(2025年03月20日[木])
松橋事件再審無罪…これまた、典型的な《自白を偏重する捜査の危うさ…証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題》を含む冤罪事件だった。
日本弁護士連合会の【松橋事件】(https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/retrial/shien/matsubase.html)よると、《この事件で、宮田さんが犯人であることを直接示す証拠は、宮田さんの「自白」だけでした。裁判のやり直しのための準備をしていた弁護士は、1997年、まだ開示していない証拠を見せるよう検察官に求めました。そして、弁護士が開示された証拠物を確認したところ、その中に、シャツの布切れが「4枚」ではなく「5枚」あることがわかったのです。しかも、その「5枚」の布切れを並べてみると、なんと、完全な1枚のシャツが復元されたのです。宮田さんが「燃やした」と自白させられていたシャツの左袖部分も、捜査機関はずっと持っていたのです。さらに、「切出小刀に巻き付けて刺した」とされたそのシャツの左袖部分からは、血液が検出されていなかったこともわかりました。シャツの左袖は、犯行に使われてもいなかったし、その後に燃やされてもいなかったのです》。
この日本弁護士連合会の重要な結論…《証拠開示の法制化、検察官の不服申立ての禁止は、一刻も早く、実現されるべきです》。
《96歳の原口アヤ子さんが無実を訴え続ける大崎事件の弁護人で、日本弁護士連合会の再審法改正実現本部・本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は「一刻も早く再審法を改正しなければ悲劇が繰り返される」と危機感をにじませ、改正の要点を次のように指摘する。「一つは証拠開示の問題です。大崎事件の第2次再審では高裁の裁判長の積極的な訴訟指揮で、それまで検察官が『ない、ない』と言い続けてきた証拠が213点出てきました。さらに第3次再審になると新たに18点出た。なぜ、こんなことが起きるのか。証拠開示を定めたルールがないからです。大崎事件だけでなく、布川事件、東電女性社員事件、松橋事件などは、再審を求める中で重要な証拠が開示され、再審開始決定の決め手になった。規定がないために、検察は隠し通そうとし、開示が個々の裁判官の“やる気”に左右されるのです」》(秦融氏による、(2023/7/22(土))Yahoo!ニュースの記事)。
34年も経ってようやく、松橋事件の再審無罪が確定。その国賠訴訟。「自白を偏重する捜査の危うさ…証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」が指摘されていた。検察や警察のデタラメ、そして役立たずな司法。《責任は極めて重い》。《名誉を回復するには、あまりにも長過ぎる34年間》であり、償いようのない時間だ。熊本地裁で、国に賠償命令が出された。当然だ。
時事通信の記事【国に2380万円賠償命令 「松橋事件」国賠訴訟―熊本地裁】(https://www.jiji.com/jc/article?k=2025031401100&g=soc)によると、《判決で品川裁判長は、捜査段階で宮田さんが「凶器の小刀に巻き付け、犯行後に燃やした」と供述していた布片が、実際には残っていたことが起訴後明らかになったと指摘。検察官は公判の被告人質問などで布片が残っていることを明らかにする注意義務があったのに怠っており、違法だと判断した。…判決後、記者会見した遺族側弁護団共同代表の斉藤誠弁護士は「えん罪の発生を防ぐ役割を裁判所に期待したが、不十分だ」と話した》。
冤罪はいつまでたっても晴れないケースが多い。松橋事件のような稀な例を除けば(といっても、検察は最「低」裁に特別抗告していた訳で、誤りを認めたのではない)、警察や検察、裁判所は決して誤りを認めようとしない。袴田冤罪事件なんてその典型だ。検察=《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》と。長く長く、気が遠くなるほど長く《巌さんは、いまも、死刑囚のまま》の状態を強いられた。アノ検事総長は今も誤りを認めていないし、謝罪の言葉さえない。
『●冤罪は晴れず…「自白を偏重する捜査の危うさ…
証拠開示の在り方…検察が常に抗告する姿勢の問題」』
(東京新聞社説)【松橋事件再審 早く無罪を告げるため】
《一九八五年の松橋(まつばせ)事件(熊本県)の再審が決まり、
殺人犯とされた男性は無罪となろう。決め手の新証拠は何と
検察側から出てきた。再審における証拠開示の明確なルールづくりが
必要だ。…一つはやはり自白を偏重する捜査の危うさ…もう一つは
証拠開示の在り方…さらに検察が常に抗告する姿勢の問題だ》
『●34年間、《もっと早く解決できなかったのかという無念》…
宮田浩喜さん、松橋冤罪事件の再審無罪が確定』
(琉球新報社説)《名誉を回復するには、
あまりにも長過ぎる34年間だった。一人の人生を踏みにじる
重大な人権侵害を招いた自白偏重の捜査手法と、それをチェック
できなかった裁判所の責任は極めて重い》
『●検察による恣意的・意図的な証拠の不開示、証拠の隠蔽や喪失、
逆に、証拠の捏造…デタラメな行政』
(東京新聞の社説)【布川事件に賠償 再審でも証拠開示を】
《近年の再審無罪のケースは、検察側の証拠開示が決め手になって
いる場合が多い。松橋事件(熊本)、東京電力女性社員殺害事件
(東京)、東住吉事件(大阪)…。新証拠が確定判決をゆるがせ、
無罪に導いている。もはや全面的な証拠開示が必要なときだ。
裁判員裁判の時代でもある。冤罪(えんざい)をこれ以上、
生んではいけない》
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を
説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
《元看護助手・西山美香さん…「…鹿児島・大崎事件(第4次
再審請求中=懲役10年)の原口アヤ子さんは41年間無実を
訴えていますし、松橋事件(懲役13年)も無罪確定まで34年
かかっています。正直、再審開始が決まったときはほっとした
と同時に、長く闘われている方には申し訳ない気持ちも
ありましたね。」》
『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》』
《(琉球新報)<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ
…「疑わしきは被告の利益に」という原則を再審請求の審理にも適用
した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は
遠かった。審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を
防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ。…
捜査当局が再審請求の段階で新たに開示した証拠に基づく
再審開始決定が近年相次いでいる。茨城の布川事件や、熊本の
松橋事件などは新証拠がきっかけとなり、再審無罪につながった。
日野町事件も再審裁判が始まれば無罪となる可能性がある。さらに
言えば、確定前の裁判でネガなどの証拠が明らかになっていれば、
判決内容に影響を与えていたかもしれないのだ。検察の責任は重い》
『●工藤隆雄氏《日本の司法には昔から冤罪体質があり…事件の背後には後に
「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれた紅林麻雄という静岡県警の刑事がいた》』
=====================================================
【https://www.jiji.com/jc/article?k=2025031401100&g=soc】
国に2380万円賠償命令 「松橋事件」国賠訴訟―熊本地裁
時事通信 2025年03月14日18時34分配信
(松橋事件国賠訴訟の判決後、「一部勝訴」と書かれた
垂れ幕を掲げる弁護士=14日午後、熊本地裁前)
熊本県宇城市(旧松橋町)で1985年、男性が刺殺された「松橋事件」で、殺人罪などで服役後、再審無罪が確定した宮田浩喜さん(2020年に死去)の遺族が、捜査などに違法性があったとして国と県に約8480万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が14日、熊本地裁であった。品川英基裁判長は、捜査の違法性は認めなかった一方、公判で検察官に注意義務違反があったとして、国に約2380万円の支払いを命じた。
死刑確定事件、全て控訴断念 検察側、有罪主張も再審無罪
判決で品川裁判長は、捜査段階で宮田さんが「凶器の小刀に巻き付け、犯行後に燃やした」と供述していた布片が、実際には残っていたことが起訴後明らかになったと指摘。検察官は公判の被告人質問などで布片が残っていることを明らかにする注意義務があったのに怠っており、違法だと判断した。
一方、県警の取り調べについては、暴力やどう喝などがうかがわれないことなどから「社会通念上相当と認められる方法を逸脱したとは認め難い」とした。
訴訟は宮田さんが20年9月に起こしていたが、亡くなったため遺族が引き継いでいた。
判決後、記者会見した遺族側弁護団共同代表の斉藤誠弁護士は「えん罪の発生を防ぐ役割を裁判所に期待したが、不十分だ」と話した。
熊本地検の話 判決内容を検討し、関係機関および上級庁と協議した上で適切に対応したい。
=====================================================
=====================================================
【https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/retrial/shien/matsubase.html】
松橋事件
事案の概要
1985年(昭和60年)1月8日の朝、熊本県松橋(まつばせ)町(現在の宇城市)で、一人暮らしをしていた59歳の男性が自宅で亡くなっているのが発見されました。事件が起きた町の名前にちなんで、「松橋事件」と呼ばれている事件です。
遺体には多数の刺し傷があり、死因は失血死でした。状況からして、被害者が何者かに殺害されたことは明らかでした。
被害者の遺体は、発見時には死後2~4日間が経過していると推定されました。殺人事件として捜査を開始した警察は、遺体発見の3日前の1月5日夜に、被害者の家で開かれていた酒宴の際に被害者と言い争いをしていた宮田浩喜さんに目をつけ、1月8日夜、警察署に呼び出しました。
そして、その後12日間にわたり、警察は宮田さんを呼び出して連日長時間の取調べを行いました。宮田さんは、1月19日までは犯行を否認していましたが、1月20日、自宅を訪れた警察官らに、やってもいない罪を認める「自白」をし、逮捕されてしまったのです。その際、宮田さんは、「切出小刀を使って被害者を殺した」と話し、捜査機関に自分が持っていた切出小刀を提出しました。
捜査機関はその後、「切出小刀」を調べましたが、その「切出小刀」には、血液が一切付いていなかったのです。
捜査機関は、その理由を説明するため、2月5日、宮田さんに、「何年か前まで着ていた赤と茶のネルシャツの左袖を切出小刀に巻き付けて刺した」と自白させました。これは、宮田さんが最初に自白をさせられた1月20日には出てきていなかった話でした。
そして、その翌日の2月6日、捜査機関は、宮田さんの家から発見された、左袖部分を除いたチェック柄のシャツの布切れ4枚を宮田さんに見せ、「このシャツの左袖を切り開いて使った。巻き付けた左袖は犯行後に燃やした」と自白させたのです。
この自白をもとに、宮田さんは、2月10日に起訴され、裁判にかけられることになりました。宮田さんは、裁判の途中から無罪を訴えましたが、熊本地方裁判所は宮田さんに懲役13年の判決を言い渡し、この判決は1990年に最高裁判所で確定し、宮田さんは長期間服役することになってしまったのです。
経過と問題点
この事件で、宮田さんが犯人であることを直接示す証拠は、宮田さんの「自白」だけでした。
裁判のやり直しのための準備をしていた弁護士は、1997年、まだ開示していない証拠を見せるよう検察官に求めました。そして、弁護士が開示された証拠物を確認したところ、その中に、シャツの布切れが「4枚」ではなく「5枚」あることがわかったのです。しかも、その「5枚」の布切れを並べてみると、なんと、完全な1枚のシャツが復元されたのです。宮田さんが「燃やした」と自白させられていたシャツの左袖部分も、捜査機関はずっと持っていたのです。さらに、「切出小刀に巻き付けて刺した」とされたそのシャツの左袖部分からは、血液が検出されていなかったこともわかりました。シャツの左袖は、犯行に使われてもいなかったし、その後に燃やされてもいなかったのです。
完全に復元されたシャツ
そのシャツの左袖部分は、宮田さんが起訴された4日後の1985年2月14日に宮田さんの家から発見されて捜査機関の手に渡り、その日のうちに血液の付着の有無について調べる手続が行われていました。そして、14日後の2月28日には「血液の付着を証明し得ない」旨の鑑定書が作られていました。しかし、捜査機関は、そのことを全て把握しておきながら、「燃やした」とされたシャツの左袖部分が見つかったことも、その部分に血液が付いていなかったことを示す鑑定書も、当初の裁判では提出しなかったのです。
裁判のやり直しの段階になってようやく、捜査機関が弁護士側に開示してこなかったシャツの左袖部分が発見されたことで、宮田さんが虚偽の自白をさせられた可能性が濃厚となり、2016年6月30日、熊本地方裁判所は、裁判のやり直しを認めました。
(再審開始決定に喜ぶ宮田さん)
しかし、検察官は、この判断を不服として、福岡高等裁判所に「即時抗告」をしたのです。2017年11月29日、福岡高等裁判所は、検察官の「即時抗告」を退け、裁判のやり直しを支持しましたが、これに対して検察官は、さらに、最高裁判所に「特別抗告」まで行いました。
2018年10月10日、最高裁判所は検察官の「特別抗告」を棄却し、ようやく宮田さんの裁判のやり直しが確定しました。その後の2019年2月、宮田さんに対するやり直しの裁判が行われ、熊本地方裁判所は、2019年3月28日、宮田さんに無罪判決を言い渡しました。事件が起き、宮田さんが犯人として逮捕されてから、34年以上も経ってのことでした。
無罪が確定した翌年の2020年10月29日、宮田さんは87歳で亡くなりました。宮田さんのことをずっと支え、裁判のやり直しの手続にも協力していた宮田さんの長男は、2017年9月、父親の汚名がそそがれる様子を見ることも叶わず、病気で亡くなりました。
捜査機関が証拠を隠すことなく、シャツの左袖部分が見つかり鑑定書が作成された1985年2月の段階で、その証拠を弁護士に開示するとともに裁判所に提出していれば、そもそも、その後に宮田さんに有罪判決が言い渡され、宮田さんが長期間にわたって服役することにはならなかったかもしれません。宮田さんが、34年以上もの間、殺人犯の汚名を着せられて苦しむ必要はなかったのです。
また、裁判のやり直しを認めた2016年6月30日の熊本地方裁判所の判断に対し、検察官が「即時抗告」や「特別抗告」といった不服申立てを行わなければ、宮田さんの長男がご存命の間に、宮田さんに対して無罪判決が言い渡されていたことでしょう。しかも、「即時抗告」や「特別抗告」の手続が行われていた間に、宮田さんご自身の認知症も進んでしまいました。検察官の不服申立てが禁止されていれば、宮田さんが、人生の最晩年の約3年間を、殺人犯の汚名を着せられたまま過ごさなくてもすんだはずです。また、裁判の意味をもっと理解した上で、ご自身の雪冤が果たされた喜びをより一層噛み締めることができたはずです。
証拠開示の法制化、検察官の不服申立ての禁止は、一刻も早く、実現されるべきです。
=====================================================
―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》 (2025年03月02日[日])
冤罪・大崎事件で終始一貫して無罪を主張、「あたいはやっちょらん」と原口アヤ子さんが〝叫べなくなる〟のを待つ冷酷な司法…《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《第4次再審請求について、最高裁は再審を認めない決定》…。原口アヤ子さんは97歳だ…。
鴨志田祐美さんのつぶやき《大崎事件第4次請求で最高裁は25日付で再審を認めない決定をしました。しかし、全部で23ページの決定のうち、「原決定を破棄自判して再審開始すべき」という宇賀克也裁判官の反対意見が14ページを占めています》。
(東京新聞社説、2019年6月28日)《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた》…かつて、最高裁は、再審するかどうかを延々と議論し、三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返ししている。
(東京新聞、池田悌一記者、2019年6月27日)《第一次再審請求審を加えると、三度にわたり再審開始決定が出ながら、再審の扉は唐突に閉じられた。「疑わしきは被告の利益に」という刑事裁判の鉄則は守られたのか。新旧証拠の総合評価で確定判決に疑いが生じれば、再審を開始すべきだとする「白鳥決定」に沿ったと言えるか疑問だ》。
そして、4回目。《裁判官5人中4人の多数意見》…《「原決定を破棄自判して再審開始すべき」という宇賀克也裁判官の反対意見》を4人はどう思ったのか?
東京新聞の記事【最高裁、大崎事件の再審認めず 新証拠は「証明力に限界」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/388216)によると、《1979年、鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求で、最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)は、殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(97)の弁護側が提出した新証拠は「証明力に限界がある」として、原口さん側の特別抗告を棄却する決定をした。25日付。さらに不服を訴える手段はなく、再審を認めない判断が確定した。裁判官5人中4人の多数意見。》
《殺人の事実認定に「合理的疑い」》《「原決定を破棄自判して再審開始すべき」という宇賀克也裁判官の反対意見》を他の裁判官4人はどう思ったのか?
