「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

「Jerry'sギター」代表&編集長「MASH & ハードパンチ編集部」が贈る毎日更新の「痛快!WEB誌」

「マッシュルーム・ハイ」広報部長「スターマンアルチ」が放つ!「爆音レコード45回転!」〜今夜この曲をあなたに〜(第五回は「60年代ビートグループ」)

2019-05-23 08:45:34 | アナログ盤(レコード)
さて、前回から少し間が空きまして、
記念すべき「令和」で最初の
Starman☆アルチでございます。
どうですか皆さん?
令和になって何か変わった事とかありますか?

僕はまあ、特に実感も何も無いのですが、
僕みたいな「ロック馬鹿」の場合、
何となく頭の中でデレク&ドミノスの超名曲
「愛しのレイラ」がリフレインのように鳴り響いている今日この頃です。

「レイワ」だけに。
・・・・・・うん、今日もロックだぜ
 
まあ、そんなことは置いておいて、
今回Mash氏から送られてきた
「魅惑の45回転シングル盤」
をご紹介しましょう!
 
何となんと今回は、
「ピクチャースリーブ」!
要するに「ジャケット付き」の日本盤
でございます!
 
1965年リリースの
「ザ・ヒットメイカーズ」による
「ストップ・ザ・ミュージック/恋の願い」
です!
 
このピクチャースリーヴは、もはや
「作品の一部」とも言うべきもので、
たとえば当時、町のレコード屋さんでこちらの盤(当時の定価は400円!)
を手にしたら、このジャケット写真と、
裏面のライナーノーツ(解説)
を見ながらあれこれ想像を張り巡らすわけです。
 
今とは違いインターネットの無い当時、
情報が限られていたこそ、
一つのシングル盤に込められた
「音」を真剣に聴き込むのです。
 
実はこの「ヒットメイカーズ」というバンドに関して、僕も全く知らない状態ですので、
その段階から、しっかり聴き込んでいこうと思います。
 
まずジャケット!
 
現代なら、CGや様々なテクノロジ-を駆使して、
最高に美しくカラフルなジャケットを作れることでしょう!
しかし、それが必ずしも「ベスト」では無いかもしれません。
 
この「1960年代テイスト抜群」の、
モノクローム写真にゴシック体の曲タイトルのコラージュが、まず素晴らしい!
 
そこに、ビデオカメラを挟んだ4人組の姿。
正直何が何だか全く意味が分からないぞ!
何となく一番左の人は不良男の代名詞
あの「ジェームズ・ディーン」似で
大いに期待できそうな感じ。
 
1960年代で「4人組」と言うと、
やはりビートルズが思い浮かびますが、
当時、ビートルズのデビューを機に、
「俺もスターになるぜ」
と楽器を手にした若者たちが、沢山いたのです。
 
ストーンズ
ザ・フー
キンクス
アニマルズ
ヤードバーズ等は、
後の活躍もあり、れっきとした
「大物ロックバンド」
としてしっかりとカテゴライズされていますが、
他の多くは「ビートサウンド」や「ブリティッシュ・ビート」等という言葉で一括りにされています。
 
たとえば、
ジェリー&ペースメイカーズ、
ホリーズ(グラハム・ナッシュがいたバンドですよ!)
サーチャーズ
ハーマンズ・ハーミッツ
マン・フレッドマン
デイヴ・クラーク・ファイヴ
スウィンギング・ブルー・ジーンズ
シーカーズ
ゾンビーズ
フレディ&ドリーマーズなどなど、
 
今ではほとんど語られない
これらの「ビート・グループ」達。
彼らはビートルズ同様、ブラックミュージックの影響を受け、ギターを手にし、何とか数多くいるライバルとは異なる新しいサウンドを見つけ、成功を掴み取ろうと必死だった人達なのです。
 
実は僕、この当時のイギリスの「ビートグループ」が大好きでして、
彼ら一人一人についてのコラムを書きたいぐらいなのですが、
今日の主役は、「ヒットメイカーズ」です
 
当時、多くの「ビートグループ」は、
ビートルズ同様スーツ姿でいることが多いのですが、
彼らはジージャンやらジャケットやらを着て、
少し異彩を放って見えます。
 
「おっこれは隠れた名盤か!」
と思って裏のライナーノーツを読む。
そこには「スカンジナヴィア」の文字。
 
てっきりイギリスのバンドかと思いや、
こちらのバンド、実はデンマークのバンドなのです。
 
デンマーク。うーん、
同じ北欧ですと、たとえば90年代にトーレ・ヨハンソンを中心に日本で大流行した
スウェーデン発の一連の「スウェディッシュ・ポップ」や、
日本のバンドにも影響を与えたフィンランドの「ハノイ・ロックス」ぐらいで、
デンマークのバンドなんて全く思いつかない。
強いて個人的に著名人を挙げるならミカエル・ラウドルップだろうか(サッカー選手です)
 
