goo blog サービス終了のお知らせ 

落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

美少女三連発

2006年10月27日 | movie
『青春期』

『蝴蝶 羽化する官能』『呪い』にも出ているシンガーソングライター兼女優の田原(ティエン・ユアン)主演のガールズ・ムービー。以上終わり(爆)。
イヤほんとに、それ以上でも以下でもないのよー。出来が悪いとかそういうことはぜんぜんないんだけど、興味深いところもみるべきところもとくにない。毒にも薬にもならないってやつだ。ぐりチョー眠かったっす。てゆーか実際おやすみになっておられる方もちょいちょいおられましたし。
エピソードのひとつひとつは丁寧に描かれてるし、キャラクター造形にも誠実さを感じるし、そこそこキチンとした映画ではあると思う。けどものすごく「今さら」な気もする。ティーチインで「中国映画はよくみるけど、こういう現代的な青春モノは初めて観た」と発言した方がおられたのだが、いやいや今さらですよ。2年前の『青春愛人事件』のときにも?ワったく同じ発言してる人いましたから。日本でいうと80年代とかに流行ったよーなタイプの映画です。
けどまあ田原ファンは充分楽しめる作品ではある。ぐりはどっちかとゆーと親友役の浦蒲(プープー)の方が好みだったけどね。3本みてやっとわかったけど、ぐりはどーも田原スキじゃないみたいです。なんでかはわからんけど。ティーチインで出てきたときにもとりたててどーとも思わなかったし(爆)。ただ今作では歌を歌うシーンがあり、本職がミュージシャンだけあって歌ってる姿にはすんげーオーラ感じましたです。

ぐんにゃり

2006年10月26日 | movie
『父子』

この直前に上映された『ドッグ〜』のラストシーンで流れた范暁萱(メイビス・ファン) の『You're My Sunshine』がオープニングに?「きなりかかり、場内全員失笑。香港映画もっと気ぃつかってくださいよー。はあ。
てゆーかこの『父子』も『ドッグ〜』も香港映画というだけでなく、東南アジアを舞台に貧困層の人々の苦境を描いているという設定にも共通点が多い。内容は二本とも非常に重い。上映会場が同じ建物内で時間もつながってるから、とーぜん両方続けてみる人もたくさんいる。ぜんぜん気持ちの切り替えできないですよ。どういうプログラミングなんだ。ちょっと無神経なんじゃないですか。
17年もの永きにわたって沈黙を守ってきた巨匠・譚家明(パトリック・タム)の新作、という期待はさすがに裏切られませんでしたよ。いい映画です。練れてます。李屏賓(リー・ピンビン)の映像もすばらしー。
けど150分は長かった。途中かなりダレてしまったよ。監督や脚本家の思い入れはわかるんだけどさあ、観客飽きさせてどーするよ。ここまでしつこくクドく攻めたいなら、映画じゃなくて小説に書いてほしい。映像だと重すぎます。原作小説がもしあったりしたら迷わず読むんだけど、残念ながらこの映画はオリジナルストーリーなのでそんなものは存在しない。そういう物語。
郭富城(アーロン・クォック)と楊采[女尼](チャーリー・ヤン)は従来のイメージを思いっきり覆すような、ほんとにいい芝居でした。子役の呉景滔(ン・キントー)クンもかわいいしものすごく演技がうまい。この子は母親も女優で、この映画のプロデューサーと彼女が友人だったという縁でこの役にキャスティングされたそうである。
そしてこの映画もテロップですべてが台なしにー。コレは冒頭と最後の2回。ドキュメンタリー以外の映画でテロップはやめようよ!!

ぐんにゃり

2006年10月26日 | movie
『ドッグ・バイト・ドッグ』中国語公式HP

うーーーーーーん。
力作だと思うよ。頑張ってるよ。完成度もある。よくやったと思う。しかしこの映画好きか?と訊かれたら、答えは「ノー」だ。
物語の序盤で、陳冠希(エディソン・チャン)演じる殺し屋がカンボジアで賭けボクシングの選手として育てられた“殺人マシーン”であるという背景が説明される。カンボジアには、ストリートチルドレンを野犬よろしく拾ってきてお互いに死ぬまで戦わせその勝敗に賭けるという、古代ローマの闘技場で行われてたのと同じような娯楽ビジネスが実在しているそうなのだが、初めからそれがあっさりバラされてしまうので、観ている間中、画面にエディが映ってる間中、そのことが頭から離れなくなってしまう。
人間以下どころか、家畜以下の扱いを受けて生きてきた主人公の背負った運命の苛酷さと、激しい絶望と果てのない孤独。ところが、ストーリー上では一旦その「背景」はどこかへ置き去られてしまう。そして後半になってまた都合良く復活する。つまり、映画では社会悪を暴露するためではなく、単なる物語上のギミックとして、キャラクターの持つツールとして、この悲惨極まりない事実が“利用”されているだけなのだ。
これはみていて気持のいいものではない。そんなんでいいの?それでお話済ませちゃっていいんですか?という疑問でアタマいっぱいっすよ。ぐりは。
エディも李燦森(サム・リー)もいい演技してるし、彼らの努力と才能は確かに賞賛に値すると思う。アクションシーンの迫力もすばらしい。ただしラストシーンの強引さと最後のテロップでそれら全部がブチ壊し。
てめーら何様だっつーの(怒)。

