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落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

赤く彩やかに輝き

2008年09月15日 | diary
アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年―に行って来た。

中国の現代美術は1970年代にやっと始まったばかりで歴史は浅いけど、改革開放政策とメディア規制とのダブルスタンダードに挟まれた激動の時代という独特の政治的背景に生まれたアートという意味では、他の地域には決して観られない独自性が注目されるべきジャンルではある。
オリンピックの影響もあって中国に対する関心は高まってるけど、実際、中国という国に暮す人々の現実的な感覚を知るうえで、アートは映画や文学作品と同じくらいわかりやすい媒体だと思う。会場の混み具合としては残念ながら盛況とはいえない感じだったけど、中国当局の妨害でなかなか作品が日本に届かなかったり、国際市場で大人気の作家・張暁剛(ジャン・シャオガン)の大作に高額な保険をかけて出品していたり、主催者側の熱意が伝わる盛り沢山な展覧会なので、できればもっとたくさんの人に観てもらえればいいなと思う。

今日はたまたま受付に着いた時間から研究員の解説会があり、20世紀以降の中国美術界の歩みと出品作家に関する簡単な説明を聞くことが出来た。たぶんカタログを買えば読める程度の内容だとは思うけど、カタログは買っても全部読むとは限らないし、まとめて聞けた方が頭には入る。
解説会の会場では教師らしき人物に引率された学生のグループがすぐ傍に座っていたのだが、全員が見事に寝こけていて、起きているひとりもずっと文庫本を読んでいた。せっかくの貴重な機会なのにもったいない、と思うのはぐりが歳をとった証拠だろう。今日のこのひとときは二度とめぐってこないという事実を惜しむには、彼らはきっと若すぎるのだ。
それでもネットに吹き荒れる反・反日の虚しい応酬を見慣れたぐりにとっては、若い人にこそ、中国という隣国の実情に触れるせめてものチャンスを無駄にはしてほしくないと思えて仕方がない。
思うだけじゃしょうがないんだけどね。

展覧会は絵画・彫刻・コンセプチュアルアート・パフォーマンス・ビデオアートなどさまざまな分野の作品が幅広く観られてなかなか楽しかった。当局の妨害のせいで展示されなかった作品があったり、システムトラブルで動作しないインスタレーションがあったりしたのは残念だったけど。
国立新美術館での展示は10月20日まで、12月9日〜来年3月22日は国立国際美術館(大阪)、来年4月3日〜5月24日は愛知県美術館(名古屋)に巡回するそうです。


横須賀に沈む夕陽。