三宅千智記者による、東京新聞の記事【46年前の「大崎事件」最高裁が再審認めず 第4次請求、裁判官1人は「再審開始決定すべき」と反対意見】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/388209)によると、《◆反対意見の裁判官、殺人の事実認定に「合理的疑い」 一方、宇賀裁判官は反対意見で、救命救急医の鑑定を「写真は極めて鮮明で、死因の特定は可能」として信用性を認めた。その上で、複数回の再審請求があった事件は、過去の審理の証拠も含めて評価する必要があると指摘。第1次請求審で、死因を窒息と推定した鑑定が撤回されたことも踏まえ、確定判決で有罪の根拠となった証拠は「証明力はもはや無きに等しい」とし、「殺人事件であることの直接証拠は皆無」と断じた》
最高裁によるちゃぶ台返しなど、異例の経過を辿る冤罪・大崎事件…《鴨志田祐美弁護士は「検察官の不服申し立てがなければ、原口さんはずっと前に再審無罪になっていたと思う」と現行制度を批判》。
三宅千智記者による、東京新聞の記事【「最高裁判事の矜持を疑う」大崎事件の再審請求棄却に怒りの弁護団 初めて反対意見を出した判事の指摘は】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/388307)によると、《「なぜ一貫して無実を訴えている人が供述弱者の自白に引っ張り込まれ、救われずにいるのか。多数意見を書いた最高裁判事の矜持(きょうじ)を疑う」。4度目の再審請求の棄却が確定し、原口アヤ子さんの弁護団が26日、東京都内で記者会見して怒りをあらわにした。原口さんの第1~3次の再審請求審では、地裁や高裁が計3回再審開始を認めたにもかかわらず、検察官の不服申し立てを受けていずれも上級審が取り消すという異例の経過をたどってきた。弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士は「検察官の不服申し立てがなければ、原口さんはずっと前に再審無罪になっていたと思う」と現行制度を批判した》。
そして、《現状ではルールがない証拠開示の制度化や、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て禁止などを盛り込んだ法改正案の骨子》…再審法の改正の動きも、非常に鈍い。
『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し』
《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》
『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう
としているのに許せない。もともと無実なのだから」》』
「大崎事件について、
《元裁判官の木谷明弁護士…
「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。
『イチケイのカラス』…のモデルの一部になっているらしい」
『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》』
《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に」は再審請求にも
当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
ならない》
「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が
出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
でっち上げを追認した裁判官だろう》」
『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求・
糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》』
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?』
『●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょ
らん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?』
『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」』
『●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない裁判
所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
「再審法の改正を。いま何かと話題の鹿児島県警。かつて、
鹿児島県警と言えば、原口アヤ子さんの大崎事件。そして、
なんと言っても、志布志事件。体質は変わらない。」
『●工藤隆雄氏《日本の司法には昔から冤罪体質があり…事件の背後には後に
「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれた紅林麻雄という静岡県警の刑事がいた》』
《96歳の原口アヤ子さんが無実を訴え続ける大崎事件の弁護人で、
日本弁護士連合会の再審法改正実現本部・本部長代行を務める
鴨志田祐美弁護士は「一刻も早く再審法を改正しなければ悲劇が繰り
返される」と危機感をにじませ、改正の要点を次のように指摘する》
『●再審法の改正を…桐山桂一さん《冤罪ほど人生や人権を踏みにじる不正義
はない。…袴田巌さんの再審が決まった…大崎事件は…冤罪が疑われる》』
りんく 『●冤罪・大崎事件…《全部で23ページの決定のうち、「原決定を破棄自判して
再審開始すべき」という宇賀克也裁判官の反対意見が14ページを占めています》』
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/388216】
最高裁、大崎事件の再審認めず 新証拠は「証明力に限界」
2025年2月26日 12時35分 (共同通信)
(97歳の誕生日を迎えた原口アヤ子さん
=2024年6月15日、鹿児島県の介護施設)
1979年、鹿児島県大崎町で男性の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求で、最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)は、殺人罪などで服役した原口アヤ子さん(97)の弁護側が提出した新証拠は「証明力に限界がある」として、原口さん側の特別抗告を棄却する決定をした。25日付。さらに不服を訴える手段はなく、再審を認めない判断が確定した。裁判官5人中4人の多数意見。
今回の請求で弁護側は、遺体の写真を鑑定した結果、男性は酒に酔って道路脇の溝に落ちた後、頸椎を保護しない不適切な救護をされたことにより、確定判決が原口さんが殺害したと認定した時間より前に死亡していたと主張していた。
これに対し第3小法廷は、鑑定は遺体を直接検分したわけではなく、一部が写った写真の限定的な情報により推論を重ねたものだとして「証明力には限界があり、死因の一つの可能性を指摘したにとどまる」と判断。共犯者の自白や目撃証言は「信用性は相応に強固だ」とした。学者出身の宇賀克也裁判官は「再審開始決定を行うべきだ」との反対意見を付けた。
=====================================================
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/388209】
46年前の「大崎事件」最高裁が再審認めず 第4次請求、裁判官1人は「再審開始決定すべき」と反対意見
2025年2月26日 11時59分
鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求の特別抗告審で、最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)は、殺人罪などで服役した義姉の原口アヤ子さん(97)の再審開始を認めない決定をした。25日付。一審に続いて請求を棄却した福岡高裁宮崎支部決定が確定した。裁判官5人のうち4人の多数意見。宇賀克也裁判官は「再審開始決定をするべきだ」と反対した。
大崎事件の再審請求を巡り、最高裁で反対意見が出たのは初めて。
第4次請求審で原口さんの弁護側は男性の死因について、司法解剖写真を基に救命救急医が調べた鑑定書を新証拠として提出。男性は酔って道路の溝に落ちた際に首を損傷し、自宅に運ばれたときには死亡していた可能性が高かったとした。自宅到着後に絞殺された殺人事件ではなく、事故死と主張した。
第3小法廷は、この鑑定を「死因の一つの可能性を指摘したにとどまる」として、死因を証明しきれたわけではないと判断。「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらない」と結論づけた。共犯として服役した原口さんの元夫(故人)についても再審開始を認めなかった。
◆反対意見の裁判官、殺人の事実認定に「合理的疑い」
一方、宇賀裁判官は反対意見で、救命救急医の鑑定を「写真は極めて鮮明で、死因の特定は可能」として信用性を認めた。
その上で、複数回の再審請求があった事件は、過去の審理の証拠も含めて評価する必要があると指摘。第1次請求審で、死因を窒息と推定した鑑定が撤回されたことも踏まえ、確定判決で有罪の根拠となった証拠は「証明力はもはや無きに等しい」とし、「殺人事件であることの直接証拠は皆無」と断じた。
原口さんの共犯とされた親族3人=いずれも有罪確定=の自白も「いずれも知的障害がある供述弱者で、精神的なプレッシャーで虚偽の自白をした可能性が考えられる」と判断。殺人の事実認定について「合理的な疑いが生じざるを得ない」と指摘した。
宇賀裁判官は行政法が専門で元東京大教授。昨年1月に再審請求を棄却した「名張毒ぶどう酒事件」の最高裁決定でも、再審を開始するべきだとの反対意見を付けた。(三宅千智)
大崎事件 鹿児島県大崎町で1979年10月、男性=当時(42)=の遺体が自宅横の牛小屋で見つかり、男性の義姉の原口アヤ子さんと男性の長兄(原口さんの当時の夫)、次兄が殺人と死体遺棄罪で、男性のおいが死体遺棄罪で起訴された。原口さんは一貫して無罪を訴えたが、懲役10年が確定して服役。出所後の95年に再審請求をした。第1次請求は2002年に一審が再審開始を認めたが、二審が取り消した。第2次は13年の一審から全て認めず、第3次は一、二審ともに認めたが、最高裁が19年に取り消した。
【関連記事】<視点>大崎事件の新鑑定 殺人でなく事故死では 論説委員・桐山桂一
【関連記事】<社説>再審制度見直し 議員立法で法改正急げ
【関連記事】「名張毒ぶどう酒事件」再審認めず 最高裁、第10次請求棄却確定へ 1人が初の反対意見
=====================================================
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/388307】
「最高裁判事の矜持を疑う」大崎事件の再審請求棄却に怒りの弁護団 初めて反対意見を出した判事の指摘は
2025年2月27日 06時00分
鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求の特別抗告審で、最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)は、殺人罪などで服役した義姉の原口アヤ子さん(97)の再審開始を認めない決定をした。25日付。一審に続いて請求を棄却した福岡高裁宮崎支部決定が確定した。裁判官5人のうち4人の多数意見。宇賀克也裁判官は「再審開始決定をするべきだ」と反対した。(三宅千智)
◆新証拠「一つの可能性を指摘したにとどまる」
大崎事件の再審請求を巡り、最高裁で反対意見が出たのは初めて。
第4次請求審で原口さんの弁護側は男性の死因について、司法解剖写真を基に救命救急医が調べた鑑定書を新証拠として提出。男性は酔って道路の溝に落ちた際に首を損傷し、自宅に運ばれたときには死亡していた可能性が高かったとした。自宅到着後に絞殺された殺人事件ではなく、事故死と主張した。
第3小法廷は、この鑑定を「死因の一つの可能性を指摘したにとどまる」として、死因を証明しきれたわけではないと判断。弁護側が新たに示した関係者の供述分析とともに「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たらない」と結論づけた。共犯として服役した原口さんの元夫(故人)についても再審開始を認めなかった。
◆反対意見の裁判官「死因の特定可能」
一方、宇賀裁判官は反対意見で、救命救急医の鑑定を「写真は極めて鮮明で、死因の特定は可能」として信用性を認めた。
その上で、複数回の再審請求があった事件は、過去の審理の証拠も含めて評価する必要があると指摘。第1次請求審で、死因を窒息と推定した鑑定が撤回されたことも踏まえ、確定判決で有罪の根拠となった証拠は「証明力はもはや無きに等しい」とし、「殺人事件であることの直接証拠は皆無」と断じた。
原口さんの共犯とされた親族3人=いずれも有罪確定=の自白も「いずれも知的障害がある供述弱者で、精神的なプレッシャーで虚偽の自白をした可能性が考えられる」と判断。殺人の事実認定について「合理的な疑いが生じざるを得ない」と指摘した。
宇賀裁判官は行政法が専門で元東京大教授。昨年1月に再審請求を棄却した「名張毒ぶどう酒事件」の最高裁決定でも、再審を開始するべきだとの反対意見を付けた。
◇ ◇
◆「検察官の不服申し立てがなければ」現行制度を批判
「なぜ一貫して無実を訴えている人が供述弱者の自白に引っ張り込まれ、救われずにいるのか。多数意見を書いた最高裁判事の矜持(きょうじ)を疑う」。4度目の再審請求の棄却が確定し、原口アヤ子さんの弁護団が26日、東京都内で記者会見して怒りをあらわにした。
(再審開始を認めない最高裁決定を受け会見する
鴨志田祐美弁護士(左から3人目)ら)
原口さんの第1~3次の再審請求審では、地裁や高裁が計3回再審開始を認めたにもかかわらず、検察官の不服申し立てを受けていずれも上級審が取り消すという異例の経過をたどってきた。弁護団事務局長の鴨志田祐美弁護士は「検察官の不服申し立てがなければ、原口さんはずっと前に再審無罪になっていたと思う」と現行制度を批判した。
証拠の開示もなかなか進まなかった。最初の再審請求から20年以上がたった第3次請求審で、検察側は事件当時の状況を近隣住民が再現した写真のネガフィルムを開示。確定判決で認定された現場状況と再現に食い違いが見つかった。鴨志田弁護士は「最初から一度に証拠が開示される制度でなければ、理不尽な現実を繰り返すことになる」と指摘した。
◆柴山元文科相「被害者目線を持った上で迅速に法改正を」
(総会であいさつする議員連盟の柴山昌彦会長(中))
この日は、再審制度の見直しを求める超党派議員連盟が国会内で総会を開催。現状ではルールがない証拠開示の制度化や、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て禁止などを盛り込んだ法改正案の骨子について意見を交わした。
議連会長の柴山昌彦元文部科学相(自民党)は「被害者の目線を持った上で、迅速に法改正しなければならない」と強調。今国会の会期中に議員立法による法改正の実現を目指す方針を確認した。
一方、法務省は今春にも法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針。鈴木馨祐法相は、法改正の必要があるかどうかも含めて議論する意向を示しており、最終的な見直しの姿は見えない。
大崎事件 鹿児島県大崎町で1979年10月15日、男性=当時(42)=の遺体が自宅横の牛小屋で見つかり、男性の義姉の原口アヤ子さんと男性の長兄(原口さんの当時の夫)、次兄が殺人と死体遺棄罪で、男性のおいが死体遺棄罪で起訴された。原口さんは一貫して無罪を訴えたが、懲役10年が確定して服役。出所後の1995年に再審請求をした。第1次請求は2002年に一審が再審開始を認めたが、二審が取り消した。第2次は2013年の一審から全て認めず、第3次は一、二審ともに認めたが、最高裁が2019年に取り消した。
【関連記事】<社説>再審制度見直し 議員立法で法改正急げ
=====================================================
[※ 「裁かれるべきは警察、検察、裁判所 袴田事件」(週刊金曜日 1490号、2024年09月27日) ↑] (2024年10月30日[水])
《敗戦後の一時期、難事件を次々に解決し「名刑事」と謳われた紅林麻雄という警部補がいた。幸浦事件、二俣事件、小島事件、島田事件など…後にすべて逆転無罪が確定》。《拷問で自白を強要して真犯人をでっち上げる一方、捜査側に不利な証拠は隠蔽・破棄するという強引な手法が、静岡県警に伝統として受け継がれていた》(長周新聞)。デモクラシータイムスでも、『戦後一時期の静岡県の特異性』、「・静岡県警は冤罪のデパート」、「・一人の警部の存在 紅林麻雄 最後は警視」…この全ての事件はひっくり返っていく。〝殺しの神様〟〝拷問王〟…。
ウィキペディア: 「紅林麻雄」
講談社ビジネスには、工藤隆雄氏による記事【静岡県警が生んだ《昭和の拷問王》の呪縛に終止符か…再審判決「袴田事件」が突き付けた冤罪大国・日本の「司法のいい加減さ」】(https://gendai.media/articles/-/137974?page=1&imp=0)が出ている。《そうなると、冤罪大国・日本の「司法のいい加減さ」がさらけ出され、国民から警察、検察、裁判所は信頼を一層なくすことだろう。この袴田事件は突如として起きた冤罪と思う人もいるかも知れないが、そうではない。日本の司法には昔から冤罪体質があり、それが起こしたといってもよい。中でも袴田事件が起きた静岡県内では戦後に次のような冤罪事件が起きていた。…これらの事件の背後には後に「冤罪王」「昭和の拷問王」と呼ばれた紅林麻雄(1908~1963)という静岡県警の刑事がいた。例えば二俣事件。静岡の片田舎で一家4人が何者かに惨殺された事件だが、地元の二俣署では犯人が中々捕まえられなかった。そこへ名刑事と呼び声高い紅林が派遣され捜査をした。紅林は証拠もないのに地元の少年を犯人だと決め付け逮捕し、部下に少年がボロ雑巾のようになるまで拷問させ、嘘の自白をさせた。それを知った二俣署の山崎巡査が少年にはアリバイがあり犯人ではないと批判する。すると、紅林は「少年がアリバイのために時計の針をずらして工作した」と言いがかりをつけて、少年を犯人に仕立て上げた。そればかりか批判した山崎巡査を捜査から除外し、精神異常者であると医師に診断させ、警察も辞めさせた。…そんなことばかりして「手柄」を上げていったのである。そんな紅林の姦計を知ってか知らでか警察上層部や検察が紅林は優秀な刑事だとし表彰した。それが在職中に351回もあったというから常軌を逸している。…その後、二俣事件など一連の裁判が行われ、次々と死刑判決が無罪判決に転じると、さすがの警察上層部も不信を抱かざるをえなくなり、紅林を訊問した。それに対し、紅林は「私は間違っていない。国の治安のために家族の幸せも顧みずに働いたこの私のどこが悪いのか」と自己弁護をしたという。しかし、結局紅林は警察を退職した。その後、家で酒浸りになると体を壊し、昭和38年に55歳の若さで脳出血により死去した。これを機に静岡県警での冤罪体質は是正されると誰しもが思ったのではないか》…? その後に起きたのが袴田冤罪事件。
記事はさらに続く、《■日本の司法は発展途上国並み》《現在、日本では「北稜クリニック事件」「日野町事件」「大崎事件」などのように牢獄から冤罪を訴えている人たちはまだまだたくさんいる。流れ作業のように判決が済んだからそれで終わりと刑務所、拘置所に放り込んでおくのではなく、無実を訴える者には納得するまで裁判を開き意見を聞いてやるべきだろう。そうでなければ、無実の人たちを司法殺人で闇に葬ることになる。そうならないためにも警察、検察、裁判所にはより一層の慎重さを望むと共に、市民の我々も司法の動向を見据える必要がある。具体的には証拠開示の制度化や再審開始に関する検察の抗告禁止などの法改正である。それらが確立しなければいつまた静岡だけでなく、自分の身の回りでも冤罪事件が起きないとも限らないからだ》。