チャイニーズ・ナイト

2006年10月25日 | movie
『Crazy Stone』中国語公式HP

もーーー爆笑。おもしろかったですー。
偶然が偶然を呼んで転がっていくコメディ、というギミックは寧浩(ニン・ハオ)の前作『モンゴリアン・ピンポン』と同じなんだけど、エンターテインメント映画としての完成度にはものすごい飛躍があった。とにか?ュスカッと笑えて、共感できて、驚きもある、老若男女誰が観てもどこへ出しても通用する娯楽作品として、非常によく出来てると思う。
この映画は日本での一般公開が決まってるそーです。すばらしー。
上映後にティーチインがあり、登壇者は主演の郭涛(グォ・タオ)と音楽担当のファンキー末吉。音楽すんげーよかったですよ。ハイ。
「低予算で監督も含めスタッフがみんなとても若く、自由な雰囲気の現場で仕事が非常にやりやすかった」
「最初にもらった台本もすばらしかったが、読みあわせを経て俳優の意見なども踏まえてセリフが変更された部分もある」
「ナイトシーンが多く、撮影中ほとんど寝るヒマがなかった(撮影スケジュールを指して『アメリカ時間』といったそうだ)」
「男ばかりでほとんど女性のいない現場だったので、しょっちゅうみんなで飲みにいった」
「乱闘シーンではほんとうに殴りあっている(!!)のでよく怪我をした」
「主人公はいわゆる“正義の味方”だが、教育程度も生活水準も低いし頭のめぐりもよくない、既存の中国映画の完全無欠な英雄よりもずっと共感しやすいキャラクター。そういうところが中国の観客にウケたのではないか」
「(郭涛演じる)包世宏と同名のプロデューサーは、映画の包世宏と同じく前立腺炎を患っており、映画の包世宏は最後には無事おしっこが出るようになるのだが、偶然プロデューサーも映画の完成後に全快したという」
「監督との打合せはまず言葉ではなく、こちらがつくった音楽を聴いてもらって音楽でやりとりをするところから始めた。メインテーマは同じメロディだが、主人公/香港の怪盗/盗賊3人組で使用する楽器を変えてある。主人公は琵琶などの伝統楽器、怪盗は電子楽器、盗賊はギターなど」
とかなんとか。

斜陽日記

2006年10月25日 | movie
『おばさんのポストモダン生活』中国語公式HP

うーむ。さすが許鞍華(アン・ホイ)。さすが巨匠です。
もうコレに比べたら他の出品作なんかみーんな「青いわね」の一言でかたづいてしまいそうだ。それくらい完成度が高い。ストーリー展開に落着きがあり、演技に説得力があり、メッセージに含蓄がある。「酸いも甘いも噛みわけた」映画、というのがあるとすれば、まさにこういうのをいうのだろう。
斯琴高娃(スーチン・ガオワー)演じる葉女史のキャラクター造形、彼女の辿る運命そのものには奇抜なところは何もない。どこにでもいるごくふつうのおばさんだし、都会に暮す独居女性のドラマといえば誰にでも簡単にオチが読めてしまうようなありきたりの悲喜劇の連続。
それでもこの映画がおもしろいのは、彼女も含めた登場人物の感情が実に緻密に丁寧に、誠実さを極めて描写されているからだと思う。だから、彼女たちが求める「豊かさ」や「快適さ」といった現代的な価値観の虚しさと、それでも富を求める人情のリアルさが、あたたかく、愛おしく懐かしく感じられるのだろう。
周潤發(チョウ・ユンファ)の超うさんくさい二枚目役がまたサイコー(笑)。この人が画面に映ってるだけでおかしくておかしくてしょうがなかったです。しかしかっこいい。やっぱ男は中年だわ(爆)。
音楽が久石譲だったので、かなりの場面でつい北野武映画やジブリ映画を反射的に連想してしまった。この人の書く音楽はもう全部いっしょに聞こえるさアタシは(滝汗)。