BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

ダイオキシン

2019年06月25日 | 写真集
日本の敗戦後の1946年の1月、フランスとベトミンとの全面交戦状態から始まったベトナム戦争は
1973年のパリ協定によりニクソンはアメリカ軍を撤退させ、1975年4月30日サイゴンが陥落
し終戦となった。これにはタイ、ラオスやカンボジアなどの隣国の複雑な軍事事情もからみ、この一帯
は戦況にまみれた。だがなんと言ってもベトナムへのアメリカ軍の大量の軍事力投入はすさまじかった。
沖縄からも昼夜を問わずB52が飛びだった。そしてジャングルの枯葉作戦で撒かれた枯葉剤に大量に
含まれたダイオキシンはいまだにその後遺症をのこしている。その地で生まれたり育った人には癌の発生
や奇形児の出生が圧倒的に多い。それはベトナム人だけに限らず作戦に携わったアメリカ兵や韓国兵にも
広がっていた。双胎児はベトちゃん、ドクちゃんだけではなかったのだ。死産した奇形のホルマリンにつ
けられている胎児の写真を正視するのさえ厳しい。
この写真集は概ね1975年の戦後から撮られたもので、1980年代までを集積したもの。その残虐性
は戦時とかわらない。軍上層部は枯葉剤などは人体になんの影響も無いと云っていた。最近もよくこの言
葉を聞いた「ただちに人体に影響はない」と。

 写真集「戦場の枯葉剤」 グラフィック・レポート 中村 梧朗  岩波書店 定価2800円
  ( 1995年7月24日 第1刷発行 )

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