《兵八の「正義」を押しつぶした警察・検察、さらには捜査側に寄った裁判所の不当な判決は、昭和から平成へと続き、真実や人権よりもメンツを重んじて自己検証を拒絶する姿勢は、令和の時代にも地続きのように受け継がれている》…畝本直美検事総長や鹿児島県警、大川原化工機でっち上げ事件を起こした公安警察などを見ても、重要な指摘だ。
秦融氏による、(2023/7/22(土))Yahoo!ニュースの記事【「拷問」を告発した警察官の夫は逮捕され、異常者扱い――105歳が語る「冤罪」の長い苦しみ #昭和98年】(https://news.yahoo.co.jp/articles/63b0122819afac666d15c428f0be5a5548e72d36)、《1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」は、戦後最大の冤罪の一つと言われ、死刑判決が確定していた袴田巌さん(87)のやり直し裁判が近く静岡地裁で始まる。死刑確定事件の再審では戦後5例目だが、この事件の前にはいくつもの冤罪事件が同じ静岡県で起きていることをご存じだろうか。その一つ、「二俣事件」では、拷問によって無実の少年に一家4人惨殺を“自白”させたばかりか、拷問の事実を告発した刑事を偽証罪で逮捕した揚げ句、精神疾患に仕立て上げるという警察・検察の報復があった。家族もろとも偏見の目にさらされた刑事の妻・山崎まさは今も存命だ。今月27日、106歳になるまさは「当時の苦しみは言葉にできない」と涙ながらに振り返った。(文・写真:秦融/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部/文中敬称略)》。
『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん…《周囲に「自分は23歳だ」と吹聴
…「彼がプロボクサーとしてデビューした年齢…今も闘っているのだ…」》』
「長周新聞の【書評/『袴田事件:神になるしかなかった男の58年』
著・青柳雄介】」
《■根深い警察・検察の癒着と腐敗 著者は、杜撰(ずさん)な捜査で
確固たる証拠がないまま、拷問で自白を強要して真犯人をでっち上げる
一方、捜査側に不利な証拠は隠蔽・破棄するという強引な手法が、
静岡県警に伝統として受け継がれていたとのべている。敗戦後の
一時期、難事件を次々に解決し「名刑事」と謳われた紅林麻雄
という警部補がいた。幸浦事件、二俣事件、小島事件、島田事件など、
静岡県下で死刑や無期懲役が下された多くの事件を紅林は以上の
ような手法で「解決」したが、後にすべて逆転無罪が確定している
そうだ》
『●検察は控訴せず、無罪が確定…自白の強要や証拠の捏造など、袴田冤罪事件
の被害者、袴田巖さんや袴田秀子さんの58年間の残酷な日々に報いるには?』
「この中に『戦後一時期の静岡県の特異性』というパネルが出てくる。
「・静岡県警は冤罪のデパート」「・「二俣事件」「幸浦事件」
「島田事件」「児島事件」」「・一人の警部の存在 紅林麻雄
最後は警視」。後日、この全ての事件はひっくり返っていく。
〝殺しの神様〟〝拷問王〟…。」
『●冤罪者の「死」を待つという残酷な国家の犯罪と、《正義の名の下に死刑
執行》された飯塚事件…何の検証もすることなく、全く反省の無い警察や検察』
「例えば、《「名張毒ブドウ酒事件」(1961年) の奥西勝死刑囚》
のように、冤罪者の「死」を待つという残酷な国家の犯罪と、
《正義の名の下に死刑執行》された飯塚事件…袴田さん冤罪事件に
ついて、全く反省の無い畝本直美検事総長に感じる恐怖。」
=====================================================
【https://news.yahoo.co.jp/articles/63b0122819afac666d15c428f0be5a5548e72d36】
「拷問」を告発した警察官の夫は逮捕され、異常者扱い――105歳が語る「冤罪」の長い苦しみ #昭和98年
2023/7/22(土) 17:07配信
1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」は、戦後最大の冤罪の一つと言われ、死刑判決が確定していた袴田巌さん(87)のやり直し裁判が近く静岡地裁で始まる。死刑確定事件の再審では戦後5例目だが、この事件の前にはいくつもの冤罪事件が同じ静岡県で起きていることをご存じだろうか。その一つ、「二俣事件」では、拷問によって無実の少年に一家4人惨殺を“自白”させたばかりか、拷問の事実を告発した刑事を偽証罪で逮捕した揚げ句、精神疾患に仕立て上げるという警察・検察の報復があった。家族もろとも偏見の目にさらされた刑事の妻・山崎まさは今も存命だ。今月27日、106歳になるまさは「当時の苦しみは言葉にできない」と涙ながらに振り返った。(文・写真:秦融/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部/文中敬称略)
■取り調べの拷問を告発した警察官
(山崎まささん(左)と次女の天野功子さん)
まさが住む愛知県みよし市は、名古屋市と豊田市に挟まれた位置にある。市街地から少し離れた一軒家で呼び鈴を押すと、次女の天野功子(のりこ、76)が出迎えてくれた。
まさの夫であり、功子の父である山崎兵八(ひょうはち)は静岡県の警察官だった。
昭和の冤罪・二俣事件は1950年1月、同県二俣町(現・浜松市天竜区)で発生した。就寝中の夫妻が刃物で刺されて死亡、2歳の長女が首を絞められ、11カ月の次女が母親の下敷きになり窒息死した。事件後、近所に住む18歳の少年が強盗殺人罪などで起訴され、一審、二審で死刑判決。その後に逆転無罪となった。
兵八は、現職の警察官ながら警察組織を敵に回し、拷問による取り調べがあったと告発、少年の刑事裁判で証言台に立った人物だ。告発は審理の終盤。巡査だった兵八は読売新聞社と弁護人に宛てて手紙を書き、「(少年は)犯人ではない。新憲法下今なお人権を無視した拷問により罪をなすりつけられたものだ」「江口捜査課長と紅林主任は少年に会った時の第一印象で“彼は犯人だ”と判定、証拠集めの指令を発した」などと記した。
告発前、妻のまさは「そこまでしなくても」と夫の行動に反対だった。夫は「(少年が)自分の子どもだったらどうする?」と妻に問い、固い決意を伝えた。
当時を振り返るまさの受け答えは、とても100歳過ぎとは思えないほど明瞭だ。
「はい、そう言われました。『もしか、この子が私らの子どもだったらどうするかね?』と。間違いないです」
兵八は、弱い人や苦しんでいる人を放っておけない性格だったらしい。夫について、まさはこう語った。
「お父さんにはものすごく、そういうところがあった。きっと、生まれるときからそういう性格を授かってきたんだよね。私も、人を陥れるようなことは絶対にしたくないと思ってね。困っている人には、ねんごろ(親切)にしてね。人が難儀してると『ああ、かわいそうだなあ』って、すぐ思っちゃうんだよね」
■妻が語る“告発後”の苦悩
(事件の舞台となった二俣警察署は数回の統廃合を経て、
天竜警察署になった ©Google Earth)
しかし、告発は一直線には実を結ばなかった。
二俣警察署の捜査本部で捜査に関わっていた兵八は法廷で「拷問による自白」と証言したにもかかわらず、一審の静岡地裁浜松支部は死刑判決を下す。それどころか、判決の日、兵八は偽証罪で逮捕された。
「正義」の代償は、それにとどまらず、家族もろとも路頭に迷わせる“仕打ち”へと進んでいく。
逮捕後、兵八は名古屋大学医学部の教授による精神鑑定で「妄想性痴呆症」と診断された。裁判では、証人出廷した警察署長が「変人」などと兵八の人格を否定。一審で少年に死刑判決が下ったことから「警察の捜査は正しかった」ということになり、判決に異を唱える兵八は異常者とされたのだ。
辞表を出すと、兵八は精神疾患という診断を理由に、運転免許証をはく奪された。警察を辞めた後は、家族を養うため、トラックの運転手になるつもりだったが、免許なしではそれもできず、他の仕事も簡単に見つからない。逮捕・投獄された兵八は世間の偏見の目にさらされた。
当時10代だった長女・児玉澄子(故人)の手記によると、家族は耐え難い苦しみを味わうことになった。
「父は職も地位も奪われて、仕事を探し、失敗し、書を読み、そして苦しみの多い日は母や私達に当たり散らした」「父母を助けなくては。新聞配達を始めた(のは)五年生の冬でした。学校を休んで早引きをして手伝った畑仕事」「冷たい近所の人たちの目、 幼い弟はいつもいじめられ泣いて帰ってきた。『ボクのおとうちゃんどうしてブタ箱にいるの?』 と…」「母の土方の荒れた手とあかぎれの足のひびわれ」(手記から)
苦難はさらに続く。
1961年3月には自宅が全焼した。報道では「火の不始末が原因」などと伝えられたが、当時中学生だった次女の功子は、火災の数日前、自宅の前で見知らぬ男から「山崎さんのお宅はここか」と尋ねられたことを覚えている。また、功子の弟は「火が出る前に半長靴の男が家から出ていくのを見た」と家族に話し、警察にも伝えた。ところが、警察では「半長靴の男」の目撃証言が、弟自身の火遊びをごまかすためだったのではないかと疑われてしまう。
当時を思い起こし、功子は言った。
「最後は、母の火の不始末にされてしまいました。弟に傷がつくよりはまし、ということで母が全てをかぶったんです……父は名誉を回復するため裁判に訴えることも考え、二俣事件の資料を集めていました。“放火”はその資料を灰にすることが目的だったとしか思えません」
火災の真相は今や確かめようもないが、兵八が裁判を起こせば、警察側は捜査の正当性を主張しただろう。兵八を「変人扱い」した者たちの「偽証」も問われかねない。そのようなタイミングで火災が起きたことは事実だった。
■「ようやく、ほっかむりが取れた」
(山崎まささん(右)、天野功子さん)
二俣事件の上告審で最高裁は、死刑を言い渡した静岡地裁の原判決を破棄し、1958年1月に少年の無罪が確定した。
無罪への転機は、東京高裁が控訴を棄却(1951年9月)した後、らつ腕の弁護士、清瀬一郎(1884‐1967年)が弁護人に就いたことだった。清瀬は衆議院議長などを歴任した大物政治家。戦勝国による極東軍事裁判(東京裁判)では東条英機の弁護人を務めた。
清瀬の無罪主張を受け、最高裁は2年余に及ぶ審理を経て「事実誤認の疑いがある」と原判決を破棄。その後の差し戻し審では、拷問によって警察の筋書き通りに自白させた供述の信用性が否定され、地裁、高裁とも無罪判決となった。筋書きと事実との矛盾が次々に明らかになり、検察は上告を断念、少年(逮捕当時)の冤罪は事件から8年を経てようやく晴れた。少年を犯人と決めつけ、筋書きに合う捜査しかしていない警察が再捜査に動くことはなかった。
傍らに座る母・まさを見やりながら、天野功子が言う。
「少年の無罪判決が出たときに、母は『これでようやく“ほっかむり”が取れた』と言ったんです。ね、そうだよね? お父さんの疑いが晴れた時に言ったよね? それまでお母さんはずっとほっかむりして生きとったんだよね」
顔を隠す頬かむりをせず、堂々と外を歩けるようになったという意味だ。当時を思い出したように、まさが涙ぐむ。
「お父さん(兵八)が逮捕され、自分一人で子どもたちを守らなくてはいけなくなったときの不安や苦しさは、言うに言えません。本当につらい思いをしました」
兵八は2001年、87歳で他界した。
その4年前には『現場刑事の告発 二俣事件の真相』を自費出版している。告発に至る経緯については、次のように記されている。
「心の片隅で『お前は正義の味方ではないのか。警察は国民の生命財産を守るのが使命ではないか。立ち上がるのだ』と叫ぶ声が聞こえてくるのだった。片一方の隅では、『黙っていて見過ごすのだ。あと五年経てばお前には恩給もつくのだ。恩給だけで暮らしてゆけるのだ。何も正義ぶりをする事はない。寄らば大樹の陰。大きな(長い)物には巻かれろ、ではないか』と叫ぶ声が五体に響いてくるのだった」
(島田事件対策協議会で、無実の男性救済を話し合う兵八
(正面左から2人目)ら(鈴木昂さん提供))
兵八によると、二俣事件の取り調べで少年に拷問していることを薄々知っていた警察官は他にもおり、「少年は無実」と思っていた署員もいた。しかし、誰もが「見ざる聞かざる言わざる」となり、法廷では「捜査は正しかった」と偽証を繰り返した。
この“拷問”に関わった刑事の一人が、捜査チーム主任の紅林麻雄警部補だったとされる。紅林は二俣事件だけでなく、同じ静岡県で起きた1948年の幸浦事件(被告は死刑判決、後に無罪)、1950年の小島事件(無期懲役判決、後に無罪)の捜査に関わり、多くの冤罪を生んだ。1966年の袴田事件では、拷問まがいの取り調べで自白を引き出し、警察が犯行の手口を考え出し、それに合う証拠や証言をつくって自白を裏付ける、という同じ手法が使われた。
二俣事件など同時期に続発した冤罪事件が「袴田事件の源流」と呼ばれる理由はそこにある。
同じ時期に起きた島田事件(1954年、死刑確定後の89年に再審無罪)の支援活動に奔走した元高校教師、鈴木昂は「山崎兵八さんには支援集会で講演をお願いし、熱意にあふれる話に引き込まれた。袴田事件の支援要請にも応じておられ、尽力を惜しまない人だった」と話す。
■警察官として違法は見逃せなかった
兵八・まさの夫婦は3男2女をもうけ、それとは別に2人の子どもを養っていた。そのうちの1人は勤務先の警察署で補導された、身寄りのない男児だった。まさによると、兵八が「面倒をみてやってほしい」と連れてきたという。
「放っておくのがつらかったらしくてね。(警察官という)職業柄もそうしてやらないかんと思ってだろうね」
まさの話によると、兵八の人柄をしのぶエピソードは他にもある。
「お百姓さんが、あるとき『これを食べてくれ』と駐在所に麦を2袋持ってきてね。お父さんは『絶対に手をつけるな』と言って。腐るかどうかという寸前で、やっと村の人と分けて食べた。それくらいの人でした」
弱い人、苦しんでいる人を助け、不正には手を染めない。まさが語る「警察官・山崎兵八」からは、組織内での孤立を恐れて自己保身に走るのではなく、人の心を大切にし、正しいと信じる道を貫くという人物像が浮かび上がる。
■昭和から今も続く「冤罪」
(冤罪被害者を支援する団体の会議に呼ばれ、発言する
兵八(右)。60代のころとみられる(天野功子さん提供))
兵八の「正義」を押しつぶした警察・検察、さらには捜査側に寄った裁判所の不当な判決は、昭和から平成へと続き、真実や人権よりもメンツを重んじて自己検証を拒絶する姿勢は、令和の時代にも地続きのように受け継がれている。
96歳の原口アヤ子さんが無実を訴え続ける大崎事件の弁護人で、日本弁護士連合会の再審法改正実現本部・本部長代行を務める鴨志田祐美弁護士は「一刻も早く再審法を改正しなければ悲劇が繰り返される」と危機感をにじませ、改正の要点を次のように指摘する。
(鴨志田祐美弁護士(本人提供))
「一つは証拠開示の問題です。大崎事件の第2次再審では高裁の裁判長の積極的な訴訟指揮で、それまで検察官が『ない、ない』と言い続けてきた証拠が213点出てきました。さらに第3次再審になると新たに18点出た。なぜ、こんなことが起きるのか。証拠開示を定めたルールがないからです。大崎事件だけでなく、布川事件、東電女性社員事件、松橋事件などは、再審を求める中で重要な証拠が開示され、再審開始決定の決め手になった。規定がないために、検察は隠し通そうとし、開示が個々の裁判官の“やる気”に左右されるのです」
二つ目は検察官の抗告(不服申し立て)の問題だという。
「再審開始決定が出ても、検察官が抗告し、いつまでも再審公判が開かれない。再審は本来、無実の人を救済する制度で、検察官といえども立場は同じはず。ドイツでは検察官の抗告は禁止されている。袴田事件では最初の開始決定から9年、大崎事件は21年、名張毒ぶどう酒事件では奥西勝・元死刑囚の命が尽きてしまった。抗告の弊害による悲劇をなくさなければいけない」
(袴田事件の再審開始決定を喜ぶ袴田巌さんの
姉・ひで子さん(中央)ら=今年3月13日、東京高裁前)
二俣事件の関係者がほとんど他界した中で、まさは穏やかな日々を生きている。
「天寿をいただいているんだよね。まだこれだけ元気でね、みんなのエネルギーをもらっている。人を見放しておくよりも助けてやりたい、という気持ちで生きてきて本当に良かった、と。そう思ってね。やっぱり人に意地悪はするもんじゃないな、ってね。人を助ければ助けてもらえるな、って思うよね。毎日そう思いながらこうしていますよ」
秦融(はた・とおる)1961年、愛知県生まれ。ジャーナリスト。フロントラインプレス所属。元中日新聞編集委員。滋賀・呼吸器事件の調査報道を描いた著書『冤罪をほどく……“供述弱者”とは誰か』(風媒社)で、2022年の講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。至学館大学コミュニケーション研究所客員研究員。
「#昭和98年」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。仮に昭和が続いていれば、今年で昭和98年。令和になり5年が経ちますが、文化や価値観など現在にも「昭和」「平成」の面影は残っているのではないでしょうか。3つの元号を通して見える違いや残していきたい伝統を振り返り、「今」に活かしたい教訓や、楽しめる情報を発信します。
=====================================================
[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2024年11月30日[土])
アサヒコムの訃報記事【元刑事裁判官の木谷明さん死去 30件超の無罪判決、司法問題を発信】(https://www.asahi.com/articles/ASSCY35BSSCYUTIL028M.html?iref=pc_ss_date_article)、《刑事裁判官として30件以上の無罪判決を出したことで知られる元裁判官で弁護士の木谷明さんが21日、急性心筋梗塞(こうそく)で死去した。86歳だった。葬儀は近親者らで行った。所属する法律事務所が29日、明らかにした。神奈川県平塚市出身。東大法学部在学中の1960年に司法試験に合格し、63年に裁判官に任官。最高裁調査官や水戸地裁所長、東京高裁部総括判事などを歴任した。2000年に退官後、法政大法科大学院教授や弁護士として活動し、刑事司法のあり方についてメディアなどで積極的に発信した。著書に「刑事裁判の心」や「『無罪』を見抜く」などがある》。
ご冥福をお祈りいたします。とても残念で仕方ない。
『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》』
《(琉球新報)<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ
…「疑わしきは被告の利益に」という原則を再審請求の審理にも適用
した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は
遠かった。審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を
防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ。…
捜査当局が再審請求の段階で新たに開示した証拠に基づく
再審開始決定が近年相次いでいる。茨城の布川事件や、熊本の
松橋事件などは新証拠がきっかけとなり、再審無罪につながった。
日野町事件も再審裁判が始まれば無罪となる可能性がある。さらに
言えば、確定前の裁判でネガなどの証拠が明らかになっていれば、
判決内容に影響を与えていたかもしれないのだ。検察の責任は重い》
『●冤罪で死刑執行、飯塚事件…『正義の行方』木寺一孝監督《が描いたのは、
死刑執行後だからこそ、より鮮明に浮かび上がる「人が人を裁く重み」》』
《死後再審の例は少ない。再審公判で無罪判決が出たのは、日弁連の
支援事件では殺人罪で懲役13年が確定した1953年の
「徳島ラジオ商殺し」だけだ。ほかには84年に滋賀県日野町で
起きた強盗殺人の犯人とされ、無期懲役となった元受刑者が
死亡した「日野町事件」で、2018年に大津地裁が再審開始を
決定した。検察側が抗告し、現在は最高裁で争われている》
聞き手・阿部峻介記者による、2024年3月24日のアサヒコムの記事【第7回/時間がかかりすぎる再審請求 元裁判官「証拠開示に法律の不備」】(https://www.asahi.com/articles/ASS3F4SRKS2PPTIL00Q.html?iref=pc_rellink_01)、《「日野町事件」では裁判のあり方にも疑問が示されている。裁判官の役割とはなにか。再審をめぐる現状に課題はないのか。有罪率99%の日本の刑事裁判で、裁判官時代に30件以上の無罪判決を出し、上級審で覆させず確定させたことで知られる木谷明弁護士…》。
