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Japanese and Koreans invaded Asia. We apologize.

時間はどこで生まれるのか?

2008年09月01日 04時46分50秒 | Weblog
 依然立ち読みして、面白そうだなと思っていたが買うの躊躇していた本。時間はどこで生まれるのかで、買って読んでみた。科学的時間論をわかりやすく解説している。ただ、人間的、主観的時間論の章は、「意志」という漠然とした概念で説明しつくそうというところに無理を感じた。
 時間論に関してはネットでもわりにうまくまとめられているのがあって、例えば時空の哲学時間などがあり、第2章 時間論魚拓などはすごくよくまとまっていると思う。
こうしてみると時間論ってのは非常に論点が多く、どの論点を取り上げるかは、論者それぞれの問題意識を強く反映しているように思う。
 本ブログでもかつて、永遠の慰めーー時間論の背後 で扱ったことがある。
 橋本氏の本を読んでいて、中島氏の時間を哲学する―過去はどこへ行ったのかを読み返してみた。おれはどっちかというとこっちの気ちがいの問題意識に近い。
 
「死ぬのが嫌だ!」と泣きわめきながら駄々をこねて学校に行かなかった7才のことろかずっと「時間」について考えてきました (213項)

 
客観的な時間がフィクションらしいという一縷の望みをもっており、それを全身で感じたとき、死ぬことが恐怖でなくなる、と思っているのです。(56項)


 普通の大人が共有している時間の表象ってのは、例えば、時計なりカレンダーがあって、時計の針なり、カレンダーの日付なりを表象し、また、それと、「春がくる」とか「窓を開ける」「寝る」「風邪をひく」などの事象を関連ずける。「4月になると、春がくる。」「窓を開けて寝ると風邪をひく」などなど。いや、むしろ、こうした事象の同時・前後の系列を現在・過去・未来と関連づけて、「4月がきて、春がきた。」「一昨日窓を開けて寝たら風邪をひいちゃった」などと言う。風邪という災いを及ぼした事象の責任者の追求のなかで、「窓を開けて寝なければ、風邪をひかない」という仮説が立てられ、それが確定すれば、風邪の(一)原因として括られる因果系列になる。それを一般化すれば、法則になり、合法則的な予想がたつ。 まあ、それは、ともかく、図式化すると

時刻 B1・・・Tx・・・Tあ・・・ T ぬ・・・T ゆ・・・TY ・・・ 
事象 B2・・・ Ex・・・Eぁ・・・Eぬ・・・Eゆ・・・EY・・・・・
時制 A    大過去 過去  現在  近未来  遠未来

自己(→)     (自己) 自己 (自己)

(時計の針の系列も、しかし、事象の系列であろう)

てな表象を描いているのではないか?


 事象の系列が動いているという表象をすれば、未来の事象が来て、過去の事象は過ぎ去っていく(←)わけだが(農耕世界型)、事象の系列が固定して自己が動いている(→)ように表象すれば(狩猟世界型)、自分が未来にむかって歩いていく、という表象になる。


 相対性理論の知見の一つは、今は共有できない、ということで、その意味は、ある事象Eはある人にとっては、現在であり、違う速度で動いている他のある人にとっては、過去である、あるいは、未来である、という事態が現出している、ということである。(三九項)

 量子力学になるともっとすごくて、量子的ミクロの世界になると、事象の時刻も前後関係も不確定である、(五九項 六八項)また、Aか非Aいずれかである、という排中律も成立しない。(六九項)。あえて図式化すると、

   マクロ    量子  マクロ

時刻 Tx →  ???  →TY

         Eあ/~Eあ
事象 Ex ・・・ Eぬ/~Eぬ・・・ EY
         Eゆ/~Eゆ


てな具合なのだろうか? (因みに「マクロ」としたところはいわゆる「観察」である。)

で、

、問題意識として、

(1)事象系列は物理的に実在するか?

 (あ)実在するとして、確定的にあるか?可能的にあるか?
古典的にはヒュームの問題意識、「明日太陽が昇る」とは限らない、ということから、量子力学的な状態、あるいは、カントのように認識形式としてみるか、などの問題が絡んできます。

(い)実在するとして、前後同時的にあるか?一切が同時的にあるか?
これも量子的状態の記述、、また、前後的な順序、あるいは脱前後的事象の集合とと永遠=神との関係といった古典的な問題意識などがあります。

(う)実在するとして、時間も実在するのか?
 前後的順序、そして・あるいは、過去現在未来が時間を構成し、そうした時間が実在するのか?といったマクタガードの問題意識

