で、自然に近い形で育った本来の野菜は少なくなり、味わう機会が減っています。野菜の旬もとてもわかりにくくなってきました。

太陽の光をいっぱいに浴びて育った旬の野菜は、おいしいだけではありません。夏野菜は夏に食べることで夏バテ防止になったり、ほてった体を冷やしてくれるなどの効果を発揮します。冬野菜はその逆で体を温める役目をします。もちろん春野菜でも秋野菜でも、旬のものを食べた方がより栄養価も高く、体にとっていい働きをするのです。野菜には人と同じように個性があるといいました。ならば逆に、人にも野菜と同じように旬の時期があるはずです。そして、それは中学受験に向かって頑張っているこの時期でないことだけは確かです。たとえるなら、今は太陽の光を浴びて枝葉をグングン延ばす時期でしょうか。人工的に旬を作り出す必要はありません。

「桃栗三年柿八年」ということばがあります。何事も成熟するまでは、それ相当の年数が必要というたとえです。野菜は長くても半年から一年あれば、収穫が期待できますが、それでも種から芽生え、地力を蓄え成長していく時間が必要です。ヒトならばなおさら。間違ってもこの時期に収穫はできません。旬の時期を間違ってはなりません。優しく見守りたくましく育めばもっと先にきっと豊穣の恵みが訪れるはずです。あくまで中学受験はずっと先の恵みへの一過程に過ぎないのです。

農作業の時はゆっくりと気長においしい野菜を食べられる日を夢見て、日々の草取りや施肥で野菜との関わりを楽しみます。そんな姿勢で子どもたちと関わることが大切です。目先の成果ばかりにとらわれることなく、じっくりと何年か先を見つめて、コツコツ今やるべきことに取り組み、それまでの時間を上手に使いこなしていくのです。

さて、ジャガイモとタマネギの旬ですが、ジャガイモは夏のものと秋から冬のものがあります。タマネギの旬は春です。十一月に入ったら、苗を植えつけます。ご存じでしたか。


最新の画像もっと見る