『●木谷明さん《冤罪を回避するために法曹三者…
無実の者を処罰しないという強い意志、意欲をもって仕事にあたること》』
『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》』
「《二重の不正義》を認めたくない検察、それを見て見ぬふりする裁判所。
木谷明さんや熊本典道さんの話や訴えになぜ耳を傾けようともしないのか…。
4年も待たせて、この仕打ち、さらに待てという」
《元裁判官の木谷明氏の持論である。裁判官時代に約三十件もの無罪判決を
書いた経験を持つ。一件を除き検察は控訴すらできなかった。その木谷氏の
著書「『無罪』を見抜く」(岩波書店)にはこんなくだりがある…》
《「疑わしきは被告人の利益に」という言葉は刑事裁判の原則で、再審でも
例外ではない。ところが日本の検察はまるでメンツを懸けた勝負のように、
再審開始の地裁決定にも「抗告」で対抗する。間違えていないか。
再審は請求人の利益のためにある制度で、検察組織の防御のためではない》
『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し』
《会見に同席した元裁判官の木谷明弁護士も「無実の人を救済するために
裁判所はあるのではないのか。大変がっかりしている」と批判した》
『●湖東記念病院人工呼吸器事件で冤罪服役…《刑事司法の
よどみや曇り》の解明を、《冤罪が生まれる構造に光》を!』
『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう
としているのに許せない。もともと無実なのだから」》』
「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。
『イチケイのカラス』…のモデルの一部になっているらしい」
『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求・
糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》』
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性を
説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
『●《「証拠は再審請求の段階でも捜査側に偏在している」…検察は掌中の
証拠をあまねくオープン》にするよう裁判所は訴訟指揮すべきだ』
『●「イチケイのカラス」第2話 ――― 裁判官らの謝罪と憲法第76条
「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この…」』
『●《裁判長は「取り調べや証拠開示などが一つでも適切に行われていれば、
逮捕・起訴はなかったかもしれません」》と仰ってたのですがね?』
『●金聖雄監督《冤罪被害という絶望的なテーマの中で、私が映画を作り
ながら希望を見出していくと言う不思議な感覚を、ぜひ映画を観る…》』
《あれだけ理不尽な裁判を受け続け、30年近い長期の獄中生活を
余儀なくされながら、ここまで明るく前向きに生きられる人がいる
という事実は、まさに「驚異」である。
ステージ4の直腸がんをも見事に克服しつつある桜井さん。どうか、
あのチャーミングな「自慢の恋女房、恵子ちゃん」との生活を、
今後も精いっぱい楽しんでください。
木谷明(弁護士)》
『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう』
「2023年3月18日(土)の『報道特集』から: 故・熊本典道さん、
元裁判官の木谷明弁護士」
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●飯塚事件…《裁判所は…検察に証拠品のリストの開示を勧告…したが、
検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否》』
『●鹿児島県警、呆れた…《「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管して
いた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!」…》』
『●再審法改正…《法規定の不備が救済の障壁になっているのは明白だ。無実の人
にとっては「法との闘い」が強いられている。何という非人道的なことか》』
《…再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)…》
最後に、訳ありではありますが…:
――――――――――――――――――――――――
【https://blog.goo.ne.jp/activated-sludge/e/e372334c7acce173a80312815be59c79】
後から「発見」された証拠の危険性
これに続いて、元東京高裁判事で現在は片山氏の弁護人の木谷明弁護士が、自身が裁判官中に経験した再審請求事件の話を例に、後から「発見」された証拠の危うさを説いた。
それは、かの有名な白鳥事件。物証がほとんどなく、被害者を射殺した凶器の銃も発見されなかった。警察は、「被告人らが武装蜂起をするために峠で射撃訓練をした」とみて、何度も捜索を行ったが、それらしい証拠は見つからず仕舞い。ところが、2年後になって、銃弾が「発見」され、その線条痕が被害者の体内の弾と一致したとの鑑定を元に有罪判決が下された。しかし、「発見」された銃弾は2年間も山に放置されていたとは思えないほど新しく、その鑑定も後に捏造された疑いが出た。
死刑判決が確定して現在再審請求中の袴田事件でも、有罪の決め手の1つである血染めの着衣が、味噌工場のタンクから「発見」されたのは、事件から1年2か月も経ってから。この着衣は、袴田巌氏のもので犯行時に着ていた、とされたが、サイズがはるかに小さく、新たに行われた鑑定では、血痕から被害者のDNAは検出されなかった。
やはり再審請求中の狭山事件でも、石川一雄氏の自宅の2回にわたる家宅捜索では見つからなかった被害者の万年筆が、3回目の捜索で勝手口の鴨居から「発見」され、有罪証拠に使われた。
――――――――――――――――――――――――
=====================================================
【https://www.asahi.com/articles/ASS3F4SRKS2PPTIL00Q.html?iref=pc_rellink_01】
第7回
時間がかかりすぎる再審請求 元裁判官「証拠開示に法律の不備」
有料記事 やってへん 検証・日野町事件
聞き手・阿部峻介 2024年3月24日 6時00分
(過去の裁判記録を手に、再審制度の見直しを提言する
元裁判官の木谷明さん=2023年11月22日、東京・渋谷、
阿部峻介撮影)
「日野町事件」では裁判のあり方にも疑問が示されている。裁判官の役割とはなにか。再審をめぐる現状に課題はないのか。有罪率99%の日本の刑事裁判で、裁判官時代に30件以上の無罪判決を出し、上級審で覆させず確定させたことで知られる木谷明弁護士(86)に聞いた。
(【連載初回はこちら】花嫁の父「お前たちのために自白した」
日野町事件、死後再審の扉は)
――大津地裁の元の裁判では、判決直前に検察の請求で犯行の場所や被害品をあいまいにした訴因変更が問題になりました。
「日野町かその周辺」で殺害し、奪われた金庫の中身もわからない。強盗殺人のような重大事件でこれだけ訴因をぼかすのは異例です。これに沿って有罪判決を書いたのは、非常に問題のある手法だったと思います。
いつ、どこで、何を……具体的に
――どこに問題があるのでしょうか。
訴因というものは具体的でなければなりません。いつ、どこで、何をした。そうした情報がはっきりしていなければ、被告側の防御が難しくなるからです。
例えば無実の人が「何日に犯行をした」と追及された場合、その日のアリバイを立証すれば無罪になります。でも「何日~何日」とされたら、その間のアリバイを全て立証しないといけなくなります。
法律は「できる限り」具体的に、としか言っていませんが、ここまであいまいな訴因にされれば、防御は容易ではありません。
――訴因変更はどのような時に行われるものなのでしょうか。
審理を経て「このままだと有罪にできないが、訴因を少し変えれば起訴内容と大きく変わらない程度の立証ができる」という時に、検察が自ら判断するのが原則です。
一方でこの事件でも報道があったように、裁判官が促すこともないではありません。
―――――――――――――――――――――――
【プレミアムA】「やってへん」検証・日野町事件
「自白」と客観状況の矛盾は、裁判が進む当時から指摘されてきた。 そこでは大きく四つの謎が浮かんでいる。 [ もっと見る ]
―――――――――――――――――――――――
公平な裁判か
検察官が「立証は十分」と思…
=====================================================
[↑ ※袴田事件《捜査機関による証拠捏造》…《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2023年11月08日[水])
〝叫べなくなる〟のを待つ冷酷な司法…原口アヤ子さん、一貫して「あたいはやっちょらん」。
大崎事件、(第4次再審請求の即時抗告審)再審開始認めず。福岡高裁宮崎支部・矢数昌雄裁判長殿、一体どうなってんのかね、裁判所は? ――― 原口アヤ子さん、一貫して「あたいはやっちょらん」。《「無辜(むこ)の人の救済」を目的とする再審の理念》はどこに? (西日本新聞)《医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》。
原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。(2022年07月)《これまでに地裁、高裁で計3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁もちゃぶ台返ししている。一体どこまでボンクラ裁判官なのか?
『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》』
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?』
『●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょ
らん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?』
『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」』
『●大崎事件《無辜の人の救済》の理念はどこに? 《医学の専門家でない裁判
所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断》』
東京新聞のコラム【<視点>大崎事件の新鑑定 殺人でなく事故死では 論説委員・桐山桂一】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/287218?rct=shiten)。《1979年に鹿児島県大崎町の牛小屋で遺体が見つかった大崎事件は、そんな状況から起きた。親族の原口アヤ子さんらが絞殺したとして、殺人罪などで有罪確定。既に服役を終えてもいる。だが、客観証拠がほとんど存在しないのだ。実際に過去3回も裁判所で「再審開始」が決定されたが、その都度、検察の抗告により上級審で退けられた》。
再審法改正が必要。袴田事件…事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ。(西日本新聞)《日本弁護士連合会は…再審法(刑事訴訟法の再審規定)の整備を求める集会を国会内で開いた。法曹関係者に加え、与野党の議員が約60人(代理も含む)出席。証拠開示の制度化や、再審請求審での検察の不服申し立て(抗告)禁止を法制化する必要があるとの認識で一致した。再審を規定する刑事訴訟法の条文はわずか…》。
東京新聞のコラム【<考える広場>冤罪はなぜ生まれるか? 桐山桂一・論説委員が聞く】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/271962)/《冤罪(えんざい)ほど人生や人権を踏みにじる不正義はない。静岡県の四人殺害事件で犯人とされた袴田巌さんの再審が決まった。鹿児島県の大崎事件は再審請求が高裁で退けられたが、冤罪が疑われる。再審法改正を求める日弁連の中心として、全国を走り回る鴨志田祐美弁護士に「なぜ冤罪は生まれるのか?」を聞いた》。
何度でも、飯塚事件…既に死刑執行してしまった。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者・桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか。日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件(東電事件)、東住吉事件。だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす。殺したのは誰か、検察庁です」》。
『●袴田冤罪事件…小泉龍司法相《「法律に不備はない」と言い放つ…果たし
て人の心はあるのだろうか。耐えがたいほど正義に反する日々は…続く》』
鴨志田祐美さん《日本の刑事司法のガラパゴス化は、法務省が考えているよりも深刻です》。小泉龍司法相《「法律に不備はない」と言い放つ…果たして人の心はあるのだろうか。耐えがたいほど正義に反する日々は、まだまだ続く》(大谷昭宏さん)。
袴田冤罪事件、《日本の司法は中世なみ》《日本の前時代的な刑事司法制度》の例ではないか。《残酷で異常な出来事と欧米などでは受け止められている》、《日本でも放置し続けてきた再審法を整備すべきときが来ている。法務・検察はそのことも自覚すべきである》(東京新聞社説)。何十年にも渡って無実の袴田巌さんを牢屋につなぎ、しかも証拠が捏造されていたとまで裁判所が指摘。再審裁判で、「有罪」を主張するのはいったいどういう神経か? 《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、一体どこまで人権侵害すれば気が済むのか。(東京新聞社説)《無実の訴えから半世紀。日本の刑事司法の異様さをも表している。すでに87歳の高齢。残る人生と名誉をこれ以上、検察は奪ってはいけない》。
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/287218?rct=shiten】
<視点>大崎事件の新鑑定 殺人でなく事故死では 論説委員・桐山桂一
2023年11月1日 06時00分
被害者の男性は朝から酒に酔っていた。午後5時半ごろには雑貨店で焼酎を買った後に自転車ごと深さ1メートルの側溝に転落してしまった。
誰かに引き上げられ、道路脇に横たわったままの状態で放置された。夜になって近隣の男性2人が小型トラックの荷台に被害者を乗せ、自宅まで運んだ。それが午後9時ごろのことだ。
1979年に鹿児島県大崎町の牛小屋で遺体が見つかった大崎事件は、そんな状況から起きた。
親族の原口アヤ子さんらが絞殺したとして、殺人罪などで有罪確定。既に服役を終えてもいる。だが、客観証拠がほとんど存在しないのだ。
実際に過去3回も裁判所で「再審開始」が決定されたが、その都度、検察の抗告により上級審で退けられた。
第4次の再審請求は高裁に棄却されてしまい、弁護側は現在、最高裁に特別抗告を申し立てている。新鑑定により、殺されたのではなく「事故死」だったとの主張だ。「自宅に運ばれた時点で既に被害者は呼吸停止か心停止だった」ことを示す。
埼玉医科大学総合医療センター長の澤野誠教授による医学鑑定である。重症外傷患者の診療を専門とする日本随一の外傷センターで、頸椎頸髄の損傷症例数は国内でトップだ。澤野氏は救護活動についての専門家でもある。
「遺体には三つの明らかな出血があった」と澤野氏は指摘する。「溝への転落による限度を超えた頸部の後屈と右捻り。飲酒と低体温による脱水と腸管動脈の収縮からの広範囲な小腸壊死を出血が示します」
溝への転落で頸髄損傷による運動麻痺や頸椎を支える靱帯の損傷をきたしたことも分かるという。さらに近隣の2人がトラックに乗せた際、頸椎保護をしない手荒な救護だったため、頸髄損傷が悪化し、呼吸停止した可能性が高いともいう。
だが、搬送した2人は「被害者は歩いて自宅に入った」と供述した。確定判決のよりどころだが、新鑑定とは合致しない。かつ2人の供述を立命館大学の稲葉光行教授が分析したところ、「2人で被害者を抱えて玄関に入った」「千鳥足で被害者1人で玄関に入った」と食い違う。
さらに「被害者を自宅土間に置いた」という点は「覚えていない」とか、沈黙や言いよどみが高い頻度で起きているという。稲葉教授は「搬送した2人が実際に体験したことを述べたものではないと考えるのが妥当」と結論づけている。
これら医学鑑定と供述分析を合わせると、確定判決が殺人事件と決め付けたことに疑問が湧くであろう。つまり被害者は自宅に運ばれた時点で既に死亡しており、殺人事件にはなり得ない―そう指し示していよう。原口さんは一貫して「やっちょらん」。最高裁は新証拠に真摯に向き合ってほしい。
【関連記事】<考える広場>冤罪はなぜ生まれるか? 桐山桂一・論説委員が聞く
=====================================================
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/271962】
<考える広場>冤罪はなぜ生まれるか? 桐山桂一・論説委員が聞く
2023年8月23日 08時00分
(コラージュ・小河奈緒子)
冤罪(えんざい)ほど人生や人権を踏みにじる不正義はない。静岡県の四人殺害事件で犯人とされた袴田巌さんの再審が決まった。鹿児島県の大崎事件は再審請求が高裁で退けられたが、冤罪が疑われる。再審法改正を求める日弁連の中心として、全国を走り回る鴨志田祐美弁護士に「なぜ冤罪は生まれるのか?」を聞いた。
<再審法> 刑事訴訟法の再審規定。500以上も条文のある同法のうち、再審の条文は19のみで、規定が不備なまま、70年以上も放置されている。再審請求審は裁判所の裁量に委ねられ、証拠開示の基準や手続きは不明確なうえ、再審開始が決定されても検察官の不服申し立てなどによって、冤罪被害者の早期救済が妨げられている。
◆証拠開示ルールを今すぐ 弁護士・鴨志田祐美さん
桐山 全国キャラバンの手ごたえはどうでしょう。
鴨志田 ここ一カ月だけでも沖縄や島根、三重などを回りました。各地の弁護士会が企画したシンポジウムなどです。東京の中学のPTAからは生徒と保護者向けに話を頼まれました。京都の高校では生徒自身が再審法改正の立法論まで研究している。それだけ広がりはあるし、共感を持ってくれています。
私自身は二十年近く再審弁護に関わっています。日弁連では二〇一九年の人権擁護大会で再審法改正の決議を採択しましたが、直前に最高裁による大崎事件の再審取り消しがありました。そのころからマスコミの論調も法制度そのものがおかしいと変わってきた感じがします。
桐山 大崎事件は一九七九年に男性の遺体が発見された事件ですが、物証がなく、本当に殺人事件なのか。事故死だった可能性が指摘されます。事件当初の鑑定も「他殺か事故死か不明」と変更され、第四次再審請求で出された救命救急医の鑑定では「被害者は家に運び込まれるまでに既に死亡していた」です。それなら殺人事件にならず、犯人とされる原口アヤ子さんも「再審無罪」のはずです。ところが、福岡高裁宮崎支部は今年六月に「再審認めず」の判断をした。不可解に思えました。
鴨志田 原口さんは一度も「自白」せず無実を訴えています。共犯者とされた親族の「自白」が確定判決の支えなのです。でも、その人たちは「供述弱者」。知的障害などがあって、厳しい取り調べに迎合してしまう。今なら供述弱者には録音・録画すべきことが捜査機関内でも共通認識ですが、当時は違った。それなのに裁判所まで供述を「信用できる」と安易に判断するのは、本当におかしい。
