まったく関係ない検索をしていて、ふと、マラソン中の「低ナトリウム血症」の論文に行き当たった。
今から一年くらい前の論文なのだが、すごく衝撃的なことが書いてある。
スポーツをする時、脱水症状になる前に水を飲め、とよく聞く。
それはそれで、説得力を感じるし、素朴に信じていた。でも、違うかもしれないのだな。
水を飲みすぎると、血中のナトリウムイオンの濃度が下がり、低ナトリウム血症になる。
場合によっては、それで死ぬこともある。
というか、研究がなされたレース(ボストンマラソン)では、28歳の女性ランナーが低ナトリウム血症で亡くなっている……。
おまけに、ぼくもあるこっ恥ずかしい理由で、「低ナトリウム血症」なのかも、と気付いた。
まずは、原論文。
NEJM -- Hyponatremia among Runners in the Boston Marathon.
そして、日本語での解説。
ボストンマラソン走者における低ナトリウム血症.
さらにこっちも参考にすると、分かりやすい。
内科開業医のお勉強日記 : マラソン競技の低ナトリウム血症 : のどが渇く前に飲む > のどが渇いたら飲むへ.
簡単に言ってしまうと、レース中に大量の水を補給した人に、低ナトリウム血症になっている人が多かったという話。
採血した488例のうち62例が異常値で、うち3例は「危機的な数値」だったとのこと。
ランナーの大多数が、3リットル以上の水を飲んでいたということで、これはたぶん今のセオリーである「乾く前に飲め」という「常識」に従ったからだろう。
今この瞬間のスポーツナビのコンテンツでこんなものがある。
スポーツナビ | ウォーターローディング.
つまり、旧来の「乾く前に飲め」路線が、今も継承されているということ。
ちなみに、ここでは、スポーツドリンクのような「イオン飲料」を推奨しているのだけれど、NEJMの論文では、スポーツ飲料を補給した人も、水を飲んだ人も、大した差はなかったようで、「飲み過ぎはやっぱりダメよ」ということになる。
で、そこからぼくの個人的問題なのだけれど、ぼくは水をたくさん飲む。
なぜかというと、座り仕事のせいもあって、これまで何度も前立腺炎を煩ったから。
泌尿器科医は、水を飲め、と強調した。
また、尿酸値も高いから。
内科医は、水を飲め、とやはり強調した。
どれくらいと問うと、飲めるだけ、と言われたし、目標二リットル以上(一日)と言われたこともあった。
で、ぼくは執筆中、のべつまくなしにお茶を飲むようになった。
気が付いたら、一日にはっきり把握しているだけで3リットル飲む日すらあった。
これはポットとペットボトルとかではっきり量が把握できる分量で、そのほかにちょっと出先で出されたお茶とか、食事の時の水とかを入れると、4リットルに迫っていたかもしれない。
とすると、低ナトリウム血症って、ありえるんじゃないかと思えてきた。
低ナトリウム血症になると、どんなことが起きるのか。
自覚症状はどんなふうか。
ぐぐってみたのだけれど、なかなかよく分かるところがない。
みつけたのはこちら。
熊本県薬剤師会・電解質異常.
低ナトリウム血症のところだけを抜き書きすると……
・消化器症状:
悪心、嘔吐、食欲不振
・精神症状:
無力感、倦怠感、意識障害、傾眠
・神経症状:
痙攣、病的反射
ということなのだが、あるよあるよ。
倦怠感! そして、指先の震え。
特に、GW前のだるさといったらなかった。
その頃、急に暑くなったせいで、それまでよりもたくさんお茶を飲んだ。はっきり覚えている。
たくさんお茶を飲んだ後、夕方くらいになると指先が震えて困ったものだ。ついでにいうと、眠たかった(単に睡眠不足?)。
実は今も三リットル近く飲んでいて、倦怠感がある。
そこで、昨日一日、節制(?)して、二リットルくらいに抑えた。
快調に感じる。メンタルにも、身体的にもすごく爽快。指も震えない。
ほんとにそうだったのかわからないが、とにかく、飲み過ぎ厳禁、っていうのがリアリティある。
それにしても、この研究、どう評価されてるんだろうか。
水の飲み過ぎによる、低ナトリウム血症。
なんらかの事情で、たくさん水を飲まなきゃならない人(アスリートとか、尿酸値高いとか)。
一応、気にかけておいた方がよいと思われます。
それと、村上(春樹)さんにも、教えてあげなきゃ。
「たっぷり水を飲んでゆっくり歩く」って、低ナトリウム血症になるかもって(出典「アフターダーク」)。