東京新聞の記事(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013050502000119.html)とasahi.comの記事(http://www.asahi.com/national/update/0505/TKY201305050237.html)。
『●第三報: 福島第一原発に潜入したジャーナリスト』
『●続報: 福島第一原発に潜入したジャーナリスト』
以前から噂にはなっていましたが、移染作業に暴力団が介入しているようだ。東京電力に投入された税金が暴力団に流れているなんて、由々しき事態である。
一方、一番目の記事。東京電力原発人災の処理にあたる作業員の言葉はなかなか伝わってこない。「◇まるで戦場」「◇命は二の次」「◇コスト優先」など、見出しだけでも憂鬱になる言葉が並ぶ。
『●寄ってたかって「中抜き」とは・・・・・・人間性を疑う ~危険手当不払い問題~』
『●原発を稼働させるということ = 誰かの犠牲の上でしか成り立たない社会』
『●ある原発労働者のつぶやき』
『●原発労働者: 労働とは何か?』
『●名著『原発ジプシー』復刻』
『●被爆労働者なくして成り立たない社会の正当性とは?』
『●原発銀座の被爆労働者』
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【http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013050502000119.html】
つぶやく福島作業員 政府・東電に振り回された2年間
2013年5月5日 朝刊
東京電力福島第一原発事故の発生当初から収束作業に従事し、現場の様子をツイッターでつぶやき続け、その内容を七万超の人が注目している「ハッピー」さん。福島第一の近くに家があり、作業員としてここで長年働いてきた。このほど本紙の取材に応じ、二年間を超える収束作業で感じた疑問などを語った。 (片山夏子)
◇まるで戦場
二〇一一年三月十四日昼、3号機原子炉建屋で水素爆発が起きた時、ハッピーさんは近くで作業をしていた。突き上げる衝撃、すさまじい爆音に襲われ、がれきがバラバラ降ってきた。
「ここで死ぬかもしれない」
まるで戦場だった。建屋から煙が上がり、すすで全身が真っ黒になった人、防護服が血に染まった人もいた。怒号が飛び交う様子はとても現実とは思えなかった。
ハッピーさんがツイッターを始めたのは水素爆発から六日後の二十日のこと。
理由は二つあった。一つは情報が錯綜(さくそう)し、不安をあおる報道もあったこと。もう一つは、福島県南相馬市に小さな子どもと住む知人に、現場で起きていることを冷静に伝え「必要以上に心配することはないよ」と伝えるためだったという。
つぶやきの中で自分のことを「オイラ」と書き、「です」ではなく「でし」で結ぶことが多い独特のメッセージ。初めのころ、読み手は子どもがいるお母さんが多かった。「助けられました」「救われました」というお礼や温かい言葉が寄せられた。
◇命は二の次
ハッピーさんのつぶやきには現場で感じる政府や東電への率直な疑問が多い。
政府や東電が、根拠のない楽観的な見通しを示したり、きちんと説明しない発表をするたびにいらついた。事実をありのまま伝えないことで、かえって不安をあおっていると感じたという。
事故発生当初、作業工程の調整がなされないまま、現場に指示が飛んだことにも閉口させられた。電気系と配管系の作業が同じ場所で同じ時間にぶつかり、片方の作業ができなくなるなどの混乱が起きた。
混乱の跡は、二年たった今も福島第一の各所に残る。ほぼ同じ場所に汚染水の移送ホース、電源ケーブルや機器を制御するケーブルが乱雑に設置されている点などがそうだ。緊急作業だったとはいえ、誤作動や漏電の恐れがあり、今後の不安要因になっている。
「総理が二十四時間作業しろと言っているから何とかしろ」。
こんな指示が現場に飛んだこともあった。無理やり二十四時間体制のシフトを組んだが、作業効率が落ちた。
現場の状況も考えず毎月発表された工程表にも悩まされた。「政府がやるって発表しちゃったから作業を急いでくれ」と言われ、準備もできていないのに夜中に駆り出されたこともあったという。