第四次再審請求ではクラウドファンディングで寄付を募りました。集まった千二百万円で映画監督の周防正行さんに再現動画を作ってもらいました。被害者は酒に酔い側溝に転落。道路に引き上げられ、近隣の二人にトラックの荷台に乗せられました。自宅に搬送されるまでを裁判記録に従い忠実に再現しました。CGアニメも制作し、関係者の供述どおりに人を動かすと、近隣の二人の供述の食い違いがビジュアルに分かりました。
桐山 六六年に起きた袴田巌さんの事件では過酷な取り調べがあり、「自白」に至りました。確定判決の証拠である「五点の衣類」は何と事件から一年二カ月もたって発見。その衣類に付いた血痕の変色を手掛かりに再審決定が出ましたが、東京高裁は「証拠の捏造(ねつぞう)」の可能性に言及しました。
鴨志田 無実の人が死刑になっていたかもしれない事件です。民主化されていないどこかの国でなく、この日本で何の落ち度もない人が犯人に仕立て上げられる。冤罪は多重構造だと思います。まず警察が誤った見込みで捜査すると、そのストーリーに沿った証拠しか集められない。「見立ての呪縛」です。
国家権力が地引き網みたいに集めた証拠の中には、被告人に有利な無罪の証拠も紛れているわけです。しかし、検察も見立てが固まると、そこから引き返すことができません。有罪方向の証拠だけを選択して裁判所に出しているのです。
桐山 なぜ裁判所は見抜けないんだろうと一般の人は受け止めます。裁判所は本当にちゃんと判断しているのだろうか。司法の根底を揺るがす事態が起こっている気がします。
鴨志田 無罪方向の証拠は隠され、有罪方向の証拠ばかりをもとに判断するから裁判所も間違えるのですね。再審段階になってもなお、なかなか無罪方向の証拠が開示されない点も大問題です。開示が実現するか否かは裁判官次第という「再審格差」がそこにあります。
大崎事件では、ある裁判官が証拠開示を勧告したら、それまで「ない」と言っていた証拠が二百十三点も出てきました。第三次再審ではさらに十八点の証拠が警察から見つかりました。その中に確定判決を覆す珠玉の証拠があったのです。
裁判所が職権で取り寄せることができるから証拠開示ルールは必要ないと法務省は言いますが誤りです。袴田さんの事件でも第二次再審になって初めて、確定審で提出されていなかった証拠が六百点以上も開示されました。「五点の衣類」のカラー写真などですね。
つまり「再審格差」があるから、開示のルールが必要なのです。どんなにやる気のない裁判官の下でも証拠開示せねばならないルールにしないと永久に格差は埋まりません。
◆刑事司法はガラパゴス化
桐山 先進国では例外的に日本には死刑制度が残ります。米国でさえ死刑執行する州は少数派です。一度執行したら取り返しがつかない刑だけに、もっと慎重にチェックすべきです。
鴨志田 米国では死刑の選択には通常事件以上に慎重で厳格な手続きを要求しています。日本では裁判のどの段階にもそんな配慮はありません。少なくとも死刑という特別な刑には特別な手続きが必要です。確定有罪判決の手続きに憲法違反があれば、新証拠がなくても、再審に入れる制度にすべきです。
日本には「確定力神話」もあると思います。三審制で裁判官が三回も吟味して有罪だったら、間違いはないだろうと。ひっくり返したら四審制になると。三審制の結論を動かすべきでないという考えに縛られることを確定力神話というのです。検察も、起訴したものは99・9%有罪でしょ、間違いあるはずがないと。真犯人が出てくるとか、DNA鑑定で別人だったとか、そんなことでもない限り再審を認めない考え方ですね。
桐山 八〇年代には死刑事件の再審無罪が続きました。その後も冤罪が相次いでいますが、再審決定まで歳月がかかり過ぎる問題もありますね。
鴨志田 冤罪はヒューマンエラーではなく、システムエラーの問題だと捉えないと、永久に解決しないと思います。袴田さんの事件などは「証拠の捏造」まで指摘されたのですから、「真相究明委員会」を設けるべきです。航空機事故のように、徹底的に当時の警察や検察、裁判所などの関係者を呼んで、どこに間違いがあったのかを究明しないといけないと思います。
日本の刑事司法のガラパゴス化は、法務省が考えているよりも深刻です。
<かもしだ・ゆみ> 1962年生まれ。神奈川県出身。早稲田大法学部卒。会社員などを経て2002年に司法試験合格、弁護士に。大崎事件再審弁護団事務局長。日弁連再審法改正実現本部本部長代行。著書に『大崎事件と私 アヤ子と祐美の40年』(LABO)。共著に『見直そう!再審のルール』(現代人文社)。
=====================================================
―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》 (2023年06月07日[水])
大崎事件、(第4次再審請求の即時抗告審)再審開始認めず。福岡高裁宮崎支部・矢数昌雄裁判長殿、一体どうなってんのかね、裁判所は? ――― 原口アヤ子さん、一貫して「あたいはやっちょらん」。《「無辜(むこ)の人の救済」を目的とする再審の理念》はどこに? (西日本新聞)《医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》。
原口アヤ子さんの懸命の叫びは裁判官には届かない…。(2022年07月)《これまでに地裁、高裁で計3度再審開始が認められたが、いずれも検察側の不服申し立てを受け、2019年には最高裁が、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を取り消していた》、かつて、最「低」裁もちゃぶ台返ししている。
『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》』
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
『●原口アヤ子さん・大崎冤罪事件…《被害者は自転車事故による出血性
ショックで死亡した可能性があり「殺人なき死体遺棄事件」だった》?』
『●大崎事件、再審開始を認めず ――― 終始一貫して「あたいはやっちょ
らん」、原口アヤ子さんの懸命の叫びはなぜ裁判官には届かないのか?』
『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょ
らんもんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」』
西日本新聞の一連の記事。
【【速報】鹿児島の「大崎事件」再審開始を認めず 高裁宮崎支部】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095049/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを訴えた第4次再審請求の即時抗告審について、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。事故死だとする弁護側主張が認められるかどうかが争点だった》、《原口さんの再審請求は、地裁と高裁で計3度、認められたが、いずれも検察が抗告。上級審が再審開始を取り消す異例の経過をたどっていた》。
【【社説】大崎事件「棄却」 再審は誰のための制度か】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095634/)にると、《刑事裁判をやり直す再審制度はいったい誰のためにあるのか。改めて根本的な疑問を抱かざるを得ない。殺人罪などが確定、服役した原口アヤ子さん(95)が無実を訴え続ける鹿児島県の「大崎事件」の第4次再審請求即時抗告審である。福岡高裁宮崎支部は、被害者とされる男性は事故死だったとする弁護側の主張を退けた鹿児島地裁決定について「判断に誤りはない」として、訴えを棄却した》。
『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》』
『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》』
『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】』
『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん』
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは
今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた
井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だ
と思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の
改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」
と話している》。
《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。
再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第
である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ》
『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》』
《「疑わしきは被告の利益に」という原則を再審請求の審理にも適用
した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は
遠かった。審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を
防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ》
『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも
例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》』
《袴田事件は、代用監獄、長期勾留、死刑制度、再審制度など日本の
刑事司法が抱える重大な問題の全てを孕んだ事件だが、
マスメディアの報道のあり方についても大きな課題を突きつけている。
今なお続く犯人視報道、人権侵害報道――この事件で、袴田さんと
同じく、人生を大きく狂わされた熊本さんが私たちに遺した大きな宿題だ》
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
【「再審の在り方に逆行」 大崎事件の高裁決定、元裁判官らが批判】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095326/)によると、《大崎事件の第4次再審請求を認めなかった5日の福岡高裁宮崎支部決定に対し、識者や元裁判官からは「確定判決は正しいとの直感に基づき、証拠から事実を認定していない。決定内容は(請求を棄却した)鹿児島地裁決定の焼き直し」との批判が相次いだ。「無辜(むこ)の人の救済」を目的とする再審の理念に立ち返るべきだとの声も聞かれた》。
【【解説】医学的証拠を軽視した判断 大崎事件再審不開始】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095330/)によると、《【解説】今決定は、弁護側の新証拠を否定し、原口アヤ子さん(95)と親族が殺人、死体遺棄の犯人だとする確定判決が正しいと結論付けた。医学の専門家でない裁判所が十分な根拠も示さず、専門家による科学的証拠を退けた不当な判断と言える》、《▶疑義ある自白、また吟味されず 弁護側は「被害者は事故死だった」と主張。根拠は埼玉医科大教授で高度救命救急センター長の澤野誠医師による「医学鑑定」だ》。
【鹿児島「大崎事件」4次請求、高裁も再審認めず 弁護側の「事故死」主張退ける宮崎支部決定】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095332/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを求めた第4次再審請求で、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。「男性は事故死だった」と主張する弁護側が根拠とした医学鑑定について「決定的な証拠とはいえない」として請求を棄却した昨年6月の鹿児島地裁決定を追認した》。
【親族の自白の信用性のなさ「分厚く書くべきだった」 大崎事件第3次請求で再審認めた元裁判長の後悔】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095633/)によると、《鹿児島県大崎町で1979年に男性の遺体が見つかった「大崎事件」の第4次再審請求で、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、殺人罪などで服役後も無実を訴える原口アヤ子さん(95)の裁判のやり直しを認めなかった。同支部の裁判長として第3次請求を審理し、2018年3月に再審を認めた根本渉弁護士(66)…》。
袴田事件…事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ。
最後に、【再審法改正「超党派で」 日弁連の集会、国会議員ら出席】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095651/)によると、《日本弁護士連合会は6日、再審法(刑事訴訟法の再審規定)の整備を求める集会を国会内で開いた。法曹関係者に加え、与野党の議員が約60人(代理も含む)出席。証拠開示の制度化や、再審請求審での検察の不服申し立て(抗告)禁止を法制化する必要があるとの認識で一致した。再審を規定する刑事訴訟法の条文はわずか…》。
=====================================================
【https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095049/】
【速報】鹿児島の「大崎事件」再審開始を認めず 高裁宮崎支部
2023/6/5 11:07 (2023/6/5 12:29 更新)
#大崎事件 #イチから学ぶ 大崎事件 #事件事故裁判
山口新太郎
(再審開始の可否決定を控え、福岡高裁宮崎支部前で
のぼりなどを掲げる大崎事件の支援者たち=
5日午前9時51分、宮崎市(撮影・星野楽))
(再審開始が認められず、支援者に受け止めを話す
鴨志田祐美弁護士=5日午前11時5分、宮崎市の
福岡高裁宮崎支部(撮影・星野楽))
(再審開始が認められず、「不当決定」と書かれた旗を
掲げる関係者(中央)=5日午前11時2分、宮崎市の
福岡高裁宮崎支部(撮影・星野楽))
(福岡高裁宮崎支部に入る大崎事件の弁護団=
5日午前10時44分、宮崎市(撮影・星野楽))
鹿児島県大崎町で1979年に男性=当時(42)=の遺体が見つかった「大崎事件」で、一貫して無実を主張しながら殺人と死体遺棄の罪で懲役10年が確定し、服役した原口アヤ子さん(95)が裁判のやり直しを訴えた第4次再審請求の即時抗告審について、福岡高裁宮崎支部(矢数昌雄裁判長)は5日、再審開始を認めない決定をした。事故死だとする弁護側主張が認められるかどうかが争点だった。
▶【解説】司法の判断に疑問、有罪の疑わしさは明白
原口さんの再審請求は、地裁と高裁で計3度、認められたが、いずれも検察が抗告。上級審が再審開始を取り消す異例の経過をたどっていた。
原口さんを有罪とした確定判決によると、被害者の男性(原口さんの義弟)は79年10月12日、酒に酔って側溝に転落し、路上に倒れていた。軽トラックで迎えに来た隣人2人が荷台に乗せ、男性の自宅に連れ帰った。原口さんは男性を日頃から良く思っておらず、泥酔して土間に座り込む姿を見て殺害を決意。夫と別の義弟に持ちかけて絞殺し、おいも加わって遺体を牛小屋の堆肥に埋めた-とされた。
弁護側は「男性は殺害されたのではなく、側溝転落による事故死だった」と主張。第4次請求では新証拠として、救急救命医の医学鑑定などを提出した。医学鑑定は、男性が側溝転落で頸(けい)随(ずい)(首の神経)を損傷し、運動まひを負ったと推定。隣人2人の不適切な搬送もあって状態が悪化し、「自宅に運ばれた時点で呼吸停止して死亡していた」と結論づけていた。
昨年6月の鹿児島地裁決定は、医学鑑定が指摘した状況が起きた可能性は「否定できないが高くない」として再審を認めず、弁護側が即時抗告した。
高裁支部の審理でも、弁護側は医学鑑定を新証拠の柱に位置付けた。検察側は、医学鑑定を「基礎になった情報は限定的で、証明力に限界がある」と主張した。(山口新太郎)
イチから学ぶ 大崎事件
解決したはずの殺人事件が「そもそも、実は殺人事件ではなかった」―。そんな可能性が指摘されている「大崎事件」をできるだけ分かりやすく説明します。
=====================================================
=====================================================
【https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1095634/】
【社説】大崎事件「棄却」 再審は誰のための制度か
2023/6/7 6:00
#総合面 #事件事故裁判 #大崎事件
刑事裁判をやり直す再審制度はいったい誰のためにあるのか。改めて根本的な疑問を抱かざるを得ない。
【関連】鹿児島「大崎事件」4次請求、高裁も再審認めず 弁護側の「事故死」主張退ける
殺人罪などが確定、服役した原口アヤ子さん(95)が無実を訴え続ける鹿児島県の「大崎事件」の第4次再審請求即時抗告審である。
福岡高裁宮崎支部は、被害者とされる男性は事故死だったとする弁護側の主張を退けた鹿児島地裁決定について「判断に誤りはない」として、訴えを棄却した。
この事件は物証に乏しい。関係者の供述が有罪立証の柱で、確定判決は状況証拠の積み重ねから導かれた。
まず指摘したい。今回の決定は「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則にかなっているだろうか。
最大の争点は、弁護側が提出した救急医による医学鑑定の評価だった。再審開始の要件となる新証拠だ。
決定は、新証拠により、確定判決で示された解剖医の旧鑑定は証明力が減殺されたとは認めながら、殺人などの事実認定は「客観的状況や共犯の自白」により維持される、と結論付けた。
刑事裁判は起訴内容に合理的な疑いの余地があれば有罪とはならない。決定に対し弁護団は「(私たちに)無罪の立証を要求しているようだ」と批判した。確かに、決定の証拠評価には疑問が残る。
原口さんは逮捕時から一貫して無実を主張している。過去に3回の再審開始決定を受け、いずれも覆った。2019年には、鹿児島地裁、福岡高裁宮崎支部の開始決定を最高裁が取り消した。このときも第三者の鑑定より供述に重きを置く論理構成だった。
この最高裁の判断が、大崎事件再審請求を担当する裁判官に影響を与えていないか。再審は認めずとの結論ありきの審理なら許されない。
弁護団は「甚だしい人権侵害」として最高裁に特別抗告する。最高裁には丁寧で説得力のある審理を求めたい。
今回の決定を受け、再確認しなければならないのは刑事訴訟法435条である。再審請求は確定判決を受けた者の利益のためにあると定める。誤判により冤罪(えんざい)が生じる現実を否定できないからだ。
ただ再審のルールは十分に明文化されてはいない。これまで私たちは社説で、再審開始の決定が出たら速やかに舞台を再審の法廷に移すルール作りを提案してきた。
非公開の再審請求審ではなく、公開の再審法廷で検察、弁護双方が主張を戦わせ、有罪かどうかはその場で裁判所が判断すればよい。確定判決の安定性も大事だが、現状は損なうものが大き過ぎる。
今年に入り、高裁レベルで再審開始の判断が相次いだ。静岡県で1966年に起きた袴田事件や滋賀県日野町で84年に発生した強盗殺人事件である。専門家の間でも再審法整備を求める声が高まっていることも背景にあろう。これを大きなうねりにしたい。
=====================================================
(2023年06月05日[月])
冤罪死刑・飯塚事件(飯塚冤罪事件) … 検察が《証拠品のリストの開示》を拒否!?
