■■■■■
帯とけの土佐日記
土佐日記二月十二日~十五日(山崎に泊れり)
十二日。山崎に泊まった。
十三日。やはり山崎に。
十四日。雨が降る。今日、車を京へ取りに遣る。
十五日。今日、車を京より率いて来た。船がうっとうしいので、船より他人の家に移る。この人の家、喜ぶように、あるじしたり(もてなしをした)。このあるじ(この主人)の、また、あるじ(もてなし)の良さをみると、うたておもほゆ(異様に感じる)。いろいろとお返しをする(代金を払う)。家の人の振る舞い、悪い感じはない。ゐやゝかなり(礼儀正しいのである)。
言の戯れと言の心
「あるじ…饗応…主人」「うたておもほゆ…過剰で普通ではない感じがする…旅の宿で過剰なもてなしを受ける感じ」「うたて…益々…過剰…普通ではない感じ」「ゐやゝかなり…敬う感じである…礼儀正しいのである…宿の使用人の立ち居振る舞いは客をうやまい礼に適っている(これが商売であり仕事である)」。
伝授 清原のおうな
聞書 かき人知らず(2015・11月、改定しました)
原文は青谿書屋本を底本とする新日本古典文学体系 土佐日記による。