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ALGOの塾長日記~愚公移山~

-学習塾方丈記-

学習指導の由なしごとを
    徒然に綴ります。

作文入試について

2010年11月18日 | 中学受験 合格力随想

公立中高一貫校の入試で、なぜ作文試験が行われているのでしょうか。その理由は、公立なので、受験勉強をあおるような入試はできないというところにあります。そこで、知識を問うような普通のテストのほかに、作文試験が課されるのです。

少し話しは脱線しますが、現在の公立小中学校の学習の範囲は、やさしすぎます。基本をしっかり身につけることは大切ですが、教科書の中にレベルの高い問題がないと、物足りなさを感じる生徒もいることでしょう。公立中高一貫校では、そのような教科内容をもとに入試の選抜試験をしなければならないため、必然的に書かせる試験という形をとらざるを得ないようです。

大学入試では、一足先に小論文試験を導入していました。これは、センター試験などマークシート方式の試験を補完する形で登場しました。 当初の小論文試験は、ありふれた課題でした。極端にいうと、「私の家族」「私の友達」のような誰でもが思いつきそうな身近な題名課題で出されていました。しかし、それで入試の選抜ができたのは最初のうちだけです。すぐに受験生が対策を研究して、だれもが同じ水準で上手に書けるようになりました。そこで、身近な題名課題ではなく、文章を読んで感想を書く形の感想小論文のスタイルに次第に変わっていきました。

その後、さらに小論文入試に力を入れる大学では、複数の文章を読ませて感想文を書かせるような、より深く考えさせる問題に進化していきました。しかし、小論文の課題設定が工夫されればされるほど、採点者の負担が大きくなります。また、採点者による評価の個人差も大きくなります。そこで、現在の小論文入試では、AO入試や指定校推薦入試を除いて教科の点数でかなりの部分の合否を決め、合格の人だけ小論文をみるという形になっているのではないかと思います。これは、私見ですが、実際には受験生に一日に複数の小論文を書かせるような形でないと、本当の実力はわからないのではないかと考えています。

中学入試の作文試験も、これから大学入試と同じような経過をたどるでしょう。作文を読むと、たしかに本人の知的な実力がよくわかります。それが難しい課題であればあるほどそういう傾向が強くなります。逆に、「私の○○」などというやさしい題名では実力差はあまりつきません。しかし、難しい課題で作文を書かせて採点するとなると、採点に時間がかかりすぎます。選抜のために採点に差をつけるというのは、さらに大変な仕事になります。

今後の予想としては、公立中高一貫校の作文試験においては当面、身近な課題がまだ少しは残るでしょう。しかし、やがて文章読んで作文を書かせるような形が主流になっていきます。しばらくは、その文章も学校や家庭によくある身近な話のはずです。しかし、だんだんと思考力を要求するような難しい文章が課題として取り上げられることになります。採点する側の事情から言うと、文章の上手さを評価するのは難しいので、思考力があるかないかを評価する形の採点になっていくと思われます。 では、受験生は今後どういう対策を立てたらいいのでしょうか。対策は、三つあります。

まず第一に、やさしい身近な課題をざっと練習しておくことです。題名としては「私の○○」「私と○○」というような課題です。これで、1時間以内に600字から800字書く練習していきます。作文試験の時間はだんだん短くなる傾向にありますから、慣れてきたら45分以内に600字から800字書く練習をしていくといいでしょう。身近な題名課題を何本か書いておくと、感想文の課題にもそこで書いた実例を応用することができます。

第二に、1000字から2000字ほどの説明文・意見文の文章読み、その文章をもとに感想文を書く練習をします。これが今後の学習の中心となります。これも1時間で600字から800字を書けるようにしておきます。慣れてきたら45分以内で書けるようにしましょう。

第三に、複数の文章読んでの感想文を書く練習もしておきます。こういう形の作文試験を出すところはあまりないので、数回やっておけばいいでしょう。 作文の学習でいちばん大事なことは、本人のそれまでの読書力とご家庭の対応になります。家庭の対応とは、保護者の方がお子さんにどれだけ多く身近な課題や時事問題についての実例や感想を話してあげることができたかということです。


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