『●飯塚冤罪事件で死刑執行されてしまった久間三千年さん…福岡地検に、
《裁判所が検察に対し、証拠品のリストを開示するよう勧告》した!』
なぜに堂々と《開示》しないのかね? リストを公開したからといって、一体全体何の問題があんの? 公開しない方が要らぬ疑いを持たれることになるでしょうに。(清水潔さん)《裁判所にも見せられない危ない証拠がゴロゴロしているということなのだろう》。
『●袴田事件、そして死刑執行後の『飯塚事件』再審:
司法の良心を示せるか?』
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
《根底には再審法(刑事訴訟法)の不備がある。冤罪(えんざい)から
無実の人を早期救済するため(1)証拠開示の制度化
(2)審理を長引かせる検察官抗告の禁止-などの法整備を
日本弁護士連合会や市民グループが求めている。加えて、
同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、
再審請求審でも禁じると規定するべきではないか。》
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
《西山さんは担当刑事に「いろいろ言いたいこともある」と言う。
だが、過去を恨むのではなく「冤罪で苦しむ人を救済できる、
再審法の改正が進んでほしい」と冤罪支援を必要とする人には話を
しにいったりしている》
『●日野町事件《遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を
支持…決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の…》』
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
《「事案の解明に意味はない」》というのは、どういう開示拒否の理由なのか?
FBSのニュース映像【女児2人殺害『飯塚事件』の再審請求 弁護側の証人が法廷で語る】(https://www.youtube.com/watch?v=v3Z7t2-wrtQ)によると、《弁護団は、検察が都合の悪い捜査資料を隠しているとして、事件に関わる証拠を開示するよう求めていました。裁判所は3月、検察に証拠品のリストの開示を勧告していましたが、検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否したということです》。
清水潔さんのつぶやき:
―――――――――――――――――――――――――――――――
【https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1664141522852532225】
清水 潔@NOSUKE0607
冤罪死刑の可能性が争われている福岡の「飯塚事件」。
今年3月に裁判所が、検察に対して「証拠品のリストを開示するように」勧告したのだが、なんと検察はこれを拒否。裁判所にも見せられない危ない証拠がゴロゴロしているということなのだろう。これはもうアウトだろう。
=======================
nhk.or.jp
「飯塚事件」の再審請求で新たな目撃証言の男性への証人尋問|NHK 福岡のニュース
【NHK】31年前、飯塚市で小学生の女の子2人が殺害されたいわゆる「飯塚事件」で、すでに死刑が執行された元死刑囚の家族が裁判のやり直しを求める2度目…
=======================
午後2:27 · 2023年6月1日
―――――――――――――――――――――――――――――――
【https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1664143130239852545】
清水 潔@NOSUKE0607
これまで多くの冤罪事件で、検察・警察が隠していた証拠が開示されたことで無罪が証明された。だから捜査当局はどんな証拠があるのか、そのリストを見せたくない。しかし公務員が税金を使って集めた証拠が、有罪判定だけに使われてはならない。民主主義社会なら当然のことだ。
午後2:33 · 2023年6月1日
―――――――――――――――――――――――――――――――
【https://twitter.com/NOSUKE0607/status/1664143967074799616】
清水 潔@NOSUKE0607
飯塚事件の捜査は決して揺るがない…、などといいながら、疑惑が浮上しても原判決裁判に出された証拠しかみせない。国民一人を死刑にしておいて、隠すものなどあってはならない。飯塚事件の疑惑がいよいよ深まったといえる重大な局面であろう。
午後2:36 · 2023年6月1日
―――――――――――――――――――――――――――――――
布川事件や氷見事件、東電OL殺害事件、志布志事件、村木厚子氏冤罪事件、足利事件…も確かにとんでもないのだけれど、飯塚事件は極めつきなのだ。冤罪者を死刑にしてしまったというとんでもない事件。国家による殺人。時の法相は、麻生太郎内閣の森英介氏。警察・検察・裁判所はどう責任をとるつもりだろうか? 「死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)」、飯塚は麻生太郎氏の「地元」だ。冤罪死刑に係わった者たちは、何の贖罪の気持ちもわかないのだろうか?
飯塚事件…既に死刑執行してしまった。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者・桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか。日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件(東電事件)、東住吉事件。だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす。殺したのは誰か、検察庁です」》。
=====================================================
【https://www.youtube.com/watch?v=v3Z7t2-wrtQ】
女児2人殺害『飯塚事件』の再審請求 弁護側の証人が法廷で語る
FBS福岡放送ニュース
2023/05/31
31年前に福岡県飯塚市で小学生の女の子2人が殺害された『飯塚事件』についてです。死刑になった男性の家族が、裁判のやり直しを求めている再審請求の証人尋問が、福岡地方裁判所で31日に行われました。
再審=裁判のやり直しを申し立てているのは、久間三千年元死刑囚の家族です。久間氏は31年前、福岡県飯塚市で女児2人を殺害したとして、死刑が執行されました。
弁護団はおととし、久間氏は無実だとして、2度目の裁判のやりなおしを申し立てました。この時に弁護団は、ある男性の証言を無実を主張する新たな証拠として提出しました。福岡地方裁判所では31日、この男性の証人尋問が行われました。
男性は「事件当日に女児2人を乗せた白い軽ワゴン車を男が運転しているのを見た。男の特徴は久間氏とは違った」と証言しています。
弁護団によりますと31日の尋問で男性は、女の子の寂しそうな顔が「脳裏に焼きついていて、記憶違いはない」と話しました。また、当時訪ねてきた警察官が男性に対し「普通車ではないか? 紺色のワゴン車ではなかったか」などと聞いてきたと、新たに明らかにしました。紺色のワゴン車は当時、久間氏が所有していた車で、弁護団は警察が「久間氏が犯人だとの見立てのもと、証言を得ようとしたのでは」と説明しています。
弁護団は、検察が都合の悪い捜査資料を隠しているとして、事件に関わる証拠を開示するよう求めていました。裁判所は3月、検察に証拠品のリストの開示を勧告していましたが、検察は「裁判所に権限はない」「事案の解明に意味はない」などと拒否したということです。
=====================================================
『●冤罪で死刑執行、あってはならない!!』
『●贖罪:足利事件再鑑定から12日後の2008年10月28日朝、
飯塚事件久間三千年元死刑囚の死刑が執行』
「2008年10月16日 足利事件 再鑑定へ
2008年10月28日 飯塚事件 死刑執行
2009年 4月20日 足利事件 再鑑定で一致せず
……そう、足利事件で誤鑑定であることが分かった時には、既に、
久間さんの死刑が執行されていた。2008年10月16日に
DNA型鑑定に疑問が生じた時点で、死刑執行は停止されておくべき
だったのに…。なぜ、急いで死刑執行したのか?、
大変に大きな疑問である」
『●NNNドキュメント’13:
『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』』
『●①飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か?
廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン』
『●②飯塚事件冤罪者を死刑執行:「死刑存置か?
廃止か?」…話題にも上らない、死刑賛成派8割なニッポン』
『●飯塚事件冤罪者を国家が死刑執行、「この重すぎる現実」:
無惨…「死刑執行で冤罪を隠蔽」』
「リテラの伊勢崎馨さんによる記事【飯塚事件、なぜ再審を行わない?
DNA鑑定の捏造、警察による見込み捜査の疑いも浮上…やっぱり冤罪だ!】」
《冤罪が強く疑われながら死刑が執行されてしまったのが、1992年に
福岡県で起こった「飯塚事件」である。そして、この飯塚事件にスポットをあて、
冤罪疑惑に切り込んだドキュメンタリー番組が放送され、ネット上で話題を
呼んだ。3日深夜に日本テレビで放送された
『死刑執行は正しかったのかⅡ 飯塚事件 冤罪を訴える妻』だ》
『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の再鑑定で
死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行』
「西日本新聞の二つの記事【死刑下した裁判官が関与 飯塚事件の
再審請求審 識者「公正さ疑問」】…と、【飯塚事件再審認めず
福岡高裁 「目撃証言信用できる」】…」
『●飯塚事件…《しかしもっと恐ろしいのは、そんな誤りを認めず、
国家による殺人を無かった事にする国家の強引さだろう》(清水潔さん)』
『●布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、
検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》』
『●桜井昌司さん《冤罪で服役29年》《事件発生から54年の長い時間》
…検察や警察の捜査の違法性を認め、国と茨城県の損害賠償が確定』
『●布川冤罪事件で《潔白を勝ち取った男…冤罪被害者を支援し、濡れ衣を
着せた司法の闇を世に引きずり出そうとしている》桜井昌司さん』
『●飯塚事件は《足利事件に続いて「DNA冤罪=DNA型鑑定を悪用した
冤罪」が発覚するのを恐れた検察による口封じ殺人ではなかったか……》』
『●《冤罪事件というのは、最終的に再審などで無罪が証明されたとしても、
その間に失われた時間は二度と取り戻せない。桜井昌司氏は…》』
『●(東京新聞社説)《死刑制度には普遍的な人権問題が潜み、その廃止・
停止は、もはや世界の潮流となっている》…死刑存置でいいのか?』
『●(FBS)【シリーズ『飯塚事件』検証】…《死刑執行は正しかった
のか》? 罪なき人・久間三千年さんに対しての《国家による殺人》!』
『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》』
『●【<土曜訪問>表現の幅、狭めない 冤罪事件から着想 ドラマ
「エルピス」で脚本 渡辺あやさん(脚本家)】(東京新聞・石原真樹記者)』
[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2023年05月21日[日])
死刑制度反対、裁判員制度反対。
大杉はるか記者による、東京新聞の記事【こちら特報部/日弁連が「終身刑」創設を提言 今なぜ必要なのか?】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/251295?rct=tokuhou)によると、《◆デスクメモ 過去の任地で「裁判員裁判で初の死刑判決」になるかもしれないと目された裁判を担当した。判決日は傍聴席へ。緊張で体がこわばり、背中が汗ばんだ。裁く側に一般市民。その立場で誰かに死を求めるのか。あまりに重い判断。無期刑が言い渡された瞬間、力が抜けたのを覚えている。(榊)》
『●事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。
刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ』
『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃに
した《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる』
『●《捜査機関による証拠捏造》…無罪判決を勝ち取り《いまも、死刑囚の
まま》から脱却できても、「拘禁反応」に苦しめられ続ける袴田巖さん』
袴田冤罪事件、「無罪」判決の次は、《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》の問題へ。検察や警察、《捜査機関による証拠捏造》に対する責任ある対応が求められる。裁判官やメディアの責任も免れない。
そして、飯塚事件。既に死刑執行してしまった…。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者・桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか。日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件(東電事件)、東住吉事件。だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす。殺したのは誰か、検察庁です」》。
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
《根底には再審法(刑事訴訟法)の不備がある。冤罪(えんざい)から
無実の人を早期救済するため(1)証拠開示の制度化
(2)審理を長引かせる検察官抗告の禁止-などの法整備を
日本弁護士連合会や市民グループが求めている。加えて、
同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、
再審請求審でも禁じると規定するべきではないか。》
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
《西山さんは担当刑事に「いろいろ言いたいこともある」と言う。
だが、過去を恨むのではなく「冤罪で苦しむ人を救済できる、
再審法の改正が進んでほしい」と冤罪支援を必要とする人には話を
しにいったりしている》
何度も引用しているが、何度でも。(斎藤貴男さん)《当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで。証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ。真犯人なんか誰でもいい。裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい。無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》…。凄まじい。
『●《権力の横暴とそれに従属するマスコミの報道姿勢への問題意識を燃料に
書いてきた──。脚本家がそう明言するドラマが、地上波で放送…》』
『●【<土曜訪問>表現の幅、狭めない 冤罪事件から着想 ドラマ「エルピス」
で脚本 渡辺あやさん(脚本家)】(東京新聞・石原真樹記者)』
(斎藤貴男さん)《葉梨康弘氏は…③死刑執行は冗談のネタ……だと捉えている》。良い付け事件で《死刑執行命令を下したのは、麻生内閣の森英介法務大臣(当時)》…何を考え《ハンを押した》のだろう。《当たり前だ。ざっと列挙するだけでも葉梨氏は、①法相なんてチョロいポスト、②大臣の立場は金儲けに使えるはず、③死刑執行は冗談のネタ……だと捉えている。そんな人間に、法秩序の維持や国民の権利擁護の重責を担わせておけるはずがない。さらにまた、東大法学部出の彼は、世襲政治家の娘婿になって政界入りする以前、警察庁のキャリア官僚だった。前述のような発想ないし確信は、つまり警察官としての職務と日常において培われたものではなかったか。》、《「梅田事件」を思い出す》。
『●ズブズブ壺壺ヅボヅボでない自民党議員にとっては大チャンスなのに?
……まあ、やる気のある、自民党にそんな議員が居ればの話ですがね』
以前引用した室井佑月さんのコラム、最後の部分が重要。《話は変わって、2009年から裁判員制度がはじまった。当時から私は、市井の人に死刑を決めさせるのは荷が重すぎると大反対だった。いや、主語を大きくしてはいけない。あたしには無理だ。今回のことでそれを再認識した。もし裁判員として選ばれたら、堂々と拒否してこういおう。「できません。冤罪もあることですし、あたしは死刑制度に反対です。人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので」》。
《人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので》。裁判員制度反対…「できません。冤罪もあることですし、あたしは死刑制度に反対です。人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので」(室井佑月さん)。ブログ主も、「できません」「あたしは死刑制度に反対です」。『死刑のスイッチ』を押すのは、押させられるのは、まっぴら御免だ。
『●死刑存置を目指して、市民の意識のハードルを下げさせる制度』
「裁判員制度に乗せられて、「死刑のスイッチ」を押させられるなんて、
真っ平御免だ。ましてや、それが冤罪であったりすれば、二重三重の
意味でトラウマ必至だ。死刑存置をもくろむ国や官僚、政治家が、
死刑に対する市民の意識のハードルを下げさせるための制度が
裁判員制度であると思う。その片棒を担がされるなんて耐えられない。
敢えて重大犯罪の裁判にシロウト裁判員を参加させるところがその証左」
『●『つぶせ! 裁判員制度』読了』
『●『官僚とメディア』読了(3/3)』
『●『裁判員制度の正体』読了』
『●手遅れ!! ~死刑のスイッチを押すことと死刑執行~』
『●死刑という制度: 「吊るせ、吊るせ」の合唱で何か状況は変わるのか?』
『●「裁判員制度」の下での「死刑制度」存置支持』
『●それは、職業裁判官の怠慢にすぎない』
『●裁判員制度下で少年死刑判決』
『●裁判員の心を慮る・・・』
『●そのスイッチを押せない』
『●『きみが選んだ死刑のスイッチ』読了(1/2)』
『●『きみが選んだ死刑のスイッチ』読了(2/2)』
『●裁判員制度: 被告にとっても憲法違反』
『●裁判員制度を即刻中止に』
『●「死刑のスイッチ」を押すこと: 裁判員のストレス障害』
『●裁判員制度という不始末に最高裁はどのような落し前を?』
『●「死刑のスイッチ」を強制する裁判員制度:
「やった人でないと、この苦しみは分からない」』
『●裁判員制度反対…「冤罪もあることですし、あたしは死刑制度に反対
です。人の命を、自民党の人たちみたいに軽く考えられないので」』
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/251295?rct=tokuhou】
こちら特報部
日弁連が「終身刑」創設を提言 今なぜ必要なのか?
