Movieな空間

映画大好き人間の気ままな空間です!!

勇気溢れる『ブレイブ ストーリー』

2007年05月06日 12時29分06秒 | Weblog
 民放地上波では、初のオンエアーである『ブレイブ ストーリー』を観た。
しかし、この映画を観ると、昨年の試写会でのことが思い出される。女子高校生
限定の試写会だったが、応募したら当選した通知が来てしまった。女子高校生限定ですが、観賞できるか確認するも、OKとのことで、夫婦で観賞に出かけた。場所は、ワーナーブラザース映画の特別試写室。マスコミ公開の時に使用する自社試写室です。50名程度は入れる小さな劇場なのですが、すぐそばにスクリーンがあり、段差設定が視界を遮らないように、かなり一段ごと高い設定となっていた。早めに行ったので、少し待っていると、次から次へと女子高生ばかりが入場してくる。気がつけば、周りはすべて女子高校生で、大人は私たち2人だけ。かなり、緊迫した状況で、試写会に参加した思い出がある。そんな、いわくつきの映画だったのです。
 日本映画の製作にも積極的なワーナー・ブラザース。「青の6号」など世界屈指の先端技術で知られる映像制作スタジオGONZO。この3者がタッグを組んだというのが映画のウリだ。さらに、原作は40万部を越える宮部みゆきのベストセラー小説。声優に松たか子、常盤貴子、ウェンツ瑛士らを迎えて、まさに話題ずくめなのである。
 主人公は11歳の少年ワタル。父が妻子を捨てて家を出、そのショックで母が倒れるという“家族崩壊”の危機にあって、ワタルは運命を変えるために〈扉の向こう〉へと向かう。そこは〈ビジョン(幻界)〉と呼ばれる世界。〈見習い勇者〉となったワタルは、ここで出会った仲間とともに、願いをかなえるための〈5つの宝玉〉を手に入れるべく冒険の旅に出る。子供が扉の向こうの別世界に行く、と聞いて思い出すのは『千と千尋の神隠し』。皇帝の居城〈クリスタル・パレス〉、願いをかなえてくれる〈運命の女神〉がいる〈運命の塔〉、司教が治める町〈リリス〉、獰猛な〈ねじオオカミ〉と戦う〈不帰の砂漠〉といったビジョン国の地図は、まるで『ロード・オブ・ザ・リング』の中つ国を小規模にした感じ。爬虫類のような〈水人族〉や猫のような〈ネ族〉など、異なる種族で構成される〈旅の仲間〉も同様だ。ワタルより一足先にビジョンに行って〈魔導士〉として力をふるう優秀な同級生ミツルとの関係は『ハリー・ポッター~』の風味。さらに、ペットのように可愛くて小さい〈ファイアドラゴン〉は『風の谷のナウシカ』、ビジョンの秩序を守る〈ハイランダー〉の女隊長は『もののけ姫』と、宮崎アニメの影響も色濃く感じられる。ただし、ワタルの目的は『ロード・オブ~』のように崇高ではなく、物語やキャラクターも宮崎アニメよりずっとストレートでわかりやすい。ワタルが旅で学んだのは、「自分勝手な願望で他人の幸せを壊してはならない」ということ。「人生とは、幸と不幸、喜びと悲しみの繰り返し」だということだ。製作者たちが「ワタルを等身大のキャラにしたかった」と語るように、ティーンエージャーでも十分に理解できる内容だ。
 物語の最後の方で、もう一人の自分と対峙するシーンがある。自分の分身であるもう一人を消滅させることは自分を消滅させることになる。このシーンは、映画「世にも怪奇な物語」のー影を殺した男ーを彷彿とさせる。どんなに自分に対峙しても、同じ自分であることを理解し、そのものまでをも許し、受け入れる心の大きさを試される試練。ワタルは、いやなもうひとつの自分を優しく受け入れる事ができた。これは、このビジョンで経験してきた多くの友との間に培われてきた友情・愛情・勇気が凝縮したものだったのだろう。ミツルは、もう一人の自分を受け入れる事が出来なかった。ビジョンを通じて学んだことが、ここで大きな差異となったのだ。
 そして、最後に女神との会話の中。ワタルは、自分のことだけのためにこのビジョンに来て、状況を変えようとしたが、いつしか、そんな事は大きな目標ではなくなり、ビジョンに溢れた邪悪な魔族を追い払い、ビジョンの住人たちが元の幸せな生活に戻れるようにと願いを伝える。本当に、大人になった「勇者」の言葉であった!!
 この映画は、本当に、自分自身に勇気を与えてくれるし、生き方の価値を大きく揺さぶられる気がする。忘れてしまった本当に大事な素晴らしいものを、呼び起こしてくれる映画であると思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