風邪から始まる重症な病気に肺炎があります。
肺炎は日本人の死因の第3位で、最近特に関心が高まっている病気の一つです。
確かに肺炎は怖い病気で、甘く見るとひどい目にあいます。
実際にどんな時に肺炎を疑うかというと、のどの痛みや鼻の症状が軽いにもかかわらず、
せきがひどい、たんが多いときです。ただ、せきやたんがひどいときでも、熱がなければ、
少し安心です。風邪というよりは少しこじれて気管支炎になっているかもしれませんが、
治療としては風邪と同じで、放っておいてもよくなります。
でも、熱があるとなると話は別。肺炎の可能性が出てくるからです。聴診器で雑音がある、
呼吸音が弱いなどの症状があると、肺炎の可能性がさらに高まります。
だんだん全体に悪くなる、脈が多くなって呼吸がハアハア速くなっているとなると、これは
気管支炎というより肺炎の可能性が高い、という感じです。
また、のど・鼻・せきの風邪の症状が全然ないのに熱がある場合もあります。
このときも「風邪をひいたんです」と受診される人が多いですが、これは風邪らしくありません。
女性であれば尿の通り道に細菌がつく「腎盂(う)腎炎」を疑い背中の痛みを、男性であれば
「前立腺炎」を疑い頻尿など尿症状についてチェックします。
寒けがひどく、ガタガタ震えがきた後に熱が出た、というのもちょっと怖い症状です。
単なる熱より重症の病気の可能性が高くなるからです。
まとめておきましょう。のど・鼻・せきの症状でも、せきが一番ひどくて、熱が続くようなら肺炎が
心配です。のど・鼻・せきの症状がないにもかかわらず熱が出たときは風邪でない可能性を
考えます。熱だけではなく、寒けと震えを伴うような場合は重症な病気の表れかもしれません。
大人の場合、風邪にみえる病気で熱があるときは要注意です。
(2015年1月6日 サンケイ新聞)