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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

「安全ピンと錐」

2010年04月25日 | 中学受験 行雲流水録
「ピンからキリまで」という言葉があります。この言葉が「良いものから悪いものまで」といったような物の良し悪しや値段の高い安いを指すことは知っていても、「ピン」「キリ」それぞれの意味は思っている以上に知られていません。

以前友人が、「ピンからキリまでっていうのは色々な説があるらしいね。実は、ピンは安全ピン、キリは工具の錐だと思ってた。ずいぶん範囲がせまいなとは思ったけど」と言って、その場にいたみんなで大笑いしたことがあります。友人が「ピンからキリまで」という言葉を耳にしたり口にするたびに「安全ピンと錐」を思い浮かべていたのかと思うと、微笑ましいやら、可笑しいやら。これも、ひとつの「思い込み」でしょう。

「ピンとキリ」は「ポルトガル語で一と十を表す」、「江戸時代の俗語でカルタやサイコロなどの最初と最後を表す」など諸説あるようです。いずれが本当なのか、どれもそれぞれ本当とも思え、正確なことは藪の中。しかし、少なくとも「安全ピンと錐」ではないようです。

「思い込み」といえば、メタボリックシンドロームの「メタボ」という言葉(決して、自虐ネタではありません)。メタボリックは英語で「metabolic」と表記し、日本語訳は「代謝の」という形容詞です。メタボリックシンドロームという言葉になってはじめて、「代謝症候群」という「運動不足や食生活のために代謝力が弱まって生活習慣病の要因をたくさんもってしまうこと」の意味を示します。「メタボリック」だけでは悪い意味の言葉にはなりません。

しかし、あちこちで「メタボ」「メタボリック」という言葉とともに、私のような太ったおじさんのおなかなどの写真を目にし、私たちは「メタボリック」という言葉を悪魔かのように悪いものとしてとらえがちです。

また、有名人のある一面が報道され、あたかもそれが全ての如く「思い込み」、書かれた負の面によって、今まで好みだったタレントに興味がなくなったり、嫌いになったりした、という経験を持つ方も多くいらっしゃると思います。「宗教団体」「在留外国人」「格差」などの言葉も、社会問題となった事件がきっかけに、つい悪いイメージを連想してしまいます。

ヒトは強く印象を受けた事象を一番の記憶としてとらえてしまう傾向があるようです。それが「思い込み」となって、考え方や物の見方に少なからず影響を与えていくわけです。「思い込み」は、プラスの場面よりもマイナスの場面に強くはたらくように思えます。それだけに、あまり引きずられると正常な判断を阻害しかねません。

情報過多の現在、一面的なあるいは画一的な面にとらまえられることなく、ことの本質を自分なりに理解する姿勢が求められています。「思い込み」をしてしまうことはヒトの習性上避けられないと思いますが、引きずられることのない人間になりたいものです。「安全ピンと錐」ぐらいならかわいいものですが…。


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