2023年5月21日 12時00分
死刑の代替刑として終身刑を創設するよう、日弁連が提言している。具体像まで示しており、先月には超党派議連で話題に上がった。かつて国会でも終身刑は議論されたが、実現せずにきた。今なぜ終身刑が必要なのか。実現の課題は何か。(大杉はるか)
◆死刑は廃止すべきか 世論も考慮
超党派議連「日本の死刑制度の今後を考える議員の会」が先月開いた会合。日弁連が昨年11月に提言した終身刑創設について、取りまとめに携わった当時の日弁連副会長、伊井和彦弁護士らが説明した。
(「日本の死刑制度の今後を考える議員の会」が開いた
会合=東京都千代田区の衆院第二議員会館で)
提言では、殺人や強盗殺人罪といった現行の死刑適用罪の全てを対象とし、死刑を終身刑に置き換える。その上で、刑確定から15年か20年経過後に、地裁に「特別減刑」を申し立てられるようにする。地裁の裁判官は受刑状況や本人の心情、事件に関する世論などを踏まえ、減刑について判断。減刑が確定すれば、10年経過後から仮釈放の適用もある無期刑になる。終身刑とはいえ、通算25年か30年経過後に外に出られる道を残した。
日弁連は2002年から複数回、死刑制度の廃止に向けて提言しており、16年には終身刑制度の検討を提言。今回の提言で初めて特別減刑制度の導入を明確に訴え、具体像を示した。
なぜ終身刑創設なのか。
「あえて、死刑に代わる終身刑を提案しているのは世論の関係がある」
先の会合で伊井弁護士はそう切り出した。
19年の内閣府世論調査では「死刑もやむを得ない」との回答が約80%に上った。死刑存置が圧倒的に見えるが、うち「状況が変われば、将来的に廃止してよい」は約40%。「終身刑が導入されれば死刑を廃止する方がよい」は約35%あり、提言の意義を見いだした。
◆「冤罪で極刑」を回避
伊井氏は「こちら特報部」の取材に「死刑に代わる具体的な制度を示して議論していくことが重要だと考えた。重い罪を設ける一方で、冤罪(えんざい)で死刑になることは回避できる」と語った。
日弁連内も死刑の存廃で割れ、廃止に賛成でも終身刑は反対、提言行為自体に反対など、幅広い意見があったという。半年近い議論の末、ようやく昨年11月の理事会で、提言は全91人の8割の賛同を得た。
(日弁連の提言について説明する伊井和彦弁護士
=東京都新宿区で)
「刑罰は国家権力による人権抑制制度。そのあり方について人権の観点からものを言うのは弁護士会の使命だ」と伊井氏は語る。
もう一点、大きな変化がある。昨年6月に成立し、再来年までに施行される改正刑法だ。強制労働である懲役刑と、一部の罪に適用される労働のない禁錮刑は、拘禁刑に一本化される。拘禁刑での労働の目的は改善更生や社会復帰になり、健康などの問題で労働させることが適当でなければ労働は免除される。
これまでも受刑者の処遇は、改善更生の意欲喚起や社会生活への適応能力育成に重きが置かれてきたが、確定死刑囚となると「心情の安定に留意」としか定められていなかった。
では、死刑の代替刑として終身拘禁刑が設けられた場合、処遇はどうなるか。
「改善更生を目的にしないといけない」と伊井氏は話し、こう続ける。
「終身拘禁刑は30年経過後に仮釈放の可能性があり、将来の社会復帰を可能とする処遇にすべきだ。仮に社会復帰ができなくても凶悪な考えだった人が改善される形の処遇が必要だ」
◆無期刑は「事実上の終身刑」か
終身刑を設ける上で看過できない問題がある。
伊井氏は「前提として、無期刑を本来の趣旨に戻すべきだ」と主張する。
無期懲役は刑法上、受刑者に「改悛(かいしゅん)の状」があるときは、10年経過後から仮釈放を認めている。制定時に「在監期間を長くすると囚人を自暴自棄に陥らせる弊害がある」(法務省)と考えられたからだ。
だが無期刑は「事実上の終身刑」と指摘されてきた。2000年末の無期受刑者は1047人(全受刑者の2%)だったが、21年末には1725人(同4.4%)と大幅増加。新規で仮釈放された無期受刑者の平均在所期間も、00年の21年2カ月から、21年には32年10カ月に延びている。40年前の1981年の15年7カ月と比べると、倍の長さだ。
社会の高齢化に伴い、受刑者も高齢化しており、刑の長期化はその一因になるとも考えられる。
18年1月に八王子医療刑務所から移転開設された「東日本成人矯正医療センター」は、身体や精神疾患のある受刑者向けの医療専門施設。昨年の入所人員は307人で、健康な受刑者も補助作業をしている。
被収容者の平均年齢は身体疾患が62歳、精神疾患が51歳だが、最高齢は男性93歳、女性82歳という。
元裁判官の森炎弁護士は「仮釈放の総数は微増しているが、服役期間は長期化し、受刑中の死亡者も増加傾向にある」と指摘する。
仮釈放制度については、日弁連が10年、服役期間が15年に達するまでに初回の仮釈放の審理を開始、受刑者本人の審理参加などを求める意見書を提出。だが見直しは進んでいない。
◆終身刑の導入国では適用増加
その一方、終身刑の創設に伴い、適用例が多くならないかという懸念もある。
NGO「ペナル・リフォーム・インターナショナル」などの政策提言によると、世界216カ国中、183の国・地域で法律上の終身刑が設けられ、うち149カ国で終身刑を最高刑(極刑)としている。世界の終身刑受刑者は00年の26万1000人から14年の47万9000人に84%アップした。背景には、世界的な死刑の減少に加え、薬物犯罪などへの厳罰化、死刑適用罪より軽い犯罪にも適用されていることが考えられるという。
NPO監獄人権センター代表の海渡雄一弁護士は「終身刑と有期刑の間に、無期刑がある制度となれば、世界的にも極めて例外」と指摘する。「無期刑の言い渡しを受けている人が終身刑に移行しないかが心配だ」として、「終身刑には死刑適用基準をそのまま横滑りさせるべきだ」と話す。
そして最大の課題は、死刑の廃止だろう。
国会では08年、議連「量刑制度を考える超党派の会」(解散)が終身刑創設の法案化を進めたことがある。この時は死刑廃止を、前提とはしなかった。
現在活動するのが、冒頭の「日本の死刑制度の今後を考える議員の会」。平沢勝栄会長は「まずは死刑の実態を見て聞いてから存廃の議論をするべきで、とても判断できる段階ではない」と語るにとどまる。
前出の伊井氏はくぎを刺す。「先進国で死刑を廃止していないのは日本と米国だけ。米国は連邦レベルで執行を停止している。日本は国会でも死刑という刑罰制度を認めていいのか考えてもらわないといけない。死刑廃止がすぐにできないなら、まずは死刑執行停止法が必要だ」
龍谷大の福島至名誉教授(刑事法)も「死刑はなるべくやめて終身刑にしようという点を曖昧にするのは危うい。少なくとも廃止の方向性を示す必要がある」と訴えている。
◆デスクメモ
過去の任地で「裁判員裁判で初の死刑判決」になるかもしれないと目された裁判を担当した。判決日は傍聴席へ。緊張で体がこわばり、背中が汗ばんだ。裁く側に一般市民。その立場で誰かに死を求めるのか。あまりに重い判断。無期刑が言い渡された瞬間、力が抜けたのを覚えている。 (榊)
【関連記事】被告人や受刑者による「獄中者組合」ってどんな組織?なぜ活動は終了したのか?
=====================================================
[↑ ※《第三者は捜査機関の者である可能性が極めて高いと思われる》(『報道特集』、2023年03月18日[土])] (2023年04月30日[日])
(東京新聞社説)《少なくとも証拠開示制度を改めるべきであるし、再審開始の決定に対する検察官の不服申し立ては禁止すべきである。国会も再審法の全面改正に取り組むべきであることは、袴田さんの冤罪事件が雄弁に物語っている》。
そして、飯塚事件。既に死刑執行してしまった…。山口正紀さんの記事《「飯塚事件」をご存知だろうか。1992年、福岡県飯塚市で起きた2女児殺害事件で逮捕され、無実を訴えていた久間三千年(くま・みちとし)さんが死刑判決を受け、2008年に死刑が執行された(当時70歳)。…オンライン集会は、この第2次再審請求の意義・内容を報告し、支援の輪を広げていこうと企画され、飯塚事件再審の実現に向けて尽力してきた九州大学の大出良知・名誉教授、再審法改正をめざす市民の会の木谷明代表(元裁判官)、布川事件の冤罪被害者・桜井昌司さんら幅広い支援者たちの呼びかけで開催された。…布川事件冤罪被害者・桜井昌司さん…「こんなことを優秀な裁判官がなぜわからないのか。日本の警察はこれまでも証拠を捏造してきました。そうして、どれだけの人が刑務所に入れられ、殺されてきたか。すべてが無責任です。冤罪事件で国家賠償しても、だれも懐が痛まない。そのお金も税金です。足利事件、布川事件、ゴビンダさんの事件(東電事件)、東住吉事件。だれもその責任を追及しない。再審法を改正しないといけない。税金で集めた証拠を法廷に出すのは当たり前じゃないですか。久間さんの無念は必ず果たせると確信しています。必ず勝ちます。一緒にがんばりましょう。無惨に殺された人の無念を晴らす。殺したのは誰か、検察庁です」》。
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
《根底には再審法(刑事訴訟法)の不備がある。冤罪(えんざい)から
無実の人を早期救済するため(1)証拠開示の制度化
(2)審理を長引かせる検察官抗告の禁止-などの法整備を
日本弁護士連合会や市民グループが求めている。加えて、
同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、
再審請求審でも禁じると規定するべきではないか。》
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
《西山さんは担当刑事に「いろいろ言いたいこともある」と言う。
だが、過去を恨むのではなく「冤罪で苦しむ人を救済できる、
再審法の改正が進んでほしい」と冤罪支援を必要とする人には話を
しにいったりしている》
袴田冤罪事件、「無罪」判決の次は、《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》の問題へ。検察や警察、《捜査機関による証拠捏造》に対する責任ある対応が求められる。裁判官やメディアの責任も免れない。さらには、《刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されている》問題の解決だ。
東京新聞の【<社説>再審法の整備 議員の良心で欠陥正せ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/245600?rct=editorial)/《一九六六年の静岡一家四人殺害事件の犯人とされた袴田巌さんの再審開始決定までをたどると「再審法」の不備が明らかだ。国会議員が率先し、制度見直しの特例法など法整備を進めるべきだ。東京高裁が「血痕の変色」という明確な争点で、弁護側の主張に軍配を上げ、「再審開始」を決めたのは三月のことだ。捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性にも言及したほどで、検察も特別抗告を断念せざるを得なかった。事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ》。
『●《いまも、死刑囚のまま》な袴田巖さん、再審開始決定…せめて
《一刻も早く「無罪」とすべく、検察は不服を唱えるべきではない》』
『●袴田巖さん、袴田秀子さん ――― 《捜査機関による証拠捏造》とまで
言われているのだ、検察側が特別抗告を断念するのも、当然の結果だろう』
『●袴田冤罪事件: 《「…第三者がみそ漬けにした可能性がある」》《捜査
機関による証拠捏造》《犯行着衣について捜査機関の捏造とまで…》』
『●<コラム 筆洗>《高裁は捜査機関による証拠捏造の可能性まで踏み
込んでいる…袴田さんをただ犯人にしたいという卑劣なトリックだろう》』
『●袴田冤罪事件…袴田巖さんや袴田秀子さんらの人生をめちゃめちゃ
にした《捜査機関による証拠捏造》に対して責任ある対応が求められる』
=====================================================
【https://www.tokyo-np.co.jp/article/245600?rct=editorial】
<社説>再審法の整備 議員の良心で欠陥正せ
2023年4月22日 08時18分
一九六六年の静岡一家四人殺害事件の犯人とされた袴田巌さんの再審開始決定までをたどると「再審法」の不備が明らかだ。国会議員が率先し、制度見直しの特例法など法整備を進めるべきだ。
東京高裁が「血痕の変色」という明確な争点で、弁護側の主張に軍配を上げ、「再審開始」を決めたのは三月のことだ。捜査機関による証拠捏造(ねつぞう)の可能性にも言及したほどで、検察も特別抗告を断念せざるを得なかった。
事件から五十七年。無実を訴え続けても、なぜこんなに歳月を費やしたのか。刑事訴訟法の再審規定(再審法)が大きな欠陥を抱えつつ放置されているからだ。
例えば証拠開示の問題がある。もともと検察はすべての証拠を裁判所に提出するわけではなく、有罪立証に必要な証拠を出し、死刑の確定判決に導いている。
再審を求めても、再審法にはそもそも証拠開示の手続きが存在しない。裁判所の訴訟指揮だけに頼り、いわば「さじ加減」に委ねられる。法の不備を露呈しているし、無罪方向の証拠を検察が隠しうる現状は明らかにおかしい。
袴田さんの再審請求は一九八一年から始まったが、約六百点もの未開示証拠が明らかになったのは二〇一〇年以降のことだ。争点となった犯行時の着衣のカラー写真も含まれており、それが再審開始決定に結び付いた。
また、裁判所が再審決定をしても、検察が抗告できる仕組みも問題である。実際に静岡地裁が袴田さんの再審決定を出してから、既に九年が経過している。これも検察が抗告したためだ。一刻も早い冤罪(えんざい)救済のためには、検察側の抗告を法律で禁止すべきなのだ。検察側に不服があるならば、再審公判で主張すれば良いと考える。
再審請求審の長期化も問題だ。無実の人がどんどん高年齢化していくのは人道にも反する。
制度改正のためには本来なら法務省が改正案をつくる。だが、一九八〇年代に四件の死刑囚の再審無罪があり、再審法に問題点が多いのを知りつつ放置していたのは法務・検察にほかならない。
それゆえ、あえて国会議員に議員立法による再審特例法など法整備を求めたい。議員の良心を発揮する場面であろう。再審要件を緩和し、一刻も早く無辜(むこ)を救う−。そんな法律の必要性を袴田さんの事件は何より物語っている。
=====================================================
―――――― (里見繁氏) 布川冤罪事件…《合計二〇人の裁判官が揃いも揃って、冤罪を見過ごし、検察の嘘を素通りさせた。彼らこそ裁かれるべきかもしれない》 (2023年03月03日[金])
(沖縄タイムス社説)《冤罪の可能性がなくならない以上、再審制度の充実は不可欠だ。法整備など国のやるべきことは多い》。
本ブログの後半でも述べているが、《弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が侵害される」と憤る》…ということも起きている。
山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。
警察官や検察官、裁判官の責任は極めて重い。
何度でも、書こうと思う。《元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ…」》、これは今も変わらないのでは。斎藤貴男さん《「梅田事件」…当時、「週刊文春」の記者だった私は、彼を殺人犯に仕立てた連中に、「今のお気持ちは」と尋ねて回る取材を仰せつかったのだが、凄まじい成果を得てしまった。「犯人は梅田だと上が言うから逮捕したまで。証拠なんかねえよ」と、元刑事は笑ったし、元裁判官は、「判決とは国家の意思なんだ。真犯人なんか誰でもいい。裁判所が死刑だと言えば吊るせばいい。無期だと言ったらつなげばいいんだ」と、力説してくれたものである》。
沖縄タイムスの【[社説]日野町事件再審決定 証拠開示の制度化必要】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1111281)によると、《滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され手提げ金庫が奪われた事件があった。強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘元受刑者について、大阪高裁は再審開始を認める決定をした。遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持し、検察の即時抗告を棄却したものだ。決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の写真のネガだった》。
大事な点は《元の公判で検察が開示していなかった》というところ。
琉球新報の【<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ】(https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1670420.html)によると、《「疑わしきは被告の利益に」という原則を再審請求の審理にも適用した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は遠かった。審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ》。
『●袴田事件…検察=《狼は本音を明かす。
「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》』
『●NNNドキュメント【死刑執行は正しかったのかⅢ ~飯塚事件・真犯人
の影~】…《死刑冤罪の闇を12年間追跡し続けたドキュメンタリー》』
『●48年も獄中に囚われていた袴田巌さん…《検察は再収監を諦めていません》
って、正気なのかね? すぐさま、袴田巌さんに無罪を!』
『●大崎事件冤罪・原口アヤ子さん「あたいはやっちょらん」「やっちょらん
もんはやっちょらん」「ちゃんと認めてもらうまでは死ねない」』
ましてや、死刑執行してしまった飯塚事件は…?? また、大崎事件では、《もう話すことができなくなった原口さん》…。袴田事件では、袴田巖さんは《いまも、死刑囚のまま》だ。《狼は本音を明かす。「おまえがどんな言い訳をしても食べないわけにはいかないのだ」》…。
西日本新聞の社説【滋賀の死後再審 決定を制度改革につなげ】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1060702/)によると、《無実の罪で服役を強いられたまま亡くなったとすれば、その無念は想像を絶する。たとえ死後であろうと、その尊厳は守られねばならない。そんなメッセージを読み取るべき司法の判断である。滋賀県日野町で1984年に起こった強盗殺人事件について、大阪高裁は大津地裁に続き再審開始を認める決定を出した》。
『●憲法《37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が
侵害され》ている…飯塚事件、大崎事件の裁判に「公正らしさ」は?』