特に、防護服を着ての夏の作業では何度も倒れそうになった。「休め」とは言われるが、工程表はそのまま。作業員の命や安全は、二の次になっていると感じた。
◇コスト優先
一一年九月、ハッピーさんの耳に、政府と東電が「冷温停止」に「状態」をくっつけて新語をつくり、年内にも福島第一が「冷温停止状態」になったと宣言する、との情報が入ってきた。
だが、溶け落ちた核燃料の状態もわからない。原子炉の冷却にしても、ポンプ故障だけでなく、配管の詰まりや破損などで止まる可能性がある。原子炉の温度計が不安定な動きをし始める中で、炉内が一〇〇度以下と言えるのかどうか…。「冷温停止なんてあり得ない」と思った。
さらに十一月ごろには、「事故収束」まで宣言するらしい、との情報が入ってきた。
「まさか」と思ったが、十二月に実施する予定だった2号機の格納容器の穴開け作業が年明けに延びるなど、宣言の妨げになるかもしれない危険な作業は延期され始めた。
これまでも「選挙があるから、それまで危険な作業はするな」「担当大臣が明後日、海外に行くから今日中にやれ」と現場で指示されるなど、政治の動きに振り回されてきたが、まただった。
収束宣言後、事故現場では、コスト優先の契約が目立つようになり、危険手当や給与の削減など作業員の雇用条件が悪化した。事故後に福島第一に導入された設備類は、保守管理のことを十分考慮していない仮設のものが多い。耐久性のあるものに交換すべきだと東電に提案しても、「予算がない」と却下されることも増えた。
ハッピーさんは、東電が会社再建を急ぎながら、事故収束も進めることに大きな疑問を感じている。コスト優先では、経験豊かな作業員も雇用が安定しないため集まらず、廃炉作業も進まない、と危機感を抱いている。
「国がいくら税金を投入しても、東電の借金になるだけ。東電が民間企業である以上、コストを優先するのは当然。これでは廃炉は遅々として進まない。世界を揺るがした原発事故なのだから、国と東電は収束作業を専門に担う組織をつくって強力に進めるべきだ」
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【http://www.asahi.com/national/update/0505/TKY201305050237.html】
2013年5月6日11時37分
除染に群がる暴力団 給料ピンハネ、税金を資金源に
福島県内の除染を暴力団が狙っている。山形県の暴力団幹部が作業員を送り込んで給料をピンハネした事件で、除染に使われる税金を資金源にする実態が初めて浮き彫りになった。
■人手不足「チェック甘いと思った」
「震災復興に税金が投入されていることは、わかっていますよね」
元暴力団幹部A(40)は検察官の質問に淡々と答えた。「はい、なんとなく」
3月5日、山形地裁。審理は初公判のこの日で終了し、検察は懲役8カ月を求刑した。約3週間後、地裁はAが派遣業の許可を持たずに福島県伊達市の除染現場に7人を派遣したと認定し、懲役8カ月執行猶予3年を言い渡した。賃金を中抜きした「悪質な犯行」と断じたものの、事件後に暴力団を辞めたことを考慮して実刑は避けた。
政府が復興の柱に位置づける除染に、なぜ暴力団が介在したのか。
・・・・・・。
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▶【本紙の片山夏子・福島特別支局長「ふくしま原発作業員日誌」が早稲田ジャーナリズム奨励賞】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/86372)/《「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」の授賞作が16日発表され、公共奉仕部門の奨励賞に本紙の片山夏子・福島特別支局長の著書「ふくしま原発作業員日誌 イチエフの真実、9年間の記録」=写真=が選ばれた。東京電力福島第一原発事故で働く作業員に粘り強く取材し、本紙で131回掲載している「ふくしま作業員日誌」に加筆。廃炉現場の過酷さ、作業員の家族への思いなどを伝えている》