落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

今そこにある危機

2006年10月24日 | movie
『不都合な真実』
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予想してたよりもずっと重かったです。
描かれてることは、おそらく日本では誰もが知っていること。地球温暖化はいま現在はまったく猶予のない危機であり、世界中が全力をあげて取り組むべき最優先事項だ。だから日本でも大手企業はみんなせっせと省エネ事業にとりくんでいるし、一般市民にも日常生活のなかの省エネはごく当り前の感覚として浸透している。
でも全世界で排出される二酸化炭素の40%を占めるアメリカはそうではない。アメリカでは地球温暖化なんか「火星人襲来」程度のミステリーとしかとらえられていない。なんでか?企業が政治力をもっているからだ。自動車業界、石油業界。なにしろ石油業界のために他国に戦争を仕掛けられる国ですからねー。だから「省エネしないと地球が危ない」なんていう政治家は「狂ってる」とかいってバカにされてしまう。
アル・ゴア氏はもともと学生時代から地球温暖化現象を専門的に学んでいて、政治家になってからも一環してこの問題にとりくんできた。この映画が感動的だとすれば、決してへこたれず、諦めず、絶望しない、この巨大な問題に対する彼の毅然とした態度そのものだ。ホントえらいと思います。
しかし。ちょっと長かったかも。びみょーに途中で眠気を感じたりもし。周りの席の人たちもけっこーおねむだったみたいです。アメリカ人にはショッキングでも、それ以外の国じゃほとんど常識みたいな話を、それも専門的にえんえんとやられるからねえ。
ただ非常にわかりやすくはなってたし、一見の価値はある映画には間違いないです。早くもオスカー候補と目されてますが、獲れるといーですねー。

アイドル誕生

2006年10月24日 | movie
『一年の初め』中国語公式HP

『四大天王』のティーチインが長かったのと道が混んでたせいで冒頭の15分を見逃し。まあでもおもしろかったですよ。
ストーリーそのものは非常にわかりやすい。登場人物は若い数人の男女。大晦日を挟んだ二日間に彼らの身に起きる出来事を虚実混ぜ合わせて時制を入れ替え、サスペンスタッチに仕上げてある。映像が凝っててミュージッククリップ風でもある。
ただぐりはこういういかにも若者向けな映画があまり好みではないので、それほどリラックスして楽しめなかった。よく出来てはいるけど、単にスタイルの問題だしそれに既にオリジナリティはない。監督はまだ若いし、演出にはセンスを感じるので今後に期待しましょう、というところか。
これもティーチインがあり。登壇者は鄭有傑(チェン・ヨウチェ)監督、莫子儀(モウ・ツィイー)、柯佳[女燕](クー・チアイエン)。監督はおとうさんが日本の華僑だそうで、通訳を挟まず日本語で回答しておられました。
「シナリオは4つのバージョンがあり、間に兵役にいっていたので最終版の完成まで二年ほどかかった」
「兵役に行っている間、兵士としてはまったく思考を求められないが、人間として考える時間はたっぷりあり、それが脚本にも反映されている」(所属は海軍だったそうである)
「表現したかったメッセージは『生きてて良かった』」「クシシュトフ・キェシロフスキの『偶然』?という映画に影響を受けている」
「莫子儀が演じた映画監督役は、以前短編『ベビーフェイス』で自ら演じた映画監督と同じ役名。撮影当時彼を知っていたら自分では演じず、彼に依頼しただろう」「莫子儀は高校時代からインディーズ映画に出ていてその方面では有名な俳優。脚本を書き始めたころからこの企画のことは話していた」
「柯佳[女燕]が演じた蝴蝶という役には、これを演じる能力のある俳優ではなく、この役そのものの人物を求めていた。探すのに大変苦労したが、莫子儀がTVCMで彼女をみかけて推薦してくれた」「役づくりの参考にと監督から宮本輝の『月光の東』、是枝裕和の『誰も知らない』のDVDを渡された」「柯佳[女燕]はそのCMには2秒しか出ておらず、演技?フ経験もなし。もともとは保育士」などなど。

