「Jerry's Mash」のアナログ人で悪いか! ~夕刊 ハード・パンチBLUES~

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【特別企画】『ダリル・ホール & ジョン・オーツ』解散への寄稿 (第3回) ハウリンメガネ編 Part2

2024-07-06 10:08:03 | 『ハウリンメガネ』コラム集

ご機嫌よう読者諸賢、ハウリンメガネである。

挨拶も早々に前回に引き続き、ホール&オーツのお話を。

そもそも私がホール&オーツというデュオを知ったのは、中学生ぐらいの頃、深夜の通販番組でよくあった「80年代USAベストヒットコレクション」のようなCDセットのCMで、ワム!「ウェイク・ミー・アップ〜」辺りと一緒に必ず流れる「プライベート・アイズ」を聴いて、「あ、この曲かっこいい!」と思ったのがきっかけだった。

当時(90年代末)、既にブルー・アイド・ソウルという言葉も、アダルト・オリエンテッド・ロックという言葉も死語となっている状況であり、日本のヒットチャートはビーイングや小室サウンドが席巻中。
その裏ではグランジ、オルタナティブロックに影響を受けた日本のインディーギターロックシーンが静かに盛り上がりを見せており、筆者もまたその轟音に身と心を焼き焦がれていたのだけれど、それと並行して何故か心惹かれたのが、ホール&オーツに代表されるブルー・アイド・ソウル。

当時のヒットチャートにも和製R&Bと呼ばれて流行っていたものはあったし、それはそれで嫌いではなかったけれど、今ひとつぐっと来るポイントが足りない。そんな私の心に見事にぶっ刺さったのがホール&オーツだったのである。

ぐっと来るポイント?

ギ タ ー で す よ !

そう、90年代末の和製R&Bはヒップホップ以降のR&B、エリカ・バドゥや、ローリン・ヒル的なものであり、主役はあくまでボーカルであり、リズム。

今になればこそ,あれはあれで良いものだ、と言い切れるけれど、ニルヴァーナやミッシェル・ガン・エレファントのようにこれでもかとギターが鳴り響くロックにヤラれ、ギターが聴こえない音楽は音楽じゃないと思っていた小僧には「ギターが入ってない!」というだけでリスニング対象外(我ながら馬鹿だなぁ)

私が求めていたのはギターがちゃんと表でカッコよくロックしていて、なおかつブラックミュージックの洒落た雰囲気のある音楽……見事にどんぴしゃりでホール&オーツじゃないのさ!

実は今聴き直してみても、ホール&オーツほど見事にギターの音がロックで気持ちいいR&Bって中々ないのである。

R&Bマナーからいえば、ギターは目立つべきではない。クリーントーンで歌の後ろをきっちり支えて、気持ち良いオブリを挟んだり、小気味よくカッティングやミュートリフをキメるのがR&Bにおけるギターの定番の役割である。

が、ジョン・オーツのギターはそれらに反し、ディストーションの効いた音でリードやメロディーを弾いているのにR&B的フレーヴァーを壊さない。

何故か。
オーツのギターはちゃんとツボを押さえているのである。

まず、弾きすぎることがない
ロックギタリストだとついついねちっこくベンドやヴィブラートを効かせてしまいそうなところもサラッと弾くから鬱陶しさがなく、クールで洒落た音に聴こえる。
そして更にいえば、ギターのフレーズが常に歌に添っているのである。
彼自身がボーカリストだからなのだろうけど、歌の邪魔になるようなプレイをしない。歌に対するコール&レスポンスを意識したフレーズを選んで弾き、ギターの要らない場面では弾かないという判断を的確にしているのである。

このオーツの抑制の効いたロックギターサウンドとダリルのコンビネーションによってホール&オーツはロッキンR&B、ブルー・アイド・ソウル・デュオとして名盤をきちんと残したのである。

シティポップの再評価が行われている今こそ聴き直されるべきデュオだと断言いたしますが、如何か。

ってなところで今回はこんなところで。
じゃまた!

<ハウリンメガネ筆>

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