利益相反取引に関するアドバイス

2014-12-23 00:42:51 | 司法試験関連

利益相反の問題は、①直接取引か→②規制すべき間接取引か→③①肯定OR②肯定の場合、役会決議がないがその効力は、という流れになります。予備校の答案には、①否定の後、「では、間接取引に当たるか」という類の問題提起をしているものが非常に多いのですが、これは正確ではありません。「直接取引」でなければ、その取引は「間接取引」です。問題は、「利益相反取引規制をかけるべき間接取引かどうか」なのです。これは基礎力完成講義で説明していることです。

会社と取締役の「間接取引」自体は、非常に広範なものになるので(要は両会社に何らかの形で同一人が関係していれば、両会社の取引は「間接取引」にはなりえます)、一々利益相反規制をかけていたら、ビジネスとして成り立ちません。問題は、「間接取引」の中には、「危険な取引」がある、という点にあります。そのため「客観的に見て、取締役と会社の利益が相反する恐れのある取引かどうか」を実質的に判断する、という規範を立てて、当てはめる、という作業になります。ですから正しい表現は、「利益相反取引規制をかけるべき間接取引か否かが問題となる」というものになります。

また、利益相反取引か、重要な財産の譲受けか、多額の借財か、という「〇〇に当たるか」、という「要件論」の話と、では当たるとして本件では取締役会の決議がないが、その効果はどうか、は明確にわけて検討するようにしましょう。条文自体からは、「〇〇に当たるときは、取締役会決議が必要」ということしか明確ではありません。決議が必要なのにない場合はどうなるんですか、というのが「効力論」になるわけです(論点ですね)。

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