
オーストラリアの海岸に二千キロメートル(札幌から沖縄までと同じ距離)も続く長い長いサンゴ礁「グレートバリアリーフ」という名前を、皆さんも聞いたことがおありだと思います。

私は、チョット前「生命の神秘 世界最大のサンゴ礁」というNHKスペシャルを観ました。そこに映し出された赤、白、黄色、オレンジ、緑のまるで宝石のように美しいサンゴは、青く光る海の中に美しく映え、誰に教えられたわけでもないのに、一斉に産卵のときを迎えました。ピンク色のビーズくらいの大きさのつやつや光るサンゴの卵が、海中をふわふわと上へ上へと浮かんでいきます。何万粒、いやもっと多くの卵達は、海の表面にピンク色の帯を作るほど辺りを染めていました。

そんな美しい産卵によって命をつないでいるサンゴが、今とても危機的な状況にあることは皆さんもご存知でしょう。

地球の平均気温が年々上がっている「地球温暖化」という言葉が大きく叫ばれて久しくなります。もし、海の水温がたった1度上昇すれば、サンゴは、その宝石のように美しい色を失い、真っ白になる「白化」という現象が起きてしまうそうです。たった1度水温が上っただけで、自然の生きもの達は、その変化を敏感に察知してしまうのです。

図書館や本屋さんで『100年後の地球(文:木元教子 絵:谷口周郎)』という書籍を見かけたら、どうか手に取ってください。その本には、100年後の地球は、気温が約5,8度上がり、海面は約88センチ高くなると書いてあります。今、当たり前にできている海水浴すらできなくなり、サンゴは死滅してしまいます。

いつまでも美しいサンゴ達が元気で命をつないでいくために、私たちが何ができるのか?考えてみることは必要です。この事実は、人類の危機をサンゴ達が教えてくれていることでもあるのですから。
澪標