それぐらい
「ロック未開の地」
というイメ―ジのデンマーク出身で、
1965年当時、日本でレコードを出せるバンドがいたとは!これは今回も、レコードに針を落とす前からテンションMAXの僕。
 
さあ、いよいよ針を落としましょう!
まずはA面「ストップ・ザ・ミュージック」
 
深いエコーとダイレクト感のドラムのビートに、
エフェクターでごまかさない「クリーン」なエレキギターのカッティングが絡む、
 
バンド演奏のグルーヴは本当に素晴らしく、
最低限のオーバーダブでライブ感溢れるサウンド!
それは、後々にデビューした、どんなガレージバンドよりもガレージっぽく、
どんなパンクバンドよりパンクっぽい。
 
また今回もシングル盤ならではの「音の塊」が
僕の脇腹に数えきれないボディーブローを打つ!
 
そこに当時22歳の「ヨルゲン・クラベネウト」のボーカル!
何と言うか、確かに黒人音楽の影響を感じながらも、
エリック・バードンのようにどっぷりR&B!という感じでもなく、
やはり何処か北欧特有のエッセンスを感じるボーカル。
 
一番の驚きはその曲。
日本人好みマイナー調のコード進行は、昭和歌謡に通じる部分もあり、
まさか遠いデンマークからこんな曲が生まれるとは!という衝撃。
 
調べてみると、この盤、当時の日本ではかなりヒットしたそうで、
この「ストップ・ミュージック」をカバーしたグループサウンズもいたそうな。
 
ヒットメイカーズのサウンドは、
どこか日本人の心の底に刻まれたDNAを刺激するような
「憂いだロックサウンド」なのです。
 
今まで数多くの「60年代ビートサウンド」を聴いてきた僕でしたが、
「まだまだこんなバンドがあるとは!」
と、頭を抱える僕。
「そうだ、まだB面があるじゃないか!」
と夢中でシングル盤をひっくり返す。
 
B面は「What you gonna do about it」
この曲名でピンときたあなたは、
「今では」中々のロックマニア。
「ぜひ一緒に酒を飲みながらロックを語ろうぜ!」という感じなのですが
「スモール・フェイセズ」が同年にリリースした曲のカバーなのです。
 
スティーヴ・マリオットの熱~いボーカルに引っ張られた
汗のほとばしるラウドなサウンドとは異なり、
こちら、ヒットメイカーズのバージョンは、
何となくデンマークのイメージに沿った落ち着いたアレンジ演奏。

逆に言うと、
無理に「黒人っぽく、ラウドに!」
という頑張り感ではなく、
自分たちの身の丈に合った表現をしている感じが、
当時の日本で受け入れられたのかもしれません。
 
正直、彼らの盤が、他にどんな物があるか分かりませんし、
逆に言えば、この盤に込められた2曲を繰り返し聴き込むことが大事なのかもしれません。
 
それぐらい、1枚のシングル盤の中にあるエネルギーは凄まじいのです。
特に1960年代は、まだまだレコーディング技術もエフェクターも発展途上。
ごまかしの効かない「一発勝負」な感じが強い。
要するに今と違い「下手な演奏」をごまかせない訳です。
 
きっと、1960年代当時
「ヒットメイカーズ」ぐらい素晴らしい演奏をするバンドが、無数いたことでしょう!

今では全く語られず、消えてしまいましたが、
レコードの溝に刻まれたそのサウンドは、今でも十分な輝きを放つ!
 
それを踏まえ、彼らに敬意を示しつつ、僕らはレコード盤に針を落とし、
そしてまた、音楽をプレイし続けるのです。
 
「愛ゆえに」
 
さあ、皆も、レコードに針を落としましょう!
 
Keep the fire burnin'!
スターマンアルチでした!

(企画・編集・校正・加筆リライト「Mash」)
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ゲストライター陣紹介
〈Starman☆アルチ

俺「Mash」のバンド
「マッシュルームハイ」の現メンバー
ドラム、キーボード、広報担当。

ジェリーズ軍団では
「ハウリンメガネ」
「ジョーカーウーマン」
と共に、音楽専門ライター陣
「ロック・マニアックス」
を2019年新規結成



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