◆完結編◆
いつものように夜中目が覚めるが、吐き気を催すほどの気持ち悪さはない。最終日にして、ようやく船揺れに慣れてきたという事か。
前夜の食事を早めに、そして腹八分目で済ませておいた事も大きな要因なのだろう。
腹八分目
さて、下船当日は8時までに部屋を引き払わなければならない。いつも7時過ぎに起床していたので、なかなかタイトなスケジュールだ。
前日渡されたタグのカラーによって下船客はまとめられ、それぞれ指定の場所・時間に集合し、下船するというシステムである。
『まるごう』(境港編参照)からついてきた伊右衛門の姿も
シャワーと着替えを手早く済ませ、カバンに荷物を詰め、さらに忘れ物がないか入念にチェックする。
次の客を迎えやすいよう、また世話になった感謝も込めて用具はあった場所へ、ゴミも一箇所にまとめておく。
説明会で言っていたが、特にリモコンは目につく所に置いてあるとありがたいそうだ。
ジャルディーノ(ブッフェ)で本当に最後の食事。ここは確かに海の上だが、窓からは見慣れた金沢の街並みが広がり、なんだか不思議な感じもする。
大谷くん(仮名)がカフェラテを勧めてくれたが、最後くらい奮発(つってもカプチーノなら300円くらいだけど)しておいてもよかったよなぁと後悔するケチんぼであった。
似たような色合いオールスターズ
クルーズライフを支えた主力選手、ベーコン…
最後まで何の肉なのか分からなかった謎のソーセージ…
正直コンビニとか冷凍の方が旨いが、あると嬉しいハッシュドポテト…
何気に食べ放題では珍しい、常時3種類が備えられたチーズ…
後半の野菜不足を補ったが栄養価はさほど高くないナスの炒めもの…
最終日にして初めて巡り会えた、ゆでたまご先生…
こんなに加工肉ばっか食って大丈夫なのかしらという思いが今さら浮かんだが、もはや後のフェスティバルだ。明日から節制(ラマダン)すればよい。
ていうか最後になって改めて気付かされたが、自分の盛り付けは余りにも彩りが無さすぎる。たぶん動物園のライオンの方がもっとカラフルなもん食ってると思う。
栄養バランス以前にバイキングの紹介記事としてどうなのか。それも後のフェスティバルだ。
長き旅の終わり
集合時間まで30分を切っているが、昨日の思い出が詰まったモンテカルロプール(デッキ11後方)へ。寝こそしなかったが、ひとときの散歩。
別れのファンネル。ファンネル言いたいだけです
集合場所で時間がくれば、あとは船を降りるのみだ。みんなで前方のエレベーターに乗り込み、デッキ3を目指す。
ただすごく混むので、初手で出遅れたら階段に切り替えた方が、最後の最後でイヤな思いをしないでいいかもしれない(自分達は階段で降りました)。
船員に見送られ、金沢港へ。加賀友禅の美女軍団が歓迎してくださるが、帰港時の大移動っぷりでは落ち着いてシャッターを切る余裕もない。というか止まれない。
行きと同じく、謎のストロークをバスで通り抜け、スーツケースを受け取りまた次のバスへ。金沢発着ならば、往復券がまだ有効な筈だ。
県庁のある鞍月を抜け、金沢駅へ。懐かしい光景。行き交う人の群れ。日常が戻ってくる。
駅でタクシーを拾う。5日前、同じように金沢から出発した乗客たちは、それぞれの足で、それぞれの帰路につく。
そうして誰もが皆、離れていた日常へと帰っていくのだ…
そんなのいやだ。
(おしまい)
※もうちょっとだけ続くんじゃ