川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

「8月の世界樹」が小説すばるに掲載

2011-01-18 17:47:28 | 自分の書いたもの
小説すばる 2011年 02月号 [雑誌]小説すばる 2011年 02月号 [雑誌]
価格:¥ 880(税込)
発売日:2011-01-17
今、書店に並んだばかりの小説すばる2月号に、「8月の世界樹」という作品が掲載されました。

小説すばるに書くのは「銀河のワールドカップ」以来、何年ぶりか、というほど久しぶりです。
内容は、「天気読み」の一族の話で、今回は都市型集中豪雨をネタに、話が転がります。
実は1年以上前に草稿があって(実はニュージランドの半年滞在前から、結局、半分くらい書き直したオリジナルがあった)、満を持しての掲載。

というのも、理想的には2月に1回くらいのペースで連作として続けることになっているから。
というわけで、すでに次の話にも手をつけています。

しかし、長い間寝かせた弊害というか、日進月歩のコンピュータシュミレーションまわりなど、書いたとたんに古びているかもしれない部分もあって、これは今後連作を続けながらアジャストしていかなければ。最終的には単行本化の時に、調整することになるでしょう。

なにはともあれ、空を見上げ、雲を見るのが好きな人は、ぜひ。

青木幸子さんに挿画を描いてもらったので、すでに、ぼくの頭の中では、登場人物たちが青木ワールドの住人になっております。

茶柱倶楽部 1 (芳文社コミックス)茶柱倶楽部 1 (芳文社コミックス)
価格:¥ 650(税込)
発売日:2010-10-22
王狩(1) (イブニングKC)王狩(1) (イブニングKC)
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発売日:2010-10-22


「アニマ」の匂いがする本「熱帯アジア動物記」、そして勇気が湧いてくる

2011-01-18 17:27:54 | ひとが書いたもの
熱帯アジア動物記―フィールド野生動物学入門 (フィールドの生物学)熱帯アジア動物記―フィールド野生動物学入門 (フィールドの生物学)
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2009-11
著者は、アニマ世代だという。
平凡社の今はなきアニマを読んで、熱帯雨林への思いを募らせた世代。廃刊になったのは90年代だったと思うから、もう知らない「若者」も多いだろう。ぼくも一度だけ、ペンギンについて写真と文章を書かせてもらったことがあったっけ。

さて、本書は東海大学出版会の「フィールドの生物学」シリーズ第一弾で、それだけに、なかなか気合いの入った内容になっている。そして、なんとなく、アニマを読んで得たあの興奮を、彷彿させるものを、感じさせてくれる好著だ。
メインの話題は、ボルネオのヒメマメジカで、著者の研究により、従来夜行性だったと思われていたのが、昼行性であったこと、また、夜行性だと誤解された原因、昼間の行動パターンなどが明らかにされていくのはスリリング。こういうことが分かると、研究やっているぜー、という気分になるだろうなあ。

しかしそれよりも、なんのツテもなくボルネオに入り、ゼロから調査地をみつけていったくだりが、本当に身につまされてよい。

若い頃の苦労は買ってでもしろ、というのは、ぼくは眉唾に感じていて、若い人にわざわざ苦労しろとは言わない。自分も苦労したくない。しかし、この著者の若い頃の苦労は、しっかり結実し、研究面でも、その他の面でも(たぶん)たわわな実をならしいてるようだ。

その点で、読むと勇気が湧いてくる。

うん本当にいいシリーズだ。引き続き別のも読んでいこう。お奨め。