昭和45年判決の結論
「判決の理由中でなされた事実の認定や先決的関係の存否についての判断などにも及ぶ」
平成14年判決(本書81事件)
「判決の理由中でなされた事実の認定や先決的関係の存否についての判断とは,判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断などをいうものであって,これに当たらない事実又は論点について示された認定や法律判断を含むものではない」
→ 傍論には及ばない。
<具体的には>
判決主文で示された具体的な判断 → 「抹消登記手続請求は認めない」(厳密には「原告の「請求」を棄却する」 この判断を導く為に必要な主要事実に係る認定は, → 「所有権は移転している」 → 「表見代理が成立している」 |
ここまでで十分。
→「無権代理である」部分は何故要らないか。
代理権がないことは,表見代理成立の為の請求原因ではない。だとすると,表見代理構成という理由付けで判決主文の判断がなされた場合,主文の判断を導きだすために必要な主要事実に係る認定部分は,表見代理が成立する,という部分までで十分,と言うことになる。したがって,「代理権ありとまではいえない」という理由中の判断部分は,「傍論」に過ぎないのである。つまり,参加的効力はこの部分には生じない。