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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

良書の持つリズム

2007年07月13日 | 中学受験 行雲流水録
読みやすい文章を書く人の文の長さの平均は40-45字です。文の長さの平均が短い人は、文章を書くときにあまり深く考えていません。ですから、小学生の文章では、文の長さの平均が自然に短くなります。もちろん、これがよくないというのではありません。生活作文などの事実中心の文章では、文の長さは自然に短くなるからです。

哲学者の書く文章などでは、文の長さの平均が60字前後になることがあります。密度の濃さを感じさせる文章ですが、読みやすいとは言えません。また、長い文を書く人は、よく考えて書いているとは言えますが、その分、文章を書くスピードが低下します。

文の長さの平均以外に、長さのばらつきも読みやすさの重要な要素です。同じような長さの続く文章は単調な印象を与えます。しかし逆に、あまりに長い文と短い文が混在している文章は、読みにくさを感じさせます。

長い文と短い文が適度に混在していて、平均が40-45字の文章が、長さという点で言えば読みやすい文章ということになります。

しかし、文章を書いているときに、いちいち字数を数える人はいません。どうしたら適度な長さの読みやすい文章を書くことができるのでしょう。そのためには、頭の中にあるこれまでに読んだ適度な長さの文章のリズムを思い出すことが必要です。則ち、読みやすい文章を書くためには適度な長さの文章を読む必要があるということです。

みなさんは、夏休みには読書感想文のためなどに、いろいろな本を読みます。その多くは主に、最近出版された小学校高学年向けの物語を取り上げる傾向があるようです。それらの本は確かにどれも、子供たちが興味を持って読み進められるような優れた内容の本ですが、一つ一つの文が短いことと、文体がわざとざっくばらんに書いてある本の多いことが気になります。

その一方、芥川龍之介の「杜子春」などは、使われている語彙は古いものの、文体のリズムはやはり洗練されています。子供向けの書籍を選ぶ際には、この文体も重要な要素になってくると、最近、とみに考える次第です。

澪標
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