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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

上を向いて歩こう

2008年08月11日 | 中学受験 行雲流水録
以前、『よく噛む子・よく読む子』というテーマで、東京子ども図書館代表の児童文学者・松岡享子さんが歯科医の石田房枝さんと対談していました。本と歯医者さん?????ですよね。

石田さんは歯科医のかたわら待合室で子ども文庫を開かれているそうですが、最近は「子どもの歯の問題は、ただ歯を見ていたのではだめで、子どもの育ち方から見ていかねばならない」と親子への幅広い関わりをされているとのこと。そんな活動の発端が、最近、小児歯科の世界で虫歯治療より歯並びの悪さが問題となっているから、ということでした。

歯というのは、歯並びが悪くなると、よい呼吸ができなくなり、そこから、健康的な生活ができなくなるのだそうです。歯並びをよくするためにはあごの発達を考えるだけでなく、歯のあるあごをささえる背骨もしっかりとし、姿勢がよくなければならないとのこと。そのためにはからだをしっかり動かす必要があるということでした。

またさらに、びっくりしたことには今の子どもの姿勢の悪さは「ストレス」も大きく関係しているということです。ストレスを受けると、子どもはうつむいてしまいます。すると、あごの関節が圧迫されてしまい、そこからかみあわせが悪くなり、呼吸状態が悪化するとのこと。ストレスは子どもの心だけでなく、歯にも影響を与えていたのです。

以前、理科の授業で冗談に「夕焼けを見たことがない人?」と質問してみたら、数人が手を挙げたことがあります。実際は見ているのでしょうが、意識したことがなかったのです。今の子どもたちは本当に忙しい。時間に追われ、急ぎ足で歩かなければなりません。急ぐためにはころばないように、地面を見てうつむいていなければならないのです。忙しさの中で当然ストレスを感じることもあるでしょう。

そんな今だからこそ、大人は子どもたちに一緒に空を見ることを誘い、雲の季節ごとの移り変わりや夕焼けの荘厳さや夜空にきらめく星座の話などを伴に語るひとときが必要ではないでしょうか。空を見ると、うつむいていた顔も上を向き、広々とした空に、かかえている問題の小ささを感じるかもしれません。夏には入道雲、秋にはうろこ雲…、その姿を今の子どもたちは本当に知っているのでしょうか。

松岡さんは石田さんとの対談に続けて、読書も五感を通して身に付けたことばの実感があるからこそ、文章から生き生きとしたイメージを描くことができると述べていました。五感を通した感動がその子の感性・情緒性や学力さえも生き生きとしたものにするのです。

しかし、このすばらしい感動体験も、大人が楽しげに言語化してあげなければ子どもたちの脳に経験として定着することはありません。忙しくて海や山に行けなくても感動体験はすぐそこにあります。簡単に感動できる偉大な自然・空として。


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