怪盗マルダヌキ、観念せいっ!!
もう、どこにも逃げられんぞっ! おとなしくお縄を頂戴しろっ!
くっ! こしゃくな攻撃を・・・
あっ 木に登ったぞ!
枝伝いに逃げるつもりだなっ!
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短冊形の長い空から粉雪が吹き寄せる。空は白く雪も白い。額縁になぞらえた真竹の濃緑が粉雪に霞む。堆積する雪は枝をしならせ先を鋭く研ぎ澄ませた雪氷片を、とうに落ち尽くした葉に替わってひとつ、またひとつと風に散らせる。その竹林の中に一匹の猫がいた。降り積む雪は厚さを重ね氷の滴は連なり合ってひとつの層となり、手足を丸めた猫の体は中身の無いただの毛皮のように通り過ぎる時間の中に埋もれていく。
猫はまるで動 . . . 本文を読む
このところとても暑い。
35、6度の日が続いている。つい先週までは夏にしては涼し過ぎるくらいの天気だった。程よく雨も降ったし、お陰で去年熱射病で入院した隣のお婆さんもすこぶる元気だった。
それがいきなりこの暑さ! まあ、これこそが真夏ではあろう。お陰で出穂も遅れるだろうと予想されていた稲も挽回し、昨日我が家の田では初めての出穂を確認した。今朝もう一度歩いてみたら、この好天に押されてあちらでもこちら . . . 本文を読む
批評家というものは
決して行動をしないものなのさ。
批評家の道を選んだその時から始めて
だんだん立場の逆転が怖くなるんだろう。
だからそんな生活を続けていると
目玉と耳たぶと、頭の一部だけが異様に大きい
達磨みたいな存在になる。
まあ、人間にはそんな生き方もあって
それはそれでその人にとってみれば
そこそこに面白いものなのさと
さっきうちのネコに話して聞かせたら
そん . . . 本文を読む
朝には深い靄がかかっていた。
水の中にいるように涼しい。どんな重い二日酔いの日でもこの大気にどっぷりと浸れば10年分は精気を取り戻す、そんな爽やかな朝だった。
こんな朝の空気を全身に浴びながら、ジャガイモを掘ってみようか。
山を控えた猫家に朝陽が差し込むにはまだ間がある。炎天でもなく雨模様でもない、そんなあたかもジャガイモを掘る人のためにあつらえたようなステージの中で、今日はひと畝だけ掘り起こ . . . 本文を読む
全ネコヘビー級チャンピオン、クーマ・フトリスギッチ選手、堂々たる入場です!
さあ、今夜は猫家庭先特設会場におけるノン・タイトル非公式マッチ、我らがヒーロー・クーマ選手、いったいどんなエキサイティングぶりを見せてくれるのか!?
あっ、西の花道から、対するマルダヌキ・ハライ . . . 本文を読む