斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

銭函海岸水難の原因の推定です

2017年08月27日 20時35分29秒 | 水難・ういてまて
これまでの状況と助かった高校生の証言から、事故の推定です。

生還した高校生は急に水深が深くなって友達の方を見たら、友達の姿が見えなくなったといいます。
現場は遠浅の海で、大分沖までいくと背が徐々に立たなくなる砂浜の地形のようです。このような砂浜では急に深みが出現するという可能性が低く、たとえあったとしても3人が急に行方不明になるような事故に繋がるとは思えません。

現場には汀線から沖合い200~300 mほどの地点に直線上に並べられた5つの200m直線ブロック帯があります。事故現場は北から3番目と4番目のブロック帯付近のようです。当時は北西の風が風速10m/s以上で吹き込み、波の高さが1.5 m以上あったようです。

当時のヘリコプター映像を見ると、ブロック帯の間の50 mほどの隙間から、回折波が明らかに出ています。ブロック帯の長さが200 m程ですから、回折波は200 mおきに発生していました。問題は、この回折波が波消しブロック帯の背後で重畳波を形成することです。回折波が重なるわけですから、波の高さが1.5 mだとすると、単純には3 mの波になるわけで、本来足の届くところにいたはずなのに、重畳波によっていっきに3 mの高さ、逆に言えば3 mの深さに持っていかれたといえます。



此は、現場で発生していたことと、証言の整合がとれる、あくまでも推測です。今後事故調査の結果を待ちたいと思います。

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