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帯とけの枕草子〔二百六十三〕狩衣は
言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」のみ。「心におかしきところ」を紐解きましょう。帯はおのずから解ける。
清少納言枕草子〔二百六十三〕かりきぬは
文の清げな姿
狩衣は、香染の薄い。白いふくさ。赤色。松の葉色。青葉。桜。柳。また、青い藤。
原文
かりぎぬは、かうぞめのうすき、しろきふくさ、あかいろ、まつのはいろ、あをば、さくら、やなぎ、又あおきふぢ。
心におかしきところ
かりする心と身は、お疲れ初めの薄い色、白々しくやわらか。元気色、待つ女の端の色。吾お端、咲くら、しだれぎ。また再び若々しい不二。
言の戯れと言の心
「かり…狩…刈…採…あさる…ひく…つむ…めとる…まぐあう」「きぬ…衣…ころも…身と心を包も物…心身の換喩…来ぬ…来寝…来て寝る」「かうそめ…香染…黄色味おびた薄い赤色」「黄色…お疲れ色」「赤…元気色」「白…おとこの色…はての色」「ふくさ…柔らかい絹…やわらかい」「色…色彩…顔色…気色…色好みの色」「松…待つ…女」「は…葉…端…身の端」「青葉…若い身の端」「桜…おとこ花…咲くら」「柳…しだれ木…し垂れき」「また青きふぢ…また青い男木…再び若々しいおとこ」「藤…不二…二つはない…おとこは一過性である」
古今和歌集の「狩衣」の歌を聞きましょう。
巻第十二 恋歌二 とものり (大内記 紀友則)
夜ゐ夜ゐにぬぎてわがぬるかり衣 かけておもはぬ時のまもなし
(宵々に脱いで我が寝る、狩衣、かけて、貴女を・思わぬ時の間はない……好い好いに、貫きて我がぬる、かりする身と心、神かけて、貴女を・思わない一瞬の間もない)。
「夜ゐ…宵…好い」「ぬぎて…脱ぎて…ぬきて…貫きて…貫き通して」「かり衣…狩衣…かりする男の心身」「かり…めとり…まぐあい」「かけて…衣を掛けて…神懸けて…神に誓って…決して」「時のま…時間…片時の間…一瞬の間」「おもはぬ時のまもなし…常に思っている…思い続けている」。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず (2015・10月、改定しました)
原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。