パパとりの雑記帳

酉年生まれの後期高齢者。健康不安を抱えながら、新聞、TV等からの情報を元に、好奇心に駆られて、近郊の社寺を中心に散策。

木葉猿(このはざる)

2019年05月20日 | 日記
先日、日経新聞の文化面に、「木葉猿」が紹介されていました。
隣のお宅が熊本の「玉名」のご出身なのでお尋ねすると、
何と、実物を持っておられたので、拝見しました。


拝見した「木葉猿」二点

 
  「木葉猿・三猿」                「木葉猿・彩色」
言わざる・聞かざる・見ざる          飯喰い猿

 
背中の刻印「木葉猿」


木葉猿の由来(熊本伝統工芸館より転載)
養老7年(723)の元旦に、「虎の歯(このは)」の里に住んでいた都の落人が
夢枕に立った老翁のお告げによって奈良の春日大明神を祀り、
神社に奉納する祭器を木葉山の赤土を用いて作りました。
残った土を捨てたところ、それが猿に化けたという伝説から生まれたものといわれています。
この木葉猿は、型を使わず指先だけで粘土を捻って作り、素焼きした素朴な玩具で、
元は無彩でしたが、現在は彩色したものもあります。悪病・災難除け、子孫繁栄などの
お守りとしても用いられています。

一見するとまるで土偶や埴輪のようにも通じるように素朴に感じられ、
表情を見ているとどこかユーモラスな木葉猿。
唯一の窯元とのことですが、日本の郷土玩具の一つとして守り続けて欲しい。

春日大明神由来とかですが、玉名出身の方が奈良の地に住み、木葉猿を大切にされているのも
何かの縁を感じます。

蛇足
三猿・木葉猿は「言わざる・聞かざる・見ざる」ですが、表現のラインナップが少し異なります。
有名な日光東照宮神厩舎では、左から「聞かざる・言わざる・見ざる」
(正しくは猿の彫刻は右から見ると「見ざる・言わざる・聞かざる」となる)
京都八坂庚申堂では「言わざる・見ざる・聞かざる」
四天王寺庚申堂境内の三猿堂では「見ざる・言わざる・聞かざる」 

この三猿には、孔子の論語のたとえとする「四猿」説があるそうですが興味のある人はどうぞ。

顔(がん)淵(えん)問仁。
子日、克己復礼為仁。一日克己復礼、天下帰仁焉。為仁由己。而由人乎哉。
顔淵日、請問其目。
子日、
非礼勿視(ひれいぶつし)   視
非礼勿聴(ひれいぶつちょう) 聴
非礼勿言(ひれいぶつげん)  言
非礼勿動(ひれいぶつどう)  動

三猿にすると「視(見)・聴(聞)・言」の順で述べられています。

おおらかに木葉猿の順番でいいのかも?