ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

見る・観る・看る・視る・診る

2008年08月05日 | 中学受験 合格力随想
聞いた話です。ある幼稚園で運動会がありました。その幼稚園では、ぐるり見回しても、応援に来ているお父さんお母さんの手にビデオもデジカメもなかったとのこと。ビーチパラソルをたてて、ビデオ片手に場所とりをする保護者もいる昨今なのに誰も持っていませんでした。

しかし、その中に一人だけデジカメ撮影中の方を発見。「やっぱりカメラは必要だよ。」と思ったそのとき、幼稚園の先生のやさしい声が聞こえてきたそうです。「ビデオやカメラ撮影をされますと、かわいいお子さまの姿を直接ご自分の目で見られません。がんばっているお子さまの姿を目と心に焼き付けてください。」なんと、カメラ禁止の運動会!ちょっとびっくりされたそうです。でもよく考えてみると、私たち現代人はカメラやビデオにたよりすぎている面があるのかもしれません。

私は「味いちもんめ」というマンガをよく見ます。一人前の料理人をめざして修業する主人公の話なのですが、その中にこんな場面があります。料理店の常連で、よっぱらいのマネが上手な落語家が言うのです。「おれは、よっぱらいだけじゃなく、世の中の人をつぶさに観察するんだ。いまの若い人は、ビデオなんてものにたよりきって、物をよく見て覚えるということができないんじゃないかな」。それを聞いた主人公は、先輩料理人の包丁さばきをビデオにとろうとしていた自分が恥ずかしくなり、じっくり観察して目に焼き付ける……という話です。

運動会で走る子どもの姿を、ビデオにとれば何度でも見られます。しかし、ビデオをとることに集中してしまうと、子どものがんばる様子をじかに目で見ることができず、液晶画面とにらめっこをするだけで終わってしまいます。「目に焼き付ける」ことの大切さを実感し、私を含め便利さにかまけた現代人の生活を反省させられたお話でした。


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