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子供への虐待を考える、映画『来る』

2018年12月09日 21時52分34秒 | Weblog

 岡田准一主演の映画『来る』(2018年東宝制作)をMOVIXで見た。ホラー映画かと思いきや、この映画の深層はそのようなものではなく、子供への虐待によって復讐されるスプラッター映画だったのである。原作とはだいぶ違う映画構成に、考えさせられる点が多かった。どのような意味なのか、何が化身かしているのか、「痛み」とは何か・・・。
 第22回日本ホラー小説大賞に輝いた澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を、『告白』などの中島哲也監督が映画化。謎の訪問者をきっかけに起こる奇妙な出来事を描く。主演を岡田准一が務めるほか、黒木華、小松菜奈、松たか子、妻夫木聡らが共演。劇作家・岩井秀人が共同脚本、『君の名は。』などの川村元気が企画・プロデュースを担当した映画作品。
 幸せな新婚生活を送る田原秀樹(妻夫木聡)は、勤務先に自分を訪ねて来客があったと聞かされる。取り次いだ後輩によると「チサさんの件で」と話していたというが、それはこれから生まれてくる娘の名前で、自分と妻の香奈(黒木華)しか知らないはずだった。そして訪問者と応対した後輩が亡くなってしまう。2年後、秀樹の周囲でミステリアスな出来事が起こり始め......。
 この映画は、何を言おうとしているのかが、はっきりしない。形だけの幸せを装い、自分はイクメンであることを誇らしく記載するブログの内容であるが、実際にはまったく育児に興味はなく、子供に愛情もなく、妻を支援することもしない夫。そんな夫に嫌気がさし、子供への虐待や不倫に走る妻。いつまでも、子供は幸せな状況になれない。そんな中に、ぼぎわんと言う、得たいのしれない化物が襲って来るのである。霊媒師は、「痛みを感じることが、生きているということだ」と言う。痛みを感じられなくなった人間は、もはや生きている存在ではないのだろう。人の痛み、苦しみを感じてこそ、生きているのである。これらを全く感じなくなった人間は、もはや死人であり、生きている意味もないのである。子供は、最後に、自分の好きなオムライスの世界に逃避する。ここが、幸せな、最も安らげる環境だったからである。


映画『来る』特報


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