ブログ日和。

映画と、『ER緊急救命室』『ザ・ホワイトハウス』などの海外ドラマと、世間に対してのツッコミを徒然に書いていきます。

『シンデレラマン』

2005-10-02 18:21:40 | 映画
新宿ピカデリーにて。

1929年、タイトル奪取を有望視されていたボクサー、ジム・ブラドッグは、ライセンスを剥奪され、引退を余儀なくされた。しかも時代は大恐慌を向かえ、日雇いの仕事にもなかなかありつけない日々が続いていた。

不遇の日々を過ごすジム。そこにかつてのマネージャー、ジョーの計らいで、再びリングに立てるようになった。この映画、試合シーンがすばらしい。相手が本物のボクサーということもあり、ラッセル・クロウも喰らいつくようなパンチを繰り出す。主観と客観の切り替え、スローモーション、カメラのフラッシュに呼応してのストップモーション、マディソンスクエアガーデンの一観客として観戦しているような感覚になる。驚いたことに、ジョーが勝利した瞬間、映画館の場内から拍手が起きた。

そして、これは純粋な家族愛の物語だ。何のために戦うのか尋ねられ、ミルクのためだと即答し、試合の機会を与えてくれたことに感謝する。一度どん底に突き落とされたからこそ、身についた謙虚さ。だからこそ、民衆は、彼の姿に夢見、熱狂したのだろう。真のヒーローとは、自信と謙虚さの両方を持ち合わせている。

ジムを支える妻メイ役は、レニー・ゼルウィガー(いつのまにかレネーって読み方になってたけど)。ヘビー級チャンピオン、ベアのの失礼な言動に腹を立て、コップの水を浴びせかけるシーンは爽快だし、タイトル戦の直前、彼女の不安な気持ちと信頼の気持ちが一気に流れ出て、顔をクシャクシャにしながら「必ず帰ってきて」と言う場面は泣かせる。

同じ時代に、同じくささやかな家族の幸せを願っていた人々の物語、『ハルとナツ』が今夜からNHKで放送される。これも観ようと思う。