BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

ボウセン

2016年03月06日 | 古本
 対談本というと大抵は数時間を想定したやり取りだが、石牟礼 道子さんと藤原 新也さん
は3日間連続して熊本市にある石牟礼さん宅で行われたようだ。きっとお茶でもゆっくりと
飲みながら話されたのだろうか、話しに急ぎがない。
 福島と水俣、根底は放射能と水銀という海の汚染。研究という学問に汚染された学者たち、
「ただちに人間の健康に影響はない」と平気で云い続けられた水と土と空気と人間の悲しみ。
タイトルガ秀逸だ。
 「なみだふるはな」 著者 石牟礼 道子 藤原 新也  河出書房新社 
  ( 定価1900円+税 2012年3月30日 初版発行 )

 古本列伝にはところどころに傍線は普通にある。ご丁寧に赤ボールペンだったりするとき
もある。この文庫にも鉛筆にてそれがある。珍しいのはその傍線が特にどうということもない
文章に添えられていることだ。たとえば<1980年代のバブル経済に踊らされた日本社会
を見ているかのようだ。>なんということもない文章の、ここに引かれた傍線は直線ではな
く丁寧な波々型なのだ。この文章が傍線を引くほどのことなのか。それほど重要だと思うな
ら古本に売るなとアタシはイカル(笑)「中村屋のボース」ほど面白くなかったハライセ。
 「インドの時代」 著者 中島 岳志  新潮文庫 定価438円+税
  ( 平成21年1月1日 発行 )