Somthing Personal/Jack Wilson
(Blue Note BST84251)
(Blue Note BST84251)
ロスアンジェルスは縦横無尽に高速道路(フリーウェイ)が発達した大都市です。ここをドライブした経験のある方なら、お分かりだと思いますが家路を急ぐ車があふれるラッシュアワーの高速はスピードはのろのろとなりますよね。5P.M.、ダウンタウンからロングビーチ方面に向かうハーバーフリーウェイに乗ると右の車窓のから鈍い西が陽差し込んで来ます。数車線ある南行きを埋め尽くす車のテールランプの数は尋常ではないですよね。車線の数が少ない日本の高速道路とはちょっと違った光景です。この情景を曲にしたのがJack Wilsonのブルーノート盤"Something Personal"のB-2です。モーダルですがテンポを落とした演奏でジャックが思い浮かべる大都市LAの毎日繰り返される夕方の喧噪、ハーバーフリーウェイの夕方の光景、何となく分かりますね。本日はこのアルバムをアップします。
ジャックのBN盤では、モーガン、マクリーンを有する"Easterly Winds"ばかりが取り上げられますが、個人的にはこの”Harbor Freeway 5P.M."を含む本アルバムが好きなんです。メンバーがまた渋い。メタリックでモーダルなアプローチをみせるRoy Ayers(vib)とリーダー、ジャックが共演を喜んだという巨匠Ray Brown(bass, cello)の参加が目をひきます。他のメンバーはCharles Williams Jr.(b)(バスター・ウィリアムスに他ならない)、Varney Barlow(ds)です。基本的には、Ayers, Wilson, Brown, Barlowのカルテットで、RayがcelloになるとBusterがbassを担当しクインテットとなります。ジャックのピアノスタイルはピーターソン的な部分とモードが同居した感じです。A-3の"Skosh"やB-1の"Serenata"はOP的で、特に後者でのエアーズとのユニゾンのテーマは本当に美しい。そして“ハーバー~”につながっていきます。
ひょっとしたら過小評価のウィルソン盤です。個人的にはLAの夕暮れのフリーウェイを思い起こさせる贔屓盤です。所有盤はring wearのきついブラックリバティですけどね・・・。