帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの土佐日記 二月十二日~十五日

2013-02-21 00:31:55 | 古典

    



                             帯とけの土佐日記


 土佐日記二月十二日~十五日(山崎に泊れり)


 十二日。山崎に泊まった。


 十三日。やはり山崎に。


 十四日。雨が降る。今日、車を京へ取りに遣る。


 十五日。今日、車を京より率いて来た。船がうっとうしいので、船より他人の家に移る。この人の家、喜ぶように、あるじしたり(もてなしをした)。このあるじ(この主人)の、また、あるじ(もてなし)の良さをみると、うたておもほゆ(異様に感じる)。いろいろとお返しをする(代金を払う)。家の人の振る舞い、悪い感じはない。ゐやゝかなり(礼儀正しいのである)。


 言の戯れと言の心

 「あるじ…饗応…主人」「うたておもほゆ…過剰で普通ではない感じがする…旅の宿で過剰なもてなしを受ける感じ」「うたて…益々…過剰…普通ではない感じ」「ゐやゝかなり…敬う感じである…礼儀正しいのである…宿の使用人の立ち居振る舞いは客をうやまい礼に適っている(これが商売であり仕事である)」。


 伝授 清原のおうな
 聞書 かき人知らず(2015・11月、改定しました)

 
 原文は青谿書屋本を底本とする新日本古典文学体系 土佐日記による。