川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

0.1ミリと100万人

2009-05-26 11:12:44 | ひとが書いたもの
0.1ミリのタイムマシン―地球の過去と未来が化石から見えてくる (くもんジュニアサイエンス)0.1ミリのタイムマシン―地球の過去と未来が化石から見えてくる (くもんジュニアサイエンス)
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2008-11-01
ちまたで評判の本を、やっと入手。
大変おもしろかったです。

分類が難しく(ぱっと見てすぐに分かる特徴に乏しい)、これまで放置されてきた、あるタイプの珪藻化石をひとりで分類に成功した若手研究者が、子どもたちにむけて研究の醍醐味を語る。

研究対象は「お休みケイソウ」とこの本の中で述べられるキートケロス属。とはいっても、属名は重要なことではなくて、ほんの小さな微化石から広がって行く世界(科学的な知見も、著者の研究者人生も、そして、読者の知識も)が述べられるのがよい。

著者の研究者人生としては、だれも手をつけていなかったところに学生が挑み、パイオニアとして一線に立ち、そして、フィールドを遠く北極海にまで伸ばして行くのが、実に発散的。子どもには、「宇宙飛行士の体験談」に等しいくらいのインパクトを持つのではないか。
科学的知見の広がりとしては、微化石が時代を特定する示準化石として役立ったり、当時の地球環境を理解する鍵になったり、ひいては、我々の住むこの星の理解につながったりしていくさまがよくわかり、さらに、読者の体験として、その「広がり」を時間軸としても空間としてもイメージできるのが、とてもよい構成だった。

0.1ミリのタイムマシン。
ふさわしいタイトルだ。

あとがきに、住田さんとか、毛利さんとか、知っている人たちの名が出てきてうれしい。

と、この本を読み終わった直後、読み聞かせへ。
本日は、「サブ」の役割なので、読む必要はなく(実は、無理に行く必要もないのだけれど)、ほかのお母さんたちが読むのを聞いてきた。

あるクラスで読まれていた、こいつがツボにはまる。
アメリカの数のえほん―100万ってどれくらい? (アメリカの数のえほん)
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2007-10


100万人が肩車するとどこまでいけるかとか、100万匹の金魚が入る金魚鉢はどれくらい大きいかとか。
100万というのを具体的にイメージできるのがすごかった。
よい絵本でした。

もちろん、読んでくれたお母さんの間のとりかたも絶妙で、感心することしきり。