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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

教育の目的

2010年11月26日 | 中学受験 合格力随想

現在の教育の目的は、受験に合格することになっています。以前は、それでもよかったでしょう。学歴社会が厳然と存在していました。もちろん、今でも学歴社会は残っています。有名大学を出れば、その人物の保証書となります。しかし、現在では、その保証書はただの紙切れであり、以前ような人生そのものの保証書とはなりえない状態です。

ということは、よい学校に入ることの意味は、単なるスタート地点に着くことでしかなくなります。そう考えると、教育の目的も、受験に合格することだけではなく、その後の社会人としての歩みにも関わることとなります。 図式的に言うと、受験という近距離の目的で教育をすると、受験が終わったあとそのまま失速する可能性もかかえるということです。

人生における成功とは、何でしょう。私はそれは、人間の幸福、向上、創造、貢献という四つの目的を実現することだと考えています。 人の一生を左右する仕事。その仕事には、他人と関わる面が多くあります。そして、極論すれば自分の得意を生かして、人、物、金、知を動員することだと言うことができます。これからの教育は、そういう能力を育てる必要があるのです。

つまり、大事なことの第一は、得意分野を育てるということです。 第二は、その得意分野を現代の社会にどう生かしていくかという生かし方を学ぶことです。「得意を育てる」「生かし方を学ぶ」、この二つが今後の教育の目的になると思います。それは、「竿を手に入れて」(得意分野)、「釣り方を身につける」(生かし方)こととも言えます。これに対して、試験で合格していい学校や会社に入るということは、いい魚屋さんに行って魚を買うことと言えるかもしれません。 この二つの発想の違いは、長い年月のうちに大きな差になってきます。

さてそれでは、得意を育てるためには、どのような教育が必要なのでしょう。そこで大切になってくることに、小さいころから意欲を育てるということです。そのためには幸福を味わう能力を身につけることが必要です。この幸福感が仕事の動機になっていきます。また、生かし方を学ぶとは、総合力をつけると言い替えることができます。その力は、第一に、トータルな理解力、読解力をつけるということ、第二に、自分で考えて物事を統合する力をつけるということ、第三に、必要な道具を使いこなす技能を身につけるということとなるでしょう。

将来、豊かな社会の中では、生活のための仕事ではなく、人生のための仕事をするということになるはずです。教育も、そのような時代における仕事を目的として考えていく必要があるのではないでしょうか。


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