落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ぐんにゃり

2006年10月26日 | movie
『父子』

この直前に上映された『ドッグ〜』のラストシーンで流れた范暁萱(メイビス・ファン) の『You're My Sunshine』がオープニングに?「きなりかかり、場内全員失笑。香港映画もっと気ぃつかってくださいよー。はあ。
てゆーかこの『父子』も『ドッグ〜』も香港映画というだけでなく、東南アジアを舞台に貧困層の人々の苦境を描いているという設定にも共通点が多い。内容は二本とも非常に重い。上映会場が同じ建物内で時間もつながってるから、とーぜん両方続けてみる人もたくさんいる。ぜんぜん気持ちの切り替えできないですよ。どういうプログラミングなんだ。ちょっと無神経なんじゃないですか。
17年もの永きにわたって沈黙を守ってきた巨匠・譚家明(パトリック・タム)の新作、という期待はさすがに裏切られませんでしたよ。いい映画です。練れてます。李屏賓(リー・ピンビン)の映像もすばらしー。
けど150分は長かった。途中かなりダレてしまったよ。監督や脚本家の思い入れはわかるんだけどさあ、観客飽きさせてどーするよ。ここまでしつこくクドく攻めたいなら、映画じゃなくて小説に書いてほしい。映像だと重すぎます。原作小説がもしあったりしたら迷わず読むんだけど、残念ながらこの映画はオリジナルストーリーなのでそんなものは存在しない。そういう物語。
郭富城(アーロン・クォック)と楊采[女尼](チャーリー・ヤン)は従来のイメージを思いっきり覆すような、ほんとにいい芝居でした。子役の呉景滔(ン・キントー)クンもかわいいしものすごく演技がうまい。この子は母親も女優で、この映画のプロデューサーと彼女が友人だったという縁でこの役にキャスティングされたそうである。
そしてこの映画もテロップですべてが台なしにー。コレは冒頭と最後の2回。ドキュメンタリー以外の映画でテロップはやめようよ!!

ぐんにゃり

2006年10月26日 | movie
『ドッグ・バイト・ドッグ』中国語公式HP

うーーーーーーん。
力作だと思うよ。頑張ってるよ。完成度もある。よくやったと思う。しかしこの映画好きか?と訊かれたら、答えは「ノー」だ。
物語の序盤で、陳冠希(エディソン・チャン)演じる殺し屋がカンボジアで賭けボクシングの選手として育てられた“殺人マシーン”であるという背景が説明される。カンボジアには、ストリートチルドレンを野犬よろしく拾ってきてお互いに死ぬまで戦わせその勝敗に賭けるという、古代ローマの闘技場で行われてたのと同じような娯楽ビジネスが実在しているそうなのだが、初めからそれがあっさりバラされてしまうので、観ている間中、画面にエディが映ってる間中、そのことが頭から離れなくなってしまう。
人間以下どころか、家畜以下の扱いを受けて生きてきた主人公の背負った運命の苛酷さと、激しい絶望と果てのない孤独。ところが、ストーリー上では一旦その「背景」はどこかへ置き去られてしまう。そして後半になってまた都合良く復活する。つまり、映画では社会悪を暴露するためではなく、単なる物語上のギミックとして、キャラクターの持つツールとして、この悲惨極まりない事実が“利用”されているだけなのだ。
これはみていて気持のいいものではない。そんなんでいいの?それでお話済ませちゃっていいんですか?という疑問でアタマいっぱいっすよ。ぐりは。
エディも李燦森(サム・リー)もいい演技してるし、彼らの努力と才能は確かに賞賛に値すると思う。アクションシーンの迫力もすばらしい。ただしラストシーンの強引さと最後のテロップでそれら全部がブチ壊し。
てめーら何様だっつーの(怒)。