香港芸能界万歳

2006年10月24日 | movie
『四大天王』英語公式HP

会場全体爆笑の嵐。
もーマジでここまで力いっぱい笑い転げたのって久しぶりです。この前こんなに笑ったのっていつだろう。思いだせない。笑い過ぎて涙ちょちょぎれまくり、ハラワタよじれまくりです。あーおかしい。
コレはときどきハリウッドや日本でもつくられてる「フェイク・ドキュメンタリー」の一種ですかね。従来ショービジネス界を舞台にしたフェイク・ドキュメンタリーといえば、既存のスターを主人公に、本人自身に本人を演じさせてサクセスストーリーを語る、というアイドル映画の定番だけど(ビートルズの映画みたいなやつか?あたしゃみたことないんですが>爆)、『四大天王』はひと味違う。まず映画をつくるためにAliveというバンドを実際に立ち上げ、現実にバンド活動をしているドキュメンタリー映像を撮り(なので登場するオーディエンスやメディアは全てホンモノ)、なおかつシナリオに沿ったドラマパートを撮り、そこへリアルな香港音楽業界人へのインタビューも交える。『イエロー・サブマリン』よろしくアニメパートまで入る。
基本は香港ショービジネス界の虚構性をカリカチュアライズしたブラックコメディだから笑えて当然なんだけど、つくってる当人たちはけっこうマジメにやってます。監督もつとめた呉彦祖(ダニエル・ウー)がそもそも大マジメ。ティーチインのときも、Aliveはフェイクだけど、活動してるときはちゃんと観客のためにベストを尽くしたといってました。その律儀さがまたおかしいんだけどね(笑)。マジメなだけに脚本はよくできてるし、編集もセンスあると思います。惜しむらくはカメラワークかな。まあこのユルさも味だといってしまえばそれまでなんですけど。ユルいからこそ気楽に笑えるというか。
上映前に舞台挨拶、上映後にティーチインがあり。登壇者は呉彦祖と連凱(アンドリュー・リン)、撮影・編集のパット・チャンとキム・チャン。呉彦祖はもうマシンガンのよーに喋る喋る(笑)。なんだかんだでぐりはこの人のティーチイン何度もみてるけど、今回ほど喋ったことは未だかつてない。よほど監督デビューが嬉しかったのか、作品に対する愛情の深さも感じられました。他には連凱もときどき喋ってたけどクルーのふたりはほぼ座ってただけ(爆)。口挟む余地ないよなあ。
「プロジェクト中の1年半の間、この映画のことを知ってたのは10人程度」
「親しい友人たちは既に俳優としてキャリアのある我々がわざわざバンドやり始めたのをとても不思議がっていた」
「よく秘密を守れたと思う」「でも途中から自分たちでもホントにバンドをやってるような気分になっていた」
「尹子維(テレンス・イン)以外は本当に歌えない」「おならをしてたのはテレンスだけではない」(爆)
「劇中、出演者はそれぞれ本人自身の役名で出演してるけど、キャラクターは監督であるダニエルの創作。それぞれのもともとの性格の中の一部分をデフォルメしてつくりだしている」
「インタビューパートは『香港音楽業界を題材にしたドキュメンタリーを撮るのでごく正直な意見を述べてもらいたい』という名目でまったく同じ30の質問を用意し、本当にインタビューをとった。編集後それぞれに事情を説明し素材をチェックしてもらったが、NGは誰からもいっさい出なかった」
「奇抜な衣装はダニエルの友人のスタイリストのクローゼットにあったものを流用。コーディネートはダニエル」(どんな友人だよ)
「最終的に撮影されたフッテージは全部で300時間。編集に2ヶ月かかり、これはストレスがたまった」
「作中でF4を比較対象としてひきあいにだしてるけど、個人的な感情はとくにない。むしろこのプロジェクトを通じてボーイズバンドという仕事の大変さがよくわかるようになり、以前より敬意を抱くようになった」(マジ?)
「香港国際映画祭でプレミア上映したときは、2000人の観客の中に爆弾を落としたようなバカウケぶりだった」(嬉しそう〜)
「香港のローカルギャグ以外のパートでの反応は釜山でも東京でもほとんど地元と変わらないのが驚き」などなど。ぜえぜえ。