(え)実在するとして、構成・構築・されてあるか?
これは、実在の記述としてそれが唯一絶対なのか、多数ありえるのか、などの問題に絡んでくると思います。

(2)事象系列は言語的・概念的にのみアル
 過去の事象、未来の事象という物理的実在性を否定して、それらが、言語・概念的に制作される、あるいは、可能態から言語・概念的に思われて(のみ、主観的、あるいは、共同主観的に)アル、といった大森氏や中島氏の系譜の立場であります。


 時間は実在しないとか、あるいは、過去や未来が言語的に制作されるといっても、過去を思い出して苦しんだり、未来を思って憂いたりするのは事実である。また、記録や記憶、あるいは現在の証拠から、過去を推測したり、未来を予想し、将来の予想が、現在の自分、あるいは、自分らの行動に影響を与えるのは事実である。(立ち読みしてたとき、大森氏がなぜ保険に入っているのか、と聞かれて、女房がかけているからしょうがないんだ、という逸話がある、というのを読んだ覚えがあるが、記憶は定かではない。)

 究極の問題はやっぱその先にある。

 マクタガートは時間の実在を否定しちゃったけど、そうした時間の幻影の先を見ている。。中島氏は時間論の中心を過去に置き、言語的に表現・構成される過去形の意識とのの関連で、未来や現在の説明をしようとされますーーーこれはこれでたいへん魅力的ーーーが、しかし、やはり、最後に、概念化=過去化されない「剥き出しの今」というのを登場させる。それは「常に今でありながら異なった今」であり、単に過去や未来に無知な子供の永遠の今ではなく、時間の概念の迂回を経て、しかも、概念化されない、ことばに出来ない今である、と言います。(ここまではいいのですが、それは、「あとから」は消し去ることができない(二一二項)とも言っておられます。が、こう言ってしまうと、消されずにどっかにずっとあるような今なのか、とつっこみたくなりますがーーまあ、それはいいとしてーーー)
 要するに、時間に浸食されようが、されまいが、いわゆる時間とは異なる永遠とも、剥き出しの今ともいわれることの認識がこうした時間論の背後にある。
 
 時間的に表象される世界から一挙に剥き出しの今、言語概念から解放された沈黙の世界がーーーある図柄がゲシュタルトチェンジして全く別の様相を呈するようにーーー永遠に、しかも、つねにすでにアル風景として自覚されることもある。
言語的喧騒がそれとして自覚され、それとは異なる新しい局面が開かれてもそれは同じ世界であって、時間的喧騒の枠組みが全く消えてなくなるわけではない。その視点や枠組みが現れることもあるが、しかし、その言説が透き通った柔らかな沈黙の風景の一部の泡のような軽さをもって受け止められる。泡を含んだその全体は、しかも、自分の顔を鏡でみるような親しみがある。
 そうして、不昧因果前後裁断 しながらも、しかし、行為を休め、一歩引き下がってこの風景を眺めるとき、皮肉なことに、存在することが不可思議であることは依然とかわりない。

 時間論を自分の問題意識にひきつけて読むと、こんなところに落ち着くように思える。
 、



 









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3 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (fan)
2008-09-01 07:08:10
人間の寿命(50年~100年くらい) というのが、実にモドカシイような適切なような微妙な長さだと思える今日この頃。

↓ ミクロの方向に色々と次元があっても、数理物理学の問題でしかないな。

Wikipedia>>> 超弦理論は理論の整合性のため10次元時空が必要である。通常の3次元に時間を加えた4次元に加えて、残りの6次元は量子レベルで巻き上げられていて小さなエネルギーでは観測できないとされる。


まぁ、アメリカさんがまた新型爆弾を作って日本人
(Little Yellow Jap)で試してみる、という可能性はあるが。
返信する
Unknown ()
2008-09-01 20:11:57
人生の有限さについては、かつて
http://blog.goo.ne.jp/kentanakachan/e/0cd18927411739fa40cd6260ec1bc886
Death by Geoffrey Scarre を紹介したとき、その一部で論攷があります。

物理学者にとって時間は数式の一変数の問題であり、それが使われなければ、物理量として時間はない、ということにしているのかな?という印象を持っています。また、経験を説明する方式はいくつもあるということなら、(1)(え)の問題になりえるのではないか、と思います。
返信する
初めまして! (ちぇこ)
2009-05-27 18:01:00
精緻な時間分析、いやもう「時間は
どこで生まれるのか」と言う名の別
の文章として読ませていただきました。

そしてほとんど理解出来ませんでした(笑)

紹介されてる参考サイトや中島
義道の本も読んでみようと思います。
返信する

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