信じられない程の強さの雷と大雨がやって来ました。川は氾濫していました。夫の身に何かあったのではないかと彼女は泣いていました。村中の人々が船頭と乗客たちが皆死ぬのではないかと心配していました。彼女は泣いて、泣き続けました。
その時です。彼女の前にシバが現れ「お前の望みは何だ?」と尋ねました。それは大きな試練でした。その時、彼女の心は夫を心配して張り裂けそうになっていました。ところがシバが現れたので、その心の痛みをすっかり忘れてしまいました。そして彼女は「どうかこの人生で、私の息子として生まれて来て下さい。私の願いはそれだけです」とお願いしました。
するとシバは微笑み、「これを食べなさい」と彼女に果物を与えました。彼女はそれを食べました。そして余りの幸せに、夫が大変な災難にあっていることなどすっかり忘れてしまったのです。そこへ運良く命拾いした夫が戻って来ました。
家に帰って来ると、妻がとても幸せそうな様子でいました。自分はずぶ濡れなのに、あまりにも妻の顔が歓喜と幸に満ち溢れていたので、夫は困惑しました。ですから「なぜ?そんなに嬉しそうにしているんだい?」と尋ねました。