斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

東京モーターショーに関連した記事を読んで

2013年11月29日 06時12分04秒 | 長岡技術科学大学の広報
東京モーターショーが開幕しています。
先日のブログでも本学の研究分野とクルマの関係をお話ししました。

そのモーターショーの話題をもとに、岐路に立つ自動車“産業”、崩壊の危機感抱くメーカーという記事で、若者のクルマ離れが自動車産業崩壊の危機をまねくとしています。

若者のクルマ離れを起こしているのはクルマに興味がなくなっているから、としていますが、まったくそのとおりで、それが自動車業界の崩壊につながるのもそのとおりだと確信しています。このグラフを見てください。わが国の2輪車生産台数の推移を示しています。


生産台数は1980年にピークを迎え、その後リーマンショックで壊滅的に最後のとどめを刺されています。1982年にはいわゆる三ない運動が展開されています。これによって高校生がバイクに乗る権利を奪われ、バイク離れが加速していきます。その結果、産業は「バイクに興味のない若者」から見放されたことになり、円高に勝てるようなアイディアを出す若いエンジニアを確保できなくなりました。

三ない運動は、若者のバイクやクルマの運転中の死亡事故を減少させたという効果もあったかもしれません。問題は、それを十分に検証せず、ここまで来てしまったことにあります。いま、全国の工業高校はしかり、高専ですらバイクの乗車に関して大きな制限を加えているところが多いのが現状です。そして、それが三ない運動からそのまま引き継がれてきているだけなのか、のせないことに大きな意味があるのか、自動車産業の崩壊が目の前に来ている環境で、二輪車、四輪車に興味を示す若いエンジニアの卵を育てなくてよいのか、検証がなされないまま、惰性でここにきていることに大きな危機感を感じます。

文部科学省は、1980年代から三ない運動推進とはむしろ逆の立場をとっています。今でも二輪車安全運転全国大会の後援に文部科学省が入っています。安全運転教育を学校教育に取り入れて、安全に運転する若者を育て、さらに二輪車、四輪車への興味を育てようという意思が伝わってきます。

全国の高専の関係者の皆さん、バイク通学自動車通学などバイク・クルマに関する規則がほんとうに現状のままでよいのか、エンジニアの卵の教育という観点で今一度見直しをされるのはいかがでしょうか。少なくとも本学は自由にしています。寮生もバイク・クルマを寮の駐車場にとめていつでも使えるようにしています。