この日野町事件では、以下のようなことも起きている。詳しくは、上記ブログを。中島邦之記者による、(2020/6/26 11:00)西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】より:
《裁判官がある事件の判決を出したとしよう。その事件の控訴審や、再審を求める審理に同じ裁判官が関わり、再び判断する。これは、公正と言えるだろうか。》
《滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件。14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理している大阪高裁の裁判長になったのだ。これを知った弁護団は、本人が自ら辞退を申し出る「回避」を求め、高裁に要請書を提出した。弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が侵害される」と憤る》。
《同様の事例は飯塚事件、大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》
自白偏重、証拠独占、《代用監獄、長期勾留、死刑制度、再審制度など日本の刑事司法が抱える重大な問題》について、何も進展なしなニッポン。《日野町事件でも、ネガの開示は裁判官の訴訟指揮によるものだった。不利なものも含め、全てを握る検察に証拠開示させることは不可欠だ》(沖縄タイムス)。
『●《読者はこうした報道を何日もシャワーのように浴びた。…裁判官たちも
例外では》ない…袴田事件の《冤罪に加担したメディアの責任》』
《袴田事件は、代用監獄、長期勾留、死刑制度、再審制度など日本の
刑事司法が抱える重大な問題の全てを孕んだ事件だが、
マスメディアの報道のあり方についても大きな課題を突きつけている。
今なお続く犯人視報道、人権侵害報道――この事件で、袴田さんと
同じく、人生を大きく狂わされた熊本さんが私たちに遺した大きな宿題だ》
『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】』
『●人質司法による《身柄拘束は実に約十一カ月間》、大川原化工機の
大川原社長ら…《こんなにひどいことはないと感じたという》青木理さん』
『●《判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の改善の必要性
を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」と話している》』
《殺害容疑をかけられて12年間服役した元看護助手・西山美香さんは
今年3月、再審無罪が確定した。…西山さんの弁護団長を務めた
井戸謙一弁護士は…「冤罪で絶望している人に道を開いた裁判だ
と思います」…判決後、大西直樹裁判長は、捜査の問題点と刑事司法の
改善の必要性を説き、「西山さんの15年を無駄にしてはならない」
と話している》。
《無実でも有罪判決が確定すると、それを晴らす道は極めて狭い。
再審関係の条文は古いままで、手続きも事実上、裁判官のさじ加減次第
である。無辜(むこ)を救う究極の人権救済の法整備は急ぐべきだ》
=====================================================
【https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1111281】
[社説]日野町事件再審決定 証拠開示の制度化必要
2023年3月1日 5:01
再審請求審での検察の証拠開示の在り方に、また裁判所から重大な疑問が示された。
滋賀県日野町で1984年、酒店経営の女性が殺害され手提げ金庫が奪われた事件があった。強盗殺人罪で無期懲役が確定し、服役中に病死した阪原弘元受刑者について、大阪高裁は再審開始を認める決定をした。
遺族による「死後再審」の請求を認めた大津地裁の決定を支持し、検察の即時抗告を棄却したものだ。決め手は、元の公判で検察が開示していなかった実況見分の際の写真のネガだった。
確定判決では、遺体に見立てた人形を用いた見分で犯人ならではの詳細な現場状況が再現されていたとする。客観的な証拠がない中、通常裁判ではこの見分調書などで示された「自白」を重視した。
しかし再審請求で開示されたネガには、人形を使わずに現場の様子を再現し、その後人形を使って再現した様子が繰り返し写っていた。阪原さんの弁護団長は、その意味を「人形の置き方などの練習をさせられたからだと考えている」と指摘する。
高裁決定は、地裁が指摘した警察官の暴行や脅迫などによる自白の可能性は退けた。一方で「確定判決の審理段階でネガの存在が明らかになっていれば、有罪とは異なる判断になっていた可能性は否定し難い」と断じた。
冤罪(えんざい)の疑いが強まったと言うほかない。
捜査に当たった警察や検察は、信頼性に重大な疑義を生じさせた。責任は極めて重いというべきだろう。
■ ■
捜査段階で開示されなかった新証拠が、その後再審無罪や再審開始につながった事例は少なくない。
66年に静岡の一家4人が殺害された「袴田事件」では、1回目の再審請求で証拠開示に応じなかった検察が2回目は開示に応じた。今月東京高裁が決定を出す。
67年、茨城県で男性が殺害された「布川事件」では直接の物証がないまま男性2人が無期懲役とされた。その後開示された取り調べ録音テープに改ざんの痕跡があったことなどで再審無罪となった。
裁判員裁判の導入により、刑事裁判の証拠開示は当時より拡充された。しかし確定判決を見直す再審にはそうした制度がなく、裁判所の裁量に委ねられているのが現状だ。
日野町事件でも、ネガの開示は裁判官の訴訟指揮によるものだった。不利なものも含め、全てを握る検察に証拠開示させることは不可欠だ。
■ ■
再審について定める刑事訴訟法は、再審を有罪の確定判決を受けた人の利益のために行うと定める。ただ、その手続きを定める条文は19で、全体で507条ある刑訴法の1割にも満たない。
日本弁護士連合会は2月、証拠開示などを大幅に充実した再審規定を盛り込むよう、法務省や国会に申し入れた。日弁連がこれまで支援した再審事件は34件に及ぶという。
冤罪の可能性がなくならない以上、再審制度の充実は不可欠だ。法整備など国のやるべきことは多い。
=====================================================
=====================================================
【https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1670420.html】
<社説>日野町事件再審決定 証拠開示の制度化急げ
2023年3月2日 05:00
「疑わしきは被告の利益に」という原則を再審請求の審理にも適用した妥当な判断だ。元受刑者は他界しており、名誉回復への道は遠かった。審理の長期化を改め、情報開示の制度化など、えん罪を防ぐための仕組みづくりを急ぐべきだ。
滋賀県日野町で1984年12月、酒屋経営の女性が殺害され、金庫が奪われた事件で無期懲役が確定し、服役中に病死した元受刑者の遺族が申し立てた第2次再審請求に対し、大阪高裁は再審を認める決定を出した。
元受刑者を犯人とした確定判決の事実認定に「合理的な疑いが生じた」としている。元被告らの死後に遺族が起こした「死後再審」開始決定が確定すれば、死刑や無期懲役が確定した戦後の重大事件で初めてとなる。
今回の再審決定を検察は重く受け止めなければならない。最高裁への特別抗告を断念し、直ちに再審裁判を始めるべきである。
大阪地裁決定の決め手となったのは、遺体発見現場の実況見分時のネガなど、第2次再審請求で新たに開示された証拠である。「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠に当たる」と判断した。検察の証拠開示は裁判所の指揮に応じたものだった。
捜査当局が再審請求の段階で新たに開示した証拠に基づく再審開始決定が近年相次いでいる。茨城の布川事件や、熊本の松橋事件などは新証拠がきっかけとなり、再審無罪につながった。
日野町事件も再審裁判が始まれば無罪となる可能性がある。さらに言えば、確定前の裁判でネガなどの証拠が明らかになっていれば、判決内容に影響を与えていたかもしれないのだ。検察の責任は重い。
事件の発生から38年が過ぎぎている。最初の再審請求は2006年に大津地裁で棄却され、即時抗告審中の11年に元被告が他界し、手続きが終わった。遺族は12年に「死後再審」を請求。新たな証拠に基づき大津地裁が18年に再審開始を決定した。そして今回、大阪高裁は地裁判断を支持したのである。
遺族による再審請求から数えても、既に10年以上が経過している。大阪高裁の即時抗告審では裁判長は3回交代した。審理は4年半と長期化し、元受刑者の名誉回復は遅れた。再審手続きの迅速化が求められる。
現在の刑事訴訟法には再審における証拠開示について定めた規定はなく、裁判官の裁量や検察官の姿勢に委ねられている点が今回の審理で問題となった。証拠開示の範囲は裁判所によって格差が生じているのだ。日本弁護士連合会は2月、再審における証拠開示の法制化を求める意見書を公表している。
大阪高裁決定は、再審における証拠開示の重要性を示すものだ。国は早急に証拠開示の制度化に取り組むべきだ。
=====================================================
=====================================================
【https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1060702/】
社説
滋賀の死後再審 決定を制度改革につなげ
2023/3/2 6:00
無実の罪で服役を強いられたまま亡くなったとすれば、その無念は想像を絶する。たとえ死後であろうと、その尊厳は守られねばならない。そんなメッセージを読み取るべき司法の判断である。
滋賀県日野町で1984年に起こった強盗殺人事件について、大阪高裁は大津地裁に続き再審開始を認める決定を出した。。
この事件で無期懲役が確定し、服役中に75歳で病死した阪原弘元受刑者の遺族による第2次再審請求である。「死後再審」開始が確定すれば、死刑や無期懲役が言い渡された戦後の重大事件では初めてとなる。
大きな意義を持つ決定だと評価したい。依然として壁の高い再審制度の見直しにつなげていきたい。
阪原さんと事件を結びつける直接的な証拠は元々乏しかった。大阪高裁は、主に二つの争点について確定判決に「合理的な疑問」を示した。(1)遺体発見現場での捜査の任意性(2)阪原さんによるアリバイ主張の虚偽認定-である。
その根拠は、第2次請求審で裁判所の指揮により検察が新たに証拠開示した実況見分時の写真ネガなどだ。決定はそれらを、刑法が求める「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」と判断した。
高裁決定は結論こそ地裁決定と同じ再審開始だったが、内容は地裁決定の根拠を否定する部分も複数ある。
発生から40年近く経過した事件の再審の是非を巡り、厳正、適切に判断するのは難題であるに違いない。
だからこそ、私たちは社説で、再審請求の結論に長期の時間を要する現行制度を改革すべきだと訴えてきた。
刑事訴訟法435条は、再審請求は有罪の確定判決を受けた者の利益のため、と明記している。この精神に従えば答えはおのずと導かれよう。
地裁であろうとも再審開始決定が出れば、検察による高裁、最高裁への異議申し立てを認めず、直ちに再審の法廷に舞台を移すことを原則とすべきだ。有罪、無罪はやり直しの裁判で決めればよい。
鹿児島県の大崎事件では地裁、高裁が計3回にわたり再審開始を決定したが、検察の異議で結局、最高裁が開始決定を取り消し、第4次請求審が続く。当事者にはあまりに過酷ではないだろうか。
近年の改革で、捜査側が持つ証拠のリストの開示は認められたが、不十分だ。警察が集めた証拠は検察が全て握っている。証拠開示を原則とすれば、審理の内容も早さも大きく改善できるはずだ。
大阪高裁の決定でも、新たに開示された証拠が重要な役割を果たした。
これが実現したのも担当の裁判長の判断である。再審請求の審理は裁判長の裁量次第の面がかなり大きい。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事司法の原則に立っているか。ここでも一定のルール作りが必要だ。
=====================================================
[※『原発に挑んだ裁判官』(磯村健太郎・山口栄二) 朝日新聞出版(https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=21028)↑]
中島邦之記者による、西日本新聞のコラム【風向計/裁判の公正らしさとは】(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/)。
《同様の事例は飯塚事件、大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた…加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか》。
『●知らなかった冤罪事件: 鹿児島大崎事件』
『●飯塚事件の闇…2008年10月16日足利事件の
再鑑定で死刑停止されるべきが、10月28日に死刑執行』
『●NNNドキュメント’13:
『死刑執行は正しかったのか 飯塚事件 “切りとられた証拠”』』
『●「飯塚事件」「福岡事件」「大崎事件」
・・・・・・に係わる弁護士たちで『九州再審弁護連絡会』発足』
『●「あたいはやっちょらん」の叫び!…
「だれより責任の重いのが…でっち上げを追認した裁判官」』
『●39年間「あたいはやっちょらん」、
一貫して無実を訴えてきた90歳の原口アヤ子さんに早く無罪判決を』
『●冷酷な司法…【NNNドキュメント’18/
あたいはやっちょらん 大崎事件 再審制度は誰のもの?】』
『●大崎事件…再審するかどうかを延々と議論し、
三度にわたる再審開始決定を最「低」裁がちゃぶ台返し』
『●《家族への脅迫状…「苦しみ抜いて一人で罪をかぶろう
としているのに許せない。もともと無実なのだから」》』
「大崎事件について、《元裁判官の木谷明弁護士…
「無実の人を救済するために裁判所はあるのではないのか」》と。
【報道特集】…によると、《”伝説”の元裁判官~冤罪救済に挑む…
無罪判決を30件も出し、全てを確定させた元裁判官。
退官後、81歳となった今、冤罪救済を目指す弁護士として裁判所に
挑んでいる。そこで直面した裁判所の現状とは》。『イチケイのカラス』…
のモデルの一部になっているらしい」
『●山口正紀さん《冤罪…だれより責任の重いのが、無実の訴えに
耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》』
《四十年間も潔白を訴えていた大崎事件(鹿児島)の原口アヤ子さんに
再審の扉は開かなかった。最高裁が無実を示す新証拠の価値を
一蹴したからだ。救済の道を閉ざした前代未聞の決定に驚く。
「やっちょらん」-。原口さんは、そう一貫して訴えていた。
殺人罪での服役。模範囚で、仮釈放の話はあったが、
「罪を認めたことになる」と断った。十年間、服役しての
再審請求だった…「疑わしきは被告人の利益に」は再審請求にも
当てはまる。その原則があるのも、裁判所は「無辜(むこ)の救済」
の役目をも負っているからだ。再審のハードルを決して高めては
ならない》
「再審するかどうかを延々と議論し、《三度にわたり再審開始決定が
出ながら》、最後に、ちゃぶ台返し。最「低」裁は何を怖れている
のか? 誤りを潔く認めるべきだ。山口正紀さん、《冤罪は警察・
検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。
だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、
でっち上げを追認した裁判官だろう》。」
『●《周防正行さんが「あたいはやっちょらん。大崎事件第4次再審請求
・糾せ日本の司法」と銘打ち、インターネット上に立ち上げた…CF》』
「ちゃぶ台返し」が起こる訳だ。《飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた》。裁判の制度がこれじゃぁ、デタラメな判決が出るはずだ。
山口正紀さん、《冤罪は警察・検察だけで作られるものではない。…マスメディアにも責任…。だが、だれより責任の重いのが、無実の訴えに耳を貸さず、でっち上げを追認した裁判官だろう》。おまけに、《裁判の公正らしさ》もないのでは…。
=====================================================
【https://www.nishinippon.co.jp/item/n/620476/】
風向計
裁判の公正らしさとは 中島邦之
2020/6/26 11:00
西日本新聞 オピニオン面 中島 邦之
裁判官がある事件の判決を出したとしよう。その事件の控訴審や、再審を求める審理に同じ裁判官が関わり、再び判断する。これは、公正と言えるだろうか。
裁判には「公正らしさ」が求められる。「公正らしさ」とは何か。「裁判官が国民に信頼されるには中立・公正であることが必要だが、それは裁判官の心の中にあり、外からは見えない。外形的にそれを担保するのが、外から公正だと見える『公正らしさ』だ」。元裁判官で法政大法科大学院の水野智幸教授(刑事法)はこう説く。
滋賀県日野町で1984年に発生した強盗殺人事件。14年前に大津地裁の裁判長として第1次再審請求を退けた長井秀典判事が、第2次請求を審理している大阪高裁の裁判長になったのだ。これを知った弁護団は、本人が自ら辞退を申し出る「回避」を求め、高裁に要請書を提出した。
弁護団の石側亮太弁護士は「長井氏は過去に自らが下した判断の当否を自ら審理することになり、信頼できない」と説明。さらに「憲法上も、37条1項が保障する『公平な裁判所による裁判を受ける権利』が侵害される」と憤る。
刑事訴訟法は、通常審の一審や二審を担った裁判官が、上級審に関与することを禁じる。ところが、再審を始めるか否かを審理する再審請求審には定めがない。最高裁は59年、禁止とはしなかった。背景には、再審は通常審からつながる「上訴」ではないという論理があるとされる。
だが、水野氏は解説する。「75年の最高裁決定によって、再審請求審では新旧の全証拠を総合評価することになり、上訴に近い性格を持つようになった。それ以前の59年の判例が今も妥当かは疑問」。その上で「裁判の公正らしさを損なわないよう、長井氏本人が回避すべきだ。しない場合は、裁判所が担当を変更するなど対応すべきだ」と指摘する。
同様の事例は飯塚事件、大崎事件でも起きた。飯塚では、一審の死刑判決に関わった判事が再審請求後の即時抗告審に関与した。大崎では、第2次再審請求の特別抗告審を担った最高裁判事が、第3次請求も担当し、地裁と高裁が認めた請求を退けた。
根底には再審法(刑事訴訟法)の不備がある。冤罪(えんざい)から無実の人を早期救済するため(1)証拠開示の制度化(2)審理を長引かせる検察官抗告の禁止-などの法整備を日本弁護士連合会や市民グループが求めている。加えて、同一事件の審理を同じ裁判官が繰り返し担うことを、再審請求審でも禁じると規定するべきではないか。 (社会部編集委員)
=====================================================