BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

光太夫と小市

2016年05月01日 | 新 刊
 大黒屋光太夫と磯吉、小市ら一行17名が伊勢白子湊を出たのち嵐に遇い、アリューシャン列島の
アムチトカ島に流れ着いたのは1782年だ。そこから10年のロシアでの苦難を経て日本国根室に
戻り帰ったのは上記の3名だ。その顛末を小説にしたのは井上 靖「おろしや国酔夢譚」や吉村 昭の
「大黒屋光太夫」上下巻に詳しい。
 根室に帰った小市は約半年の越冬後に壊血病にて根室の土となった。その亡骸がどこに埋葬された
かはいまも分かっていないようだ。ただ小市の墓地として根室市西浜町墓地に碑などが建立されている。
 アタシはその様子が知りたくて丁度無人駅のロケ中だったが、西浜町墓地に立ち寄った。事前に観光
協会などにその具体的な位置などを知りたくて電話で問い合わせたが、誰も要領を得ない。まあとに
かく行けばなんとかなるだろうとたかをくくっていたが、五番の目に区画された墓地は意外にも広い
のだ。素朴で小さな墓地を想像していたがとんでもない大きさにアタシは途方にくれた。
 して市の管理看板などはあったが、小市のことに触れた看板などはどこにもない。こうなったらと
覚悟して五番の目を順序だてて歩いて探すことにした。もし手こずったら1,2時間はかかるだろう。
だが運がいいのか歩き順の15分ほどで早めに発見することができた。アタシは写真を撮りまくった。
いろんな文章が刻まれた碑があり、ゆっくり読んでいる時間がない。次の撮影予定駅が気になる。
 こんな時のデジカメの日付けありがたい。今その日付は2010年9月24日となっている。最も
撮影行動日誌をつけていたから、その日を失念することは無いが、日誌をどこにあるか忘れる恐れは
ある(笑)
 で、話しはここからだ。
時々当館に顔をみせてくれる前図書館長が紙袋いっぱいに、小冊子15冊と単行10冊をどっさりと
持ってきてくれた。もちろん全て光太夫に関するものばかりだ。(アタシは光太夫関連本や資料がこ
んなにあることは知らなかった)館内にある書棚の井上靖と吉村昭の本をみて気を回してくれたのだ。
15冊の小冊子を先に読み、他に読んだ単行本を一旦返し、残りを再度借りてきたのが写真の4冊。
これもあと10日あまりで読み、返さなければならない。ここ1ケ月は「大黒屋光太夫」漬けの日々
になっている。
 まあしかしとにかく面白い200年以上も前の鎖国時代のお話しだが、ロシア漂流10年ののち
根室に帰り越冬後に亡くなった小市の無念を思うとき、アタシは墓地でその痕跡を是非とも探して
みてやろうと思った。そんな小市墓地探しから6年、アタシは歳をとったことになる。
 そしてその時の作品「無人駅叙景」の発行発売からもう3年近くになる。

 「大黒屋光太夫」 著者 山下 恒夫  岩波新書 定価740円+税
  ( 2004年2月20日 第1刷発行 )
 「大黒屋光太夫追憶」 著者 衣斐 賢譲  龍光禅寺出版部  
  ( 平成4年2月10日 第2刷発行 )
 「大黒屋光太夫の接吻」 著者 生田 美智子  平凡社選書 定価2500円+税
  ( 1997年2月19日 初版第1刷発行 )
 「光太夫の悲恋」 著者 亀井 高孝  吉川弘文館  定価580円
  ( 昭和42年3月25日 